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腰痛の原因を分類してみよう

一言に【腰痛】と言っても、その原因及び疾患は様々です。
どうしても【症状】でくくってしまうので、効果的なアプローチが出来ない事になります。
例えば【ぎっくり腰】。急に発生する腰の痛みですが、この病態が詳しく語られる事は少ないです。良く言われたのは椎間関節の捻挫でしょうか?
しかし、ぎっくり腰も痛めた組織によって原因が違います。
椎体?椎間板?関節? これらを吟味する必要があるはずですが、ぎっくり腰でひとくくりにされています。
‘器質的変化がないもの’と言われるかも知れませんが、そもそも画像所見を取っていなかったり、椎体終板をX線では評価出来ませんから抜け落ちもあるでしょう。

腰痛がある‘疾患’

◇変形性腰椎症
◇椎間板ヘルニア
◇腰椎分離・辷り症
◇脊柱管狭窄症
◇圧迫骨折
◇後縦靱帯骨化症
◇悪性腫瘍
◇急性腰痛症(ぎっくり腰)
◇筋・筋膜性腰痛
◇心因性腰痛
◇その他

代表的な腰痛の疾患です。
疾患別でも腰痛の原因はある程度分けられます。
椎間板ヘルニアであれば、椎間板そのものの痛みに、神経による痛みが付随します。圧迫骨折であれば、椎体の痛みがメインでしょう。

腰痛を発生させる‘組織’

それでは、今度は腰痛を引き起こす‘組織’を考えます。
◇椎体
◇椎間板
◇椎間関節
◇神経
◇筋
◇脳実質
◇その他
腰痛は何によって引き起こされるかこれらを区別する必要があります。

ここで紹介したいのは、1991年に出された論文。
The tissue origin of Low Back Pain and Sciatica. Orthopedic Clinics of North America.
少々古いですが、手順はしっかり踏まえられており、信頼に足る物です。
腰部のオペ193例の手術操作中、一つ一つの組織を刺激して痛みを確認したという内容です。

これによると、強い腰痛や下肢痛が生じたのは、圧迫および伸張された神経根で、髄核や線維輪を含めた椎間板では、強い痛みは30%程度、違和感は70%程度に発生したとのことです。
椎体終板や椎間関節包も違和感を感じる事が多く、1割未満ではあるものの強い痛みを感じる例がありました。
注目点は、筋膜が破れている症例が多く、筋膜は’刺激による痛みが全く無かった‘という事。しかし、筋膜を血管や神経が貫く場所は痛みが発生したようです。近年の筋膜リリースはここが治療対象になっているのでしょう。

腰椎のマクロなバイオメカニクスを観ると、
腰椎全体への剪断力、圧迫力、屈曲力それぞれの負荷は、
◇剪断力:椎間板2/3    椎間関節1/3   (椎間板はズレ応力で移動があり、その分関節への応力も増大する)
◇圧迫力:椎間板5/6    椎間関節1/6 (腰椎前弯位)
       椎間板の狭小化が進行すると、椎間板に対する応力の70%が椎間関節に対する負荷となる
◇屈曲力: 椎間関節39%  椎間板29%  棘上・間靱帯19%  黄色靱帯13%

体幹前傾位で椎間板の内圧の変化は、立位で1.5倍、座位体幹前傾では安静立位の1.8倍にもなります。

執筆継続中・・・

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