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『死にがいを求めて生きているの』

たった今ある1冊の本を読み終わりました。



私の大好きな小説家、朝井リョウさんの『死にがいを求めて生きているの』。これがまぁなんともすごかった。

植物状態のまま病院で眠る智也と、献身的に見守る雄介。
二人の間に横たわる〝歪な真実〟とは?
毎日の繰り返しに倦んだ看護士、クラスで浮かないよう立ち回る転校生、注目を浴びようともがく大学生、時代に取り残された中年ディレクター。
交わるはずのない点と点が、智也と雄介をなぞる線になるとき、 目隠しをされた〝平成〟という時代の闇が露わになる。今を生きる人すべてが向き合わざるを得ない、自滅と祈りの物語。

圧倒的に自分のボキャブラリーが不足しているので今自分の心のうちにあるこの感情を表す適切な言葉を見つけられていないのですが、とにかく今まで読んできた朝井リョウ作品の中で1番好きな本になりました。

小説なのでフィクションなのは当たり前なはず。なのに100%フィクションと言い切れないそのリアルな感触。率直に言って読み進めれば進めるほどリアルすぎて怖くなります。まるで自分のことも見透かされているようで。


「生きがい」が無いと生きていてはいけないのか。

生きる目的ってどうやって見つけるんだよ。

誰か、僕が、私が、生きていていい意味を教えてよ。

お前は価値のある人間なのかよ。

ただ生きてるだけでいいって本当に言えるの?

あなたの生きている意味は確かにあると言えるのか。


そんな言葉にしきれない想いが暴れまわったのちに最後に迎えられる静かな祈りとほんのかすかな希望。

この2019年、平成が終わり、令和が始まったこの時代を生きる人たちなら誰が読んでもぶっ刺される。確実にこちらの心臓を突いてくる。そんな1冊だった。


500ページ弱というページ数に確かに時間は費やしてしまったけれど、これだから読書はやめられない。


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