神尾将一

楽隠居。 フリーライター、映像プロデューサーなどをやっていました。 「時代劇マガジン」…

神尾将一

楽隠居。 フリーライター、映像プロデューサーなどをやっていました。 「時代劇マガジン」の必殺シリーズ、「東映ヒーローMAX」での平成ライダー出演者インタビューなどを10年ほど務め、2011年10月に街の探検誌「ゆうふぉりあ」設立。

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標榜

「自分を楽しんでますか?」 かつて2000年代初頭に郷ひろみが出演していた高須クリニックのCMキャッチコピーだが、どれくらいの日本人がこの言葉を真摯に受け止めていただろうか。がむしゃらに働き、我慢や辛抱が美徳とされる国で。 CMに映し出されるドバイの郷ひろみはまるで別世界のブルジョアだった。 2018年までがむしゃらに働いていた。 老後の不安。 高い税金を支払うため。 他人から遊んでいると思われないようにするため。 そして、寝る間を惜しんで働き続けている自分に酔っていなか

    • マンデラエフェクト

      まずオカルト的なものについて語る人を自分は信じない。 どれも何かしらの説明がつくものだと思っている。もっとも霊的な体験は不動産業に関わっていると、必ず経験するのでそれもそんなもんだろうと思うことにしている。 が、ここのところ、ちょっとしたことに悩まされている。 「記憶」に関することだ。 最近、特にひどくなってきたのでここにメモをしておこうと思う。 きっとこのメモさえ時空線を跨いでしまえば無意味なのだろうけれど。 最初の体験は数年前、ヨーロッパを訪れた時、時空の歪みを感じた

      • 昔々に描いた絵

        • パラサイトを観て映画の宣伝の在り方を考える

          「見なけりゃよかった」 それが見終わった後の最初の感想。 作品の質の問題では決してない。 そして決してつまらなかったからでもない。 単純に自分が好きなタイプの作品ではなく「今日、これ観て良かったね」と思える作品ではなかったから。 あれ……? じゃ、そもそもなんでこの作品を観に行こうと思ったんだ? 最初はテレビだったか。パルムドールを獲得し、アカデミー賞作品賞に初めてノミネートされたアジアの作品。 ふむ、そりゃすごいね。どんな映画なんだろう?と思うのは至極当然。 すると「ネ

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          パリの風景(3)

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          パリの風景(2)

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          かんだやぶそば

          1880年(明治13年)創業の「かんだやぶそば」。 このお蕎麦やさんがどれだけ歴史があってすごいお店なのかは様々に情報が溢れている。 最初にこのお店に訪れたのは高校生の頃だった。 当時、ネット情報もなかった時代、「美味いもの」を知るのは専ら本だった。 学校が九段で、帰り道に神保町に寄って本を買い漁り、軽く夕食を食べて帰るということを日課としていたため、知識として仕入れた神田界隈の「美味い店」には率先して次々入っていた。 その蕎麦の総本山的なお店が「神田薮蕎麦」だった。

          かんだやぶそば

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          パリの風景

          パリの風景

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          「リチャード・ジュエル」どこまでが実話?

          (リチャード・ジュエルのネタバレを含みます) すっかり「実話の完全映画化」を早撮りすることで1ジャンルを確立した感のあるクリント・イーストウッド。今回の作品もそんな実話映画化の最新作だ。 冤罪事件として米国では有名なリチャード・ジュエルを主人公に、無実の罪を着せられる一般人と、無責任に煽り立てるメディア、大衆の愚かさを描く。 アトランタ五輪爆破事件は記憶に新しいが、こんな事になっていったのは正直知らなかった。 緊迫した爆発のシーンは声上げて驚いてしまった。 だが、観ているう

          「リチャード・ジュエル」どこまでが実話?

          オレオレ

          本当にお昼ご飯を食べに自宅を40分ほどあけた間だった。 帰宅した自分の顔をマジマジと見て、母が言う。 「なんで電話してきたの?」 「は?電話?」 聞くと5分くらい前に自分と電話で話したという。 ボケたのか?と言われたので、そんなことはないだろうと思いながらも念の為、自分の発信履歴を見る。 もちろん通話記録はない。 「一体、何を話したの?」 「いや、ちょっと話してすぐ切った」 おかしい。これは隠してる。しかもなんかまずかったことに気づいて隠そうとしてるな……。 問い質すと

          オレオレ

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          The Eiffel Tower

          The Eiffel Tower

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          『啞侍・鬼一法眼』 47年分の想い

          毎週日曜日夜9時半、鬼のような顔をした異人「イスパニア人ゴンザレス」が現れる。 情け無用に老夫婦を惨殺し、少年の首を真一文字に切り裂き、あどけない少女を陵辱して去っていく。そのオープニングナレーションと共に繰り広げられる画像が子供心にものすごく怖かった。 楽しみに観ていた父親の影響で毎週観ていた。 家にはレコードもあり、主題歌もすっかり覚えてしまった。 静かな歌い出しからアップテンポに変わる「孤独に追われて」は無茶苦茶カッコいい。 歌っている勝新の声もまたいい。 小学校低学

          『啞侍・鬼一法眼』 47年分の想い

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          Notre-Dame de Paris

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          泣くために観たい「男はつらいよ・お帰り寅さん」

          (男はつらいよ・お帰り寅さんのネタバレ含みます) 映画を観るときの一つの基準として、周囲の友人たちの評価がある。 もちろんネットでの書き込みも参考にするが、実際に知っている人間の感想というのはイメーシがしやすい。 為人が分かっているからだ。 で、最近やたらと友人たちの間で評判が高い作品があった。 「男はつらいよ・お帰り寅さん」だ。 皆んなが皆んな「泣いた」と言う。 そりゃきっと素敵な作品に違いない。その思い込みによるハードル上げが良くなかった。 結果から言うと全く泣けなかっ

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          死んでいく土地、甦る土地

          本日売却をご希望される物件をお持ちの方と面談した。 かつてのリゾート地をまとめて幾つもお持ちなのだが、なかなかそこに行くこともなくなり、持っているだけで経費もかかってくるので処分したいということだった。その物件を見て思うことが幾つかあった。 自分は長い間、不動産業も営んでいる。その動きを見てきた中で日本中の土地が死んだのはバブル崩壊から10年後の1998年ごろだったと思っている。 都心でも繁華街の一等地が信じられないような価格で投げ売られ、しかも銀行や金融機関も貸すのを渋り

          死んでいく土地、甦る土地

          フォードvsフェラーリに燃える。

          (フォードVSフェラーリのネタバレを含みます) すごい映画だった。 身体が痺れるシーンが幾度となくあった。 特にデイトナでエンジン回転数upを指示するシーンと、やはり後半のルマンは胸熱な展開の連続。 職人気質の人間が、大企業の禄を食んだときに起きる化学反応は今の世でも全く同じ。 理不尽に我慢を重ねた末に感情を爆発させるカタルシス、その作劇の緩急が素晴らしい。 そこまで車好きという訳ではないが、もう少しあとのスーパーカーブームやそのあとのF 1ブームを体感してきた世代として

          フォードvsフェラーリに燃える。