「落下の解剖学」 “分からなさ”とどう付き合っているのか
アカデミー賞作品賞候補作品「落下の解剖学」を観ました。
スリリングなサスペンス、ではない
まず、この映画に「スリリングなサスペンス」や「いわゆる推理モノ」を期待して観にいくと大きな肩透かしを喰らいます。
事件パートにも裁判パートにもスリルはないし(違う意味で存分にスリリングではあるが)、巧妙なトリックもなければ痛快な解決パートもない。
この映画は、日常に溢れる“分からなさ”とどう付き合うか、いや、現に私たちは“分からなさ”とどう付き合っているのかを、ある男性の死とそれに