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再発 肺転移(中咽頭がん)

久しぶりの更新となります。

2023年7月26日に中咽頭がんの陽子線と抗がん剤併用治療を完了し、経過観察をしてきましたが、先日 2024年1月31日 のCT検査で、残念ながら

「肺への転移が認められる」

という診断結果がでてしまいました。

正直、頭が真っ白になり、
しばらくうろたえていましたが、、
だいぶ落ち着いてきましたので、同じような境遇の方に少しでも情報共有が出来れば、と思い、つたない文章ですが経緯など綴らせていただきたいと思います。



経過観察について

毎月1回の診察と、画像検査を重ねてきました。
治療終了直後に心配していたリンパ節に残るしこりはどんどん小さくなり、触診でも存在がわからなくなったため、リンパ節転移部分もがんは無くなったとみてよいだろう、という診断を頂いていました。

  • 2023年8月23日 造影剤CT検査

  • 2023年8月31日 MRI検査

  • 2023年10月26日 PET CT検査

  • 2023年11月29日 造影剤CT検査

4回目の11/29の画像検査後の診断で主治医の耳鼻咽喉科の先生から

「肺に影があり少し大きくなっているようです。通常だと次のCT検査は3か月後ですが、それよりも早くCT検査をしようと思いますがよいですか?」

と言われました。
断る理由は無いので実施してもらう事にしました。

先生 「まぁ、念のためですから」

私も、念のために検査をするだけで深刻なことではないな、と思い(思いたかったのかもしれません)
この時点で再発について、調べたりすることもなく、
今まで通り、少し残る口の中のやっかいな炎症の副作用のケアと、ほとんど出ない唾液を出すための唾液腺マッサージなどを継続して過ごしていました。

年末年始は東京の実家に帰省し、学生時代の友達や先輩たちと久しぶりに再会し、楽しい時間を過ごしました。

実家近くの多摩川サイクリングロードから望む元旦の富士山

お互いの病気の話などで盛り上がり

「歳とると病気の話ばっかりになるって言うけどほんとだな!!😆😆」

などとはしゃいで話していました。

「肺に影があるって言われた」と話すと

「あー、それ大丈夫、よくある話で、だいたいなんにもないから!」
と心強い励ましをもらい、自分でもなんでもないはず、と超楽観的に考えていました。


再発、肺転移診断

2024年1月31日 CT検査(造影剤無し)を実施しました。
CTの撮影が終了してから耳鼻咽喉科の主治医の先生の診察なのですが、予定時間を1時間経過しても呼ばれません。
途中で看護師さんが、もう少しお待ちくださいね、と声を掛けに来てくれました。
「今日は遅いな。。」
特に深く考えず、スマホでSNSやブログなどをながめつつ待っていました。
1時間半位経過したころ、もう一度看護師さんが声を掛けに来てくれました、と同時に主治医の先生も待合まで出ていらして、

「すみません、お待たせしてしまって、画像診断の先生からの回答を待っているのですが、取り合えず私から先にお話ししますので、どうぞおはいりください」と

診察室に入ると、先生がCTの画像を示しながら

「肺の影ですが、やはり大きくなっており、転移とみて間違いないと思われます」
と、そのタイミングでPCの画面に画像診断専門の先生からの回答が届き、それを読んだ主治医の先生が

「うん、やはり、間違いないですね。肺に転移しています」

血の気がサーっと引くような感覚でした。

全く何の覚悟もしていなかったので。。

うかつでした。

輪切りになった肺が映っているCT画像を動かしながら、先生が
「この影と、この影と、これもかな」
と、数か所に転移があることを告げられます。

イメージです 私の画像じゃ無いです

「これだと手術はできないので、薬物療法になります。免疫チェックポイント阻害薬で進めたいと思います。
点滴で投与します。初めは2週間に一度を3回、その後1カ月間隔で実施するというスケジュールになります」

その時の私は頭が真っ白で、ほぼ何も考えられなかったので、出来た質問といえば
「薬の名前は何というのですか?」位でした

薬の名前は「オプジーボ(ニボルマブ)
本庶佑先生が2018年にノーベル生理学・医学賞を受賞した研究の結果、開発された薬です。

先生が「免疫チェックポイント阻害薬治療とは」というような冊子を広げながら、この治療方法の説明をしてくれました。

がん細胞は本来なら、もともと体内にある免疫細胞(T細胞)が攻撃して排除してくれるはずなんですが、がん細胞のヤツは、そのT細胞にブレーキをかけ、働かなくさせる事が出来てしまうようなのです。そして増殖・拡大・転移すると。。厄介なヤツです。。ほんとに。。。

オプシーボという薬は、そのブレーキを解除する効果があり、活動できるようになった自らのT細胞でガン細胞をやっつけて、拡大を防ぎ、縮小させるための治療、という事です。

オプジーボのイメージ図

副作用は様々なものが確認されていて、出るか出ないか、軽いか重いか、人によって異なり、やってみないとわからない、という事でした。

この日は、自分自身まったく頭が働かず、事前になにも調べていなかったので、この治療で進める事にして、治療開始日の決定と、薬を投与して問題ないかを検査するための血液と尿の採取をして帰りました。


転移とは?

その後、少しだけ落ち着いて、色々調べました
そして、質問事項をまとめて、あたらめて主治医の先生に診察の予約を取らせていただき、色々と聞いてまいりました。

肺への転移
そう聞かされて「肺がん」ができてしまったのか
と思いました。
しかし、どうやらそういう事ではなく、
がんの種類はあくまでも「中咽頭がん」で、そのがん細胞が肺に転移した、ということなんだそうです。
「肺がん」というのは原発がんが肺にあるもので、ほかの場所から肺に転移したものは「肺がん」とは呼ばないのです。
発生した場所によってがん細胞の特徴が異なっているためだそうです。

日本人の夫婦が海外で子供を産んでも遺伝子は日本人、ということと同じ、とよく例えられています。

そのため、治療は中咽頭がんの治療として認められたもの(健康保険が適用されるもの)、が基本になります。
その中で今の私の状態で、一番効果が期待できるのが「オプジーボ」による治療、という事です。


治せるのか?ステージは?生存率は??

実際、一番気にかかるのはこの部分です。
オプジーボの治療について説明を受けたとき、先生は
「この治療でがんをなくすことはできません。広がりを抑えて、うまくいけば小さくなる。ただ、無くなることはありません」
とおっしゃっていました。

手術は物理的にがん細胞を取り除く
放射線治療はがん細胞を破壊する
それに対して、薬物治療はがん細胞の拡大を抑えるというもので、無くすことが出来るものではない、という位置づけのようです。

そのため、この治療は、「病気の進行を抑え、それによって生命予後の延長や病気の進行に伴う症状の出現を遅らせること」と表現されています。
生命予後の延長って・・・😢😢

私の中咽頭がんは「p16陽性」というHPVウィルス由来のがんで、「予後が良い」つまり、治療後の成績がよいと言われています。
転移の場合でも同様のデータが出ているらしく、これは少し明るい材料です。

手術で取り除く事は出来ないのか?


物理的に取り除くことが出来ればそれが一番いいような気がします。
しかし、私の転移の状態

  • 画像で確認できる1cm程度の腫瘍が両方の肺に2つずつ存在している
    →両肺にある時点で、切除するとその後の生活への支障が大きいため切除はできない

  • そのほかに画像では確認できないくらい小さいものが複数ある可能性が高い
    →どれだけの広がりがあるかわからず、切除困難と考える

以上のことから、手術は選択肢から外れることになりました。


放射線治療は?


すでに陽子線治療を行っているから照射量の問題で、もう放射線治療はできないのか?と思っていましたが、照射する場所が違えば放射線治療は可能とのことです。

ただ、放射線治療は、腫瘍が大きい場合にはそこを狙って攻撃する事が出来ますが、私の場合1cm程度で複数、そして見えないものがほかにもある可能性が高い、という事で、放射線の照射が広範囲となり、正常細胞にあたえる副作用が大きくなるため、適さない、という事です。


転移はいつからしていたのだろう?


23年3月と10月にPET CT検査で遠隔転移を確認していますが、そこでは発見されませんでした。
しかし、PET CTですべてのがん細胞を発見できるわけではありません。
PET CTはブドウ糖を注射して、がん細胞にそれが集まる性質を利用して画像で診断するものですが、がん細胞が小さいと画像で判定できなかったり、ブドウ糖がいきわたらない場合もあるという事です。

ですので、いつ転移したのか、明確にはわかりません。
11月のCT検査で、8月のCT検査画像と比較して肺の影が大きくなっている事から発見されたことを考えると、8月以前には転移していた、という事になると思います。

私の場合、陽子線治療が先進医療であることから、臨床試験の治験者という位置づけのため、通常より多くCTなどの画像診断を実施していたので、比較的早く発見できたということです。

そもそも、本当に転移なのか?あらたに肺でがんが発生したという事はないのか?良性の腫瘍という事はないの?とも考えました。

これは、肺に転移したがんの組織を調べると明確に判明するらしいのですが、それを行うにはCTで確認しながら組織を採るという、大掛かりな手術が必要で、状況と画像からの判断で、これは転移で間違いない、という所見でした。
主治医の先生を信じるしかありません。


オプジーボで治るのか?


先ほども書いた通り、この薬は根治させるものではない、という位置づけです。
そして、色々調べると、オプジーボでの治療で効果が表れるのは2から3割の人と言われています。

少ないな、、😑と思いましたが、医学的には、今まであきらめなければいけなかった人が2から3割も治療効果がでて延命できる、ということは素晴らしい成果!ってことのようです。
確かに。。

その2から3割に該当する事を祈るばかりです。

この薬が効く体質かどうかを事前に調べる研究も進んでいて、一部の症例では開始されているようですが、頭頸部がんではまだ適用外らしく、
実際に投与して、3か月ごとにCT検査をしてがんが大きくなっていないかを確認していく、という手順になるようです。

そして、オプジーボの効果が認められた場合、投薬はいつまで続くのか?聞いたところ
「一生続けます」と
・・・マジですか??😲😲。。

また、この治療が効かない場合、次の方法を検討することになりますが、頭頸部がんの薬物治療の場合、使用できる薬剤は2種類までとなっていて、次の薬が効けば良いですが、それも効かない場合はまた元に戻って試してみる、という方法がスタンダードのようです。。
ふぅ。。😔

そして、なによりオプジーボは薬価が高い!

今ではだいぶ安くなり1/5くらいまで下がったようですが、2014年に承認された当初は一人当たり年間で3,800万円もかかり、医療保険制度を崩壊させる、と議論になったようです。

現在でも、成人男子の投与量1回200mgで、32万円、月2回投与として64万円かかります。3割負担で19万円です!!
清貧生活の始まりですか??😓😓🤣


ステージと生存率


気になるステージですが、転移自体にステージという分類は無く、あくまでも、もともとのがんのステージが変わった、ととらえるようです。
私の場合、ステージ2だったのですが、遠隔転移がプラスされるとステージ4となります。

「ステージ4」それだけ聞くと非常に深刻に聞こえます。。

5年生存率という統計が各所に出ていますが、私の中咽頭がんの場合、統計されている例が少なくってあまりあてにはならないのですが、おおむね5割程度のようです。
ご高齢の方も含めた統計と思いますので、5割あれば十分高いと思います。しかもp16陽性ということでさらに割合は増えるはず。
前向きにとらえたいと思います。

一つの例では、27年間無再発生存というものもありました。これを超えるべく精進する所存です!!💪💪

京都大学のあるチームがまとめたデータ


がんと生きる


この言葉、まさに今後の人生これになるのか、という感じです。

昨年7月に治療を終え、一時苦しんだ副作用がだいぶ改善し、今年は大好きな自転車やマラソンを精一杯楽しもうと思っていた矢先に

「肺への転移」

という事になってしまいました。

しかし、前回もそうであったように、今は自覚症状は全く無く、いたって元気です。

そして、今回の治療は、やってみないと副作用がでるかどうか全く予想が付きません。
前回の陽子線治療の時のように、セルフケアで副作用をコントロールできるようなことは今回は無いようです。

なので、楽天的な私は、副作用は無し、薬も効く前提で、今年の自転車イベントへのエントリーをじゃんじゃん進めています!😆😆

楽しめる時に楽しまないと!!

あと3年弱で還暦を迎える齢になり、今後の人生の方向性を考えなければいけないな(まだ考えていない・・😅)と思っていた時にこの病気です。

こいつと付き合いながら残りの人生をいかに楽しく過ごすのか?

思わず「最高の人生の見つけ方」をアマプラで有料レンタルして見てしまいました。(課金レンタルしたのは初めて😆)

人は生き、人は死ぬ その繰り返しだよ と やりたいことリスト、私も書き出そうと思います

最高の人生を模索しつつ、治療に向き合おうと思います。

2/21から治療が始まります。
入院はせずに通院で点滴をする治療です。

有効なセルフケアは無いと言われ、副作用も予測できず、正直怖いです、不安です。

しかし、なってしまったものは仕方ありません。
正面から向き合います!

免疫力を低下させないような生活スタイルを作り上げることは自身の心がけだけで出来ます。

できることはしっかりしつつ、治療に取り組みます!!💪

長文駄文をここまで読んでいただき、ありがとうございます🙇‍♂️
また、治療経過など投稿させていただきます。

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