見出し画像

はじめてのHIV検査 in Paris その2

ボンジュール、皆さま。
訪れてくださってありがとうございます!
前回に続いて、パリで初体験した「HIV検査」のエピソードをお届けします。

医師から指示された謎の検査
フランスは、まず総合診療医(ジェネラリスト)に診てもらい、その医者から薬を処方されることもあれば、専門医を紹介されたり、ラボでの検査を指示されたりするのが一般的なプロセス。その上、皮膚科や婦人科、歯医者などの専門医は、予約に数ヶ月かかることもよくある。

さらに顔中に広がったおできのせいか、熱も下がらず体調最悪の私は、とても職場へ行ける状態ではなかった。セビージャから戻り、手っ取り早く予約できた初めての近所の医者に飛び込んだ。代理で今日だけ診療しているという早口な若い女医との問診は、女友達の近況キャッチアップのようだ。

「最近パートナー変えたでしょ? あら違うの?あなたの歳で一度も妊娠してないと、身体に異変が起きたりするのよね、私の叔母もこの間ね、いきなり蕁麻疹が出たのよ。」

唐突にプライベートに踏み込み、ひたすらよく喋る。ひと通り終わったところで「〇〇〇の検査はしたことある?」と質問されたが、聞き返しても意味がよく解らなかったので、早く横になりたい私は「多分、ノン。」と適当に答えた。

すると、少し驚かれて「受けなきゃ、ダメよ。ここに行けば無料で簡単に受けられるから、今日か明日行きなさい。結果が出るまでこの塗り薬で悪化を防いで。」と処方箋を渡された。

フランス語に自信のない私は、心配してくれていたフランス人の同僚に「これは変な検査ではない? 本当に無料?」と用件だけを手身近に聞いてみた。

同僚や友達にフランス語を助けてもらうのは罪悪感でいっぱいになる。普段はなるべく自分で何とかしたいし、そうすべきだと思っているけれど、弱った時は甘えてもいいよね? 

彼女は「ウイ、無料よ」とだけ返事をくれた。

セビージャへ連れ出してくれた友達。
次回はもっと食い倒れたい!

ドキドキの検査当日
翌日の午後の開始時間に合わせて、家から一番近いその検査ができるメディカルセンターへ向かった。この時、デキモノたちは顔中を侵食し、切り傷のように化膿している部分もあって見るに耐えない状態。とは言え、隠したくても顔全体だから覆いようがない。

到着すると、外にはすでに列をなして並んでいる人がちらほら。7割が男性、3割程度が女性、カップルもいるようだ。そしてここはパリ19区。右岸の北のほうで6区や15区とは違い、決して治安が良いエリアとは言えない。
誤解を恐れずに言うと、並んでいる人たちもパッと見ガラが悪い。人種もアフリカ系、アラブ系の人たちが圧倒的に多く、平均してみんな身体が大きい。

その中に並んで待つ小柄な私は明らかに場違いだったが、原因不明のデキモノの正体を突き止めるべき、検査を受けなければならない。

ようやく中に入るとそこら中に「STOP AIDS」のポスターが貼られているし、受付の横には、子どもの頃に駄菓子屋さんでよく見かけたプラスチックの容器にコンドームがたくさん詰まっている。私はやっと自分が何の検査をしに来たのか理解した。何も解らずに同僚に聞いたことが少し悔やまれた。
この日の検査項目は実際、HIV検査、C型肝炎、A型肝炎、梅毒とクラジミアだった。

続きはまた。
2023年5月22日
さぁや、パリ。

検査を待つ時にはすでに遠い過去に思えたセビージャの街並み


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?