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娘と吃音の話③〜ことばの教室〜(病院内)

前回は子育て支援センター内のことばの教室に通っていた時期のお話をまとめました。

今回は、そこの次に通い始めた病院内のことばの教室のお話をしたいと思います。

病院の中の「ことばの教室」って?

私たちが通い始めたのは、保険適応の病院内にある「ことばの教室」です。保険適応ですので、ありがたいことに交通費以外は無料で通うことができました。(ちょっと遠かったので交通費と時間は結構かかりましたが。)
分類としては小児科の中の「子ども言語療法教室」という形でした。
調べてみると残念ながら私の市にはなかったのですが、通える範囲内の近隣の市にはいくつか見つけることができました。気になる方は「子ども言語療法」というキーワードで検索してみるといくつか出てくると思います。

言語聴覚士とは

前回の支援センター内のことばの教室を終了することを決めた理由に「子どもの言語に関する専門的な知識を持った人が担当するわけではない。」というのがありました。そこで今回は「言語聴覚士さんがいらっしゃるか」という点を大切に検索しました。言語聴覚士さんについてはこちらのサイトでわかりやすく説明されています。

最初の方だけ少し引用すると、

言語聴覚士はことばによるコミュニケーションに問題がある方に専門的サービスを提供し、自分らしい生活を構築できるよう支援する専門職です。また、摂食・嚥下の問題にも専門的に対応します。

ことばによるコミュニケーションの問題は失語症や高次脳機能障害の他、聴覚障害、ことばの発達の遅れ、声や発音の障害など多岐に渡り、小児から高齢者まで幅広く現れます。言語聴覚士はこのような問題の本質や発現メカニズムを明らかにし、対処法を見出すために検査・評価を実施し、必要に応じて訓練、指導、助言、その他の援助を行います。

一般社団法人日本言語聴覚士協会 https://www.japanslht.or.jp/what/

というふうに書かれています。つまり言葉に関する様々な問題を支援してくださる専門家ということですね。我が子は吃音と場面緘黙が解決したい問題でしたが、そのほかにも様々な問題に対処してくださるようです。

言語聴覚士さんは様々な場所に所属しており、今回私がご紹介する病院内にお勤めされている方もいらっしゃれば、個人で教室を開業(?)されている方もいらっしゃいます。ちなみに我が市にも個人で経営されている教室は見つけることができたのですが、一回の受講に1万円程度費用がかかり、継続して通うのは難しいと選択肢から外しました。

探し方

「子ども 吃音」や「子ども 言語療法」というキーワードに「〇〇市、〇〇県」というワードをつけて検索をかけると、いくつか候補が出てきます。その中から比較的通いやすそうな場所で、評判も良い病院に連絡をしてみました。最初に連絡をした病院は大人気で、なんと「1年半待ち」でした。「もうそれじゃ保育園が終わっちゃう!!小学校入学に向けて必要な支援を考えたいのに!!」と明らかに落胆した私でしたが、その気持ちが伝わったのか、その病院から空きがあって信頼できる他病院をいくつか紹介してもらううことができました。ありがたや!!
そこで紹介してもらった病院の中で、我が家から通える場所は1つだけ。願いを託して電話をしてみると「3ヶ月待ち」とのこと。おお!それならちょうど年長さんになる頃から始められる!と二つ返事で空きを待つことにしました。(この時は年中の冬でした。支援センター内の教室は次年度継続しないことを決めましたが、年中の3月までは通い続けました。)

待望の専門家の支援だったけど

電話で連絡してから、約1ヶ月。
「1枠空きました」との連絡が来て、予想以上に早く通い始めることができました。
1回目の通院ではこれまでの生育歴と家庭や保育園での様子を聞かれました。あとは吃音以外にも発音で気になる点があるかなど言葉の面でいくつか質問に答えました。

そしていよいよ通院2回目から支援開始!!!
言語聴覚士さんもいるし安心!!
のはずでしたが。蓋を開けてみるとこれが違和感だらけ。

  • 娘が全然楽しそうじゃない。

  • 最初から最後まで雑談がない。(ひたすら訓練)

  • そもそも言語聴覚士さんが子ども好きそうじゃない。

  • 保護者の私に対するフィードバックがほとんどない。

  • 子どもの目も私(保護者)の目も見てくれない。

並行して通っていた支援センター内のことばの教室の時は、楽しそうな娘。でも病院に行く時は楽しそうじゃありません。「訓練」といっても、カードを使って動物の名前を言わせたり、絵を見ながらクイズに答えたりと言う「遊び」のような形なので、楽しいと言えば楽しい活動なのですが、先生が笑わないから娘も笑わない。たまに「ママみてー。」って動物のカードをこっちに見せてくれたりして私と笑い合ったりはするけど、「はい、こっち見ようねー。」と姿勢を正されて娘意気消沈。唯一楽しそうなのは途中の休憩時間で自由におもちゃで遊んでいい時でした。

夫も参加

数回通ってから、私は「他のところを探した方がいいんじゃないか。」と考えるようになりました。確かに専門家ではあるけれど、娘と相性が悪すぎる(というか私とも笑)。しかしそれを夫に伝えると、「まあ、そういうタイプの人もいるんじゃない。いろんな人と関わるのも勉強だし。完璧なところなんてないんだから、そんなにコロコロ変えない方がいいでしょ。そもそも専門家に見てもらいたくて変えたんでしょ?」と言われてしまい全く気持ちが伝わりません。百聞は一見にしかずということで、一度見に来るように伝えました。遅い時間の枠で通っていたので、夫も仕事を早く切り上げれば来れる時間だったのです。
結果、夫も娘が楽しそうじゃないことと、自分が質問しても面倒くさそうにあしらわれたことにびっくりして、「変えてもいいんじゃない?大変ならもうちょっとだけ様子を見てもいいけど。。。」という意見に変わりました。


受給者証という存在

次に通う場所を探すといっても、前回別の病院から紹介された中で我が家から通える距離にあったのはこの病院1つ。支援センター内のことばの教室を更新するという手も考えたのですが、結局「専門家に見てもらえない」という私が抱いた不安が付きまとうのでそれもやめました。「一体どうすればいいんだろう」と悩んでいた時にたまたま遊んだ友達から、受給者証の存在を教えてもらいました。「受給者証って何?」という方は、こちらのサイトに詳しく説明が載っていたので、ご覧ください。

受給者証は障害者手帳や療育手帳とは異なります。児童福祉法に基づいて運営している事業所の福祉サービスを受けるために必要なものです。それまで我が家の選択肢には「支援センター内(無料&専門家無し)or 病院(専門家&無料診療)or 個人経営の教室(専門家&高額費用)の3択しかなかったのですが、受給者証取得によって、ここに様々な児童向けの事業所が加わることとなり、選択肢が一気に広がることになったのです。受給者証を受け取るには、お住まいの市区町村や児童相談所での手続きが必要になると思います。取得を検討されている方は、情報を調べた上で役所の窓口に問い合わせてみることをお勧めします。

私が市の場合、

  • 医師の診断書は不要。

  • ただし、かかりつけ医などから「支援が必要」という一言と診断名を出してもらう必要がある。(何月何日にどこの医院で言われたか自己申告)

ということでした。
ちなみに児童向け福祉サービスの事業所の中でも、言語聴覚士さんがいるところは限られているので、事前に調査が必要です。私はありがたいことに、この情報を教えてくれた友人が既に子どもと通っている事業所内に、人柄が良い言語聴覚士さんがいるということがわかっていたため、そこに娘を通わせようと考えました。

辞めることを決意した一言

受給者証取得に向けて、ある日の授業後、言語聴覚士さんに以下のことを相談をしました。

  • 家から距離があるため、帰宅時間が遅くなってしまう。開始時間も遅めで娘が支援後半に眠くなってしまっているので、もう少し近場で早めの時間帯に支援が受けられるところを検討している。

  • 支援を受けられる場所の選択肢を広げるために、受給者証の取得を考えている。

  • 今後、小学校入学に向けて今の娘にどんな支援が必要か、先生からもアドバイスをいただけたらありがたい。

当たり前かもれしませんが、娘が楽しそうじゃないとか、あまり相性が良くない気がするという話はお伝えせず、あくまで事実をお伝えしました。実際保育園の後に車で長時間移動した後にこの支援を受けるのは娘の体力的に厳しく、後半眠そうにしていたり、実際に寝てしまうことが何度かあったのです。しかし、これを伝えたことで転院を考えていることが伝わり、担当の先生の態度がいつも以上に冷たくなりました。そして私が辞めることを決意した一言が、

「そもそも支援、支援って言いますけど、本当にこの子に支援が必要なんですかね?小学校に向けてって何ですか?別にここにいる時に吃音も出ないし。吃音があるって言われても、この教室内で出してくれない限り、こっちとしても支援のしようがないんですよね。むしろ支援が必要っていうのは、そっちの子みたいな子のことを言うんじゃないんですか?」

というものでした。
最後に出てきた「そっちの子」とは?
うちの第二子(男)です。
保育園帰りにそのまま行っていたので、息子も毎回一緒にいました。
息子は元気いっぱいで、教室内でもいろいろなおもちゃをやりたがるので、
娘の邪魔にならないように私も毎回苦労していました。
そしてそんな息子に先生が良い感情を持っていないこともひしひしと感じていました。
とはいえ、先生から言われた言葉は私にとって許せる内容ではありませんでした。この言葉から「娘の悩みが全然伝わっていない」、「教室で吃音を出さないから支援のしようがないと思いながら毎回やられていた」、「弟の落ち着きが無い様子を快く思っていない」ということが全て明らかになりました。

そもそもの話。全く雑談もなく、ひたすらカードで名前を言わせたりする活動の中で、娘が発するのは全て「単語」。しかもうちの子はしっかり言わなきゃと緊張している時ほど吃音は出ず、リラックスして何も意識していない時の方が吃音が出るタイプです。こんな空間でリラックスできるわけがないし、吃音がここで出ないのはどうしてなのか、どんな活動が効果的なのかを考えるのがそっちの仕事でしょ!!と言うのが私の意見です。娘のことも私のことも全然理解してもらってない、その上弟のことも悪く言う、どんなに技術があるとしても、もうこの人を信頼して通うことは無理だと思いました。

頭に血が上ってはいましたが、娘のために、冷静に冷静に。
「先生のお考えはわかりました。とにかく私は別の選択肢も考えてみたいのですが、娘が吃音で支援が必要ということは認めていただけますか。そしてそのようにこの病院で言われたということを役所に伝えてもいいですか。」という確認を取りました。

「はい、もちろん。どうぞ。ご自由に。」
適当にポイっと匙を投げられた感じではありますが、
こうして必要な一言をもらうことはできました。

まとめ

結果的にこの病院内のことばの教室に通院したのはほんの2カ月程度でした。念の為お伝えしておきますが、あくまで私の娘と私には相性が悪かったというだけで、この言語聴覚士さんに救われている方もきっと多くいらっしゃるのだと思います。次回は放課後デイケアサービスの話をしようと思いますが、こちらの言語聴覚士さんとの相性は最高でした!!病院に2カ月通って一度も吃音を出すことがなかった娘が、こちらの施設では見学に行った1日目にたくさんおしゃべりして吃音出しまくりでした笑。同じ言語聴覚士さんといっても、やはり人によってこんなにも変わるのだなと驚きました。そしてそれは教員という立場で働く自分の胸にも深く突き刺さる経験でした。

それではまた次回。


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