【連作短編小説】「ジャパニーズ・フィフティ・ピープル」(佐々木 千佳)
SNSは毎日のようにどこかで炎上している。だがこれほど炎上を身近に感じたことは千佳にとって初めてのことだった。自分自身が炎上した訳じゃないにも関わらず、だ。
きっかけは、だいたいの炎上がそうであるようにささいなことだった。とある妊婦がSNSに投稿した一枚の写真が、心ない言葉とともに拡散されたのだった。
その内容は、妊婦が産休に入る際に『産休をいただきます』というメッセージとともに赤ちゃんのイラストが描かれたクッキーを配ったというものだった。批判する人たちの意見としては、