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困ったおばさんの言い分

今日はお休みで朝から断捨離に勤しみました。
いよいよ季節が変わったと感じる夏日の今日。洗濯物がようやく乾きそうなお天気に恵まれました。これは断捨離にうってつけ。

“断捨離日和“ってあるんです。
雨の日はやめた方がいい。何故なら、一年間しまっていた夏物の洋服たちをクローゼットや衣装ケースなどから出した時、少々湿気っぽかったりシワがついていたりして洗濯物がどっと出ます。それらを洗濯したりスチームを掛けたりながら、秋冬物の断捨離をしていきます。

3年ほど着たものは断捨離率が高いです。私は洋服の販売をしているので、その年に買ったものを中心に、2〜3年ものとコーディネートして頻繁に着用するので順次古いものから処分していきます。なのでクローゼットの中の洋服の数は常に一定枚数を保っています。

私は普段から手洗いできるものはほとんど自分で洗います。セーター類やボトム類は家で手洗いしますがコートなどのアウター類は難しいです。この先の天気予報をよく見て、朝晩も冷え込む日がないことを確認し、この冬よく着たダウンコート2枚とライナー付きコートをクリーニングに出すことにしました。いつも使っている近所のクリーニング店は木曜日は30%オフ!早速持っていくことにしました。

店に着くと、入口に男性が大きな袋を肩掛けにして立っています。どうやら中にお客さんがいるようで、順番待ちをしています。私も男性に続いて並びます。
中のお客さんがなかなか出てこなくて少しイラつきましたが仕方がありません。大人しく待ちましょう。男性はスマホでゲームをしています。私が並び始めてからすでに10分近く経っています。ゲームでもしないと間が持たないよね。

ようやく先客が店から出てきました。続いて男性が中へ入ります。
この店はお客一人が入ったらいっぱいで、とても狭いので仕方がありません。
自動ドアの外側の傍に立って待ちます。
そこへ年配の女性がカートを引きながらやってきました。
私が外に立っているのを見て、中に人がいるのを確認し、順番待ちをするために私の後ろに並ばれました。ご婦人が立っている場所は日差しが強く当たり、とても暑そうでしたので気の毒に思い、「暑いからこちらにどうぞ」と軒下の日陰に入られるよう促しました。

「すみませんね。ありがとう。時間かかりそうね?」と仰って、二人で並んで待つこと5分。そこへまた別のお客さんが現れました。私の次に並んでいる年配の女性と同じか少しお若いかな?年の頃は70半ばといったところ。
二人の先客が並んでいることにため息をついたかと思うと、私たち二人にこんなことを言い出しました。
「私、さっき、先に来てたのよ。後で来るからって荷物預けてあるの」
わざわざ並んでいる私たちに向かってそんなことを言う、ということは私はてっきり買い物に行くために、クリーニング済みの受け取った荷物を預かってもらっていて、それを帰りにピックアップするために再び立ち寄られたのかと思いました。

そのタイミングで私の前の男性客が出てきたので、私はそのおばさんにこう声をかけました。
「受け取りだけならお先にどうぞ」
すると、その人は一瞬怪訝な顔をして、何も言わずに黙って中に入っていきました。
私と私の次に並んでいる女性はその時同時にその様子に違和感を覚え、お互い顔を見合わせて「?」な雰囲気になりました。なんだろ、一言「ありがとう」とかなんとか言えないのかね?と言う感じです。

クリーニング済みの荷物を受け取ったらすぐに出てくると思って待っていたのになかなか出てこない。ガラスの自動ドア越しに中を覗くと紙袋からセーター4、5枚を受付けカウンターの上に出して並べている。そこで私と次に並んでいる女性はようやく事の真相を理解しました。

「荷物を置いてった」と言うのは、つまりはこれからクリーニングに出すものだったのです。どこか他に行く用事があって時間が押していたのかは知りませんが、自分の都合でこれから出すものを勝手に店に置いて、受付も支払いもせずにどこかへ出掛けて用事を済ませ、再びクリーニング店に戻ってきたら中にお客がいた。そして外に二人も並んでいるのを見て先ほどの言葉を発したのです。

おかしくないですか?
この状況で「私が先だから」なんて普通言えますか?
重たい思いをしたくないから勝手に置いてっただけでしょ?整理券出ましたか?
勝手に置いてっただけなんだから、受付がまだなら順番に並んで待てよ!
しかも、私が言った「受け取りだけならお先にどうぞ」という言葉に怪訝な態度をとった、ということは、私が勘違いしていることを分かっていたということです。

私は猛烈に腹が立ってきました。その客に対してはもちろんですが、そんな自分勝手なルールを認める店側の方に爆裂腹が立ちました。
時間を無駄にすることがぺっぽう嫌いな射手座の私にとっては、我慢の限界。
その時点で20分以上、店の外で待っていたものですから怒り心頭です。
正直者が馬鹿を見る?そんなことは許されません。

私は私の次に待っているご婦人に思わず「ひどいですねぇ。これから出すものを勝手に置いてったのに、よくも先に入って行けるわね」と愚痴ってしまいました。するとそのご婦人はとても悲しそうな表情をして私に言いました。
「これからなんでもこんなふうになっていくんだと思います・・・」
私は何について仰っているのかピンとこず、少し考えてしまいました。
その表情があまりにも落胆に満ちていたので想像しました。きっと、幾度となくこんなふうな理不尽な場面にお会いになって、その度に面と向かって文句が言えないご自分に慣れることに悲しくなっておられるのではないだろうか、と。

むむむ!これはいかん!こんなことが罷り通るなんて、あってはならないことだ!これぞ“おばさんあるある“、自分の勝手なルールをど厚かましい態度で平然とやってのける不条理に、もの言えぬ気の優しい人が一方的に我慢を強いられるなんて、あってはならんのだ!そんな理不尽に慣れてはいけませんよ!!!

支払いを終えてようやく出てきたおばさんに睨みを効かせて店内に入るや否や、店員さんに一喝しました。
「並んで待ってるのにあれはないんじゃない?あんなこと認められたら困りますよ!ダメでしょ!」
すると店員は私の目を見ず、言い慣れたセリフのようにこう言いました。
「すみませ〜ん、仕事が遅くて。あの方さっき荷物置いて行っちゃって。わたし週一のパートで慣れなくて。がんばりま〜〜す」

誰がそんなしょーもない言い訳聞かなあかんねん?仕事が遅いのはさっきから承知の上じゃ。こちとら25分も待っとんねん。あんた、ガラス越しに見とったやろが。
「あのね、荷物を置いて行ったのはあの人の勝手でしょ?店側はちゃんと順番に並んでくださいって言わなきゃダメでしょ!私たちが外で並んで待ってるの見てたでしょ!?」

「はぁ〜〜い、すみませ〜〜ん、一人でやってるものですから。遅くてごめんなさ〜〜い」

こりゃあかん。話題をすり替えんなよ。こういう話が通じない人間が一番嫌いなんだよあたしは。
もう、口も聞きたくない。早よせいや。とっととやってくれい!

モタモタとトロい手順でレジを打ち、わたしは無言で支払いを済ませてとっとと店を出た。次に並んでいた悲しげなご婦人に向かって、自動ドアが閉まる前に店員に聞こえるように大きな声で言った。

「遅くてすみません!お待たせいたしました!」
するとご婦人は満面の笑みで「いえいえ、ありがとう」と仰った。

何故ありがとう?
もうね、人間性が出るよね。さっきの自分勝手なおばさんや、話すり替え術の店員とは雲泥の差だわ。
しかしこういう優しい人がさっきの図々しいおばさんみたいな人にやり込められる世の中って、どうなのよ!?
「ちがうだろーーーっ!!!」
と、私は言いたい。

なんか私、間違ってます?

#交換日記 #困ったおばさん #怒り #理不尽 #不条理 #エッセイ









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