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オレオレ

本当にお昼ご飯を食べに自宅を40分ほどあけた間だった。
帰宅した自分の顔をマジマジと見て、母が言う。
「なんで電話してきたの?」
「は?電話?」

聞くと5分くらい前に自分と電話で話したという。
ボケたのか?と言われたので、そんなことはないだろうと思いながらも念の為、自分の発信履歴を見る。
もちろん通話記録はない。

「一体、何を話したの?」
「いや、ちょっと話してすぐ切った」
おかしい。これは隠してる。しかもなんかまずかったことに気づいて隠そうとしてるな……。

問い質すと実は結構話し込んでいることがわかった。
しかも相手は自分だと信じて疑わなかったようだ。
30分前まで一緒にいたのに……。
携帯を忘れたから、人から借りて話してると言ったらしい。
「なんかおかしいと思ったんだけどね……」

あまり手口を詳らかにしたくないので、これ以上は書かない。
とりあえずは被害はなかった。
しかし、実はその一週間前にも、年末にも同じような電話があった。
自分が出るとガチャ切りされる。

すぐに地元警察署に電話した。
一度、自宅に侵入者があった時にもすぐに通報したのだが、今回は「担当係に回しますね」と言われた。
しばらく待っていると、こちらのそれまでの話を引き継いだ「専門」の担当者が登場。
こういう話の場合はこういうパターン、こういう時はこう対処みたいな話をたくさんして頂いた。
そして話をした母本人が電話でさらに説明を受けた。
20分くらい話をしてもらっただろうか。
電話を切った母はあからさまにものすごく落ち込んでいた。
かわいそうになるくらいに。
まさか自分が引っかかるとは思っていなかったらしい。

昔はカタギ騙して、ましてや年寄りを騙すなんて下の下の手口だったのに今は平気でやるんだな、とその世知辛さを身近に感じた。
周囲は十分対策を講じているつもりでも、それを乗り越えた悪知恵でやってくる。
人の心が残っているのならばやめてほしい、と切に願う。

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