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『  ネクローシス  』

詰まらせがちな腸

辛うじて動く手足

食べ物を飲み込む喉

食べた物を消化する胃

吸って吐いては膿を垂れる鼻

多少欠けてもまだ使える片目

噛み合わせがおかしい歯と顎

慌ただしく血液を巡らせる心臓

言うことを聞かない頑固な脳みそ

毒素を分解しては体外に出す臓器

下手くそながらも酸素を確保する肺

意味のない言葉の羅列を音にする口と舌

脳と和解出来ずに目的もなく存在する生殖器

音は拾っても聞こえの良い言葉は拾えない鼓膜と耳

その他諸々の器官



それぞれが互いに依存し合いながら生きるしぶとい生命の集合体が、僕

本心がどれだけ阿鼻叫喚しようが無視して、自分勝手で邪魔な奴らだ

恨めしい繋がった線と線を一本ずつ断ち切ってしまおうか

気づかれないように一つずつ蝕んで、腐らせて、壊してしまおう

緩やかに迫り来る死期に喜んでは笑みを浮かべてやるさ

寒空の下思い通りに動かない半身引き摺って、その場凌ぎの幸福と永遠の死への片道切符を買いに行く

生と死の狭間は居心地悪くて、却って心地良いから困る

思いに反して無駄に引き延ばされる寿命と、身体が裂ける思いで死に切れない

これじゃ生殺し、坂を少し歩いただけで息切れするから生き切れもしない

どう頑張っても酸素を上手く掴めない肺と、煙と酔いで簡単に得られるハイ

脳みそが簡単に騙せる馬鹿な奴で心底良かったよ

嗚呼、俺の死にたい言葉で簡単に救われてしまう人間がこの世に居ませんようにと願うばかり

何でって、しょうもない言葉で誰かが救われるより先に救われるべきなのは俺の方だから

お前にも誰にも俺を救えないからさ

地道に頑張ってる俺より先に逝くなよ

頑張りが報われて初めて救われる俺の命



裏切ったら死んでも許さない

頼むからさ
一思いに、死なせてくれ

手首も切れやしない貧弱な希死念慮を

強く抱き締めて永遠の眠りに就きたい

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