イケアの炊き込みごはん
「こういう料理、好きなんだよなあ」
それはハタチの男子が好むには、あまりに地味すぎるものだった。そして脂っこい料理ばかりを好んでいた私には、見たことも食べたこともないものだった。繁華街の雑居ビルの地下にある、とりたててどうという特徴もない居酒屋で、「こういう料理」が気に入っているからよく来るんだと、彼は言った。私はつきあいだしたばかりの彼にいいとこを見せようと「じゃあ今度作ってあげるよ」と、さも自らのレパートリーにあるかのようにふるまった。菜っ葉と油揚げだけの色気のない料理