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理学療法士が手技に傾倒する【ワケ】

僕は元々理学療法士が手技に傾倒する事を良しとしていません.
理学療法士における手技はほとんどがビジネス化しているのが現状ですし,手技のセオリーはほとんどがアセスメントが薄くなっているからです.
アセスメントが手薄になるという事はクリニカルリーズニングが出来ないという事になりますから,自身が行う理学療法全体のレベルが上がりません.
おそらくその事自体も気づいていない事だと思います.

なぜ手技に傾倒してしまうかと言うと基本的な知識不足にあります.
僕自身の経験でもありますが,臨床に出てまず何が困ったかと言うと,患者さんに何をしたら良いかが分からなかった事です.
そもそも評価も出来ていないのでアプローチも良いものが出来るわけがありません.
【理学療法技術ガイド】などの該当疾患の所に書いてあるアプローチの部分だけを漫然とやっていました.
『何をやったら良いか分からない』から手技に頼るのです.
『〇〇の症状の人に対してのアプローチを知りたいからその手技の研修に行く』と言う事を繰り返します.
手技のセオリーは対症療法的に『〇〇の症状に対しては〜〜をしましょう』です.
こじつけて理論立ててはいますが,ほとんどの場合反証が不可能であったり,医学的な検証に耐えうる論理ではありません.

ここまで何回か書いた『〇〇の症状に対しては』と言うフレーズ,ここに今の理学療法の問題点が集約されています.
症状は患者さんに出現している結果であって,その原因となる病態を考えないと本当に必要なアプローチは分からない事です.
そして手技に傾倒して症状の原因を考えない事は論理的な思考を遠ざけ,自身の理学療法士としてのレベルが停滞してしまうのです.

筋膜を直接刺激しても疼痛はほとんど発生しない
これを知っていれば筋膜リリースばかりやりませんよね.
凍結肩の可動域制限は筋に由来するものではない』
『凍結肩は神経の終末の変性を伴う』

これを知っていれば筋ばかりにアプローチしません.
【半球間抑制】や【Laterality Index】の概念を知っていれば安易に利き手交換は出来ないはずです.

プログラムを考えるときは必ず病態の把握が必要です.しかし,基礎医学や絶対的な知識量が小さいため病態を深く掘り下げられていないのが現状だと思います.
手技のようなアプローチの方法も重要ですが,そこにはビジネスが介入しています.手技を知ったからと言って【理学療法士】としてのレベルが上がったとは勘違いしないでください.
医学的知識の向上こそが原因を突き止める方法ですし,そこからアプローチを考え出す方法なのです.
アプローチを考える前にしっかり病態を捉える事.これを突き詰めて行けば手技に頼る事なく自分の理学療法を提供出来るようになるはずです.
【症状】の原因は様々です.【症状】に対する手技的アプローチでは全例に改善するはずもありません.
たまたま,病態が一致したり認知バイアスがかかって『良くなった』と感じる事もあるでしょうが,それは最適解ではありません.
【症状】の因子である【病態】を探り出す知識をまず身につけて下さい.

最後にPTの多くが陥っている事象を共有します.
【自信】の青い線がピークのところから成長していないセラピストがほとんどです.

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