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【十二国記 感想】⑥ 急にうろたえ!園糸どうなる?!


ネタバレあります

 

 先日投稿した感想⑤の暑苦しい長文の中で、「白銀の壚~」のラストシーンについて書きました。いいラストシーンだとやはり思います。
 しかしその時に『戴史乍書』の直前の一文に少し引っかかったのです。

 園糸が、眩しく輝かしい晩夏の光の中でお守り石を探す我が子に、その石は誰のため?と項梁を思いながらも、口にできないでいる場面。その最後の一文は
「——じきに来る戦乱の予兆など欠片もなく。」

 この最後の一文は、次の『戴史乍書』に続く繋ぎとしてさらりと読んでいたのですが・・・だんだん気になり度が大きくなってきました。

 読みようによっては、園糸のこれからの苦難と悲しみを予感させて幕を閉じる感じです。

 ラストシーンが晩夏、この時点からわずか数か月で驍宗は阿選を討ち、玉座を取り戻したと『乍書』に記されて物語を終えるのですが。

 確かに、驍宗が李斎らと江州の城に入ってからはとんとん拍子、さすが驍宗様、そのお姿を拝見したかったわ~などと思っていたのですが、その数か月は、戴は国の行方を左右する内戦のただ中に置かれるわけです。
 そして項梁は、もともと禁軍の師帥。王直属の軍人として必ず戦に出ているはずです。

 まさか、まさか項梁、この戦で死んだりしないよね?
 園糸が項梁への想いを口に出せずにいることさえ思わせぶりに感じられてきます。

 いくら、厳しい人生も正面から書く!というスタンスの小野先生でも、これはフィクションですぞ!なにとぞ、何卒ここはひとつぅぅ、ほんのり幸せな場面で終わらせてくだされ―――、と勝手に妄想を膨らませた挙げ句取り乱してしまうのでありました。

 私の中では、やがて出版される短編集の中で、"東架の郊外の畑で一心に働く園糸。ふと視線を感じ顔を上げると少し離れた場所からこちらを見つめる人影、やがて園糸はそれが誰なのかを悟り・・・』という一編が入っていることは決定事項になっていましたから。
 ⑤ではクールに「作者小野不由美は・・」などと書いていましたが、もうそんな仮面はかなぐり捨てます。「園糸、園糸を・・・なにとぞしあわせにぃぃ」と小野主上の衣の裾に取りすがって泣き崩れたい。しゅじょう―――

 そんなことで取り乱していたら、去思にも「余計な事すんなよ」と、ちょっと女心について釘を刺したくなりました。
 驍宗が戻り、玉座を取り戻す戦い。そこにはもう素人である自分の出る幕はない、と去思本人も分かっており、そうすると東架の里に帰ることになるでしょう。
 当然園糸に会い、項梁の消息なども伝えることになると思うのですが、項梁が、「園糸の許に戻る」という約束を果たすつもりでいることも喋るでしょうか?
 これから戦に出る男の約束。知らないままの方が園糸にとって幸せなのか?それとも、項梁の思いも実直に伝えておいた方がいいのか。園糸は、戻るという言葉を項梁の別れ際の社交辞令だと心の底に埋め、前を向こうとしている。

 去思どうするんだろ?

 まあ、項梁が無事に戻ればそれですむことです。去思だって浮わついたところは無い、どころか誠実そのもの。彼の言葉は、どんな内容であれ園糸を傷つけることはないでしょう。
 項梁に何かあるなどと決まったわけでもないのにこのグルグル。
 全く大きなお世話です、私。

 しかしこのnoteは、十二国記の解決しようもないグルグルを解消するためのもの。これでいいのだ。

 そして、もう春が来ましたよ~花が咲きましたよ~短編先行プレゼント、まだかな―――。でもこれだけの大作をものされた小野先生、お体ぜひ大切に―――。

 というわけで、書く予定のなかった緊急うろたえを書きました。


つづく

お読みいただきありがとうございます。楽しんでいただけたなら嬉しいです😆サポート、本と猫に使えたらいいなぁ、と思っています。もしよければよろしくお願いします❗️