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映画感想文「隣人X」最後まで目が離せない。自分のアンコンシャスバイアスに気付く映画。上野樹里万歳!

テレビを観なくなって10年経つ。

全く不自由はない。

ドラマは様々なメディアで後から視聴できる。ニュースは新聞とネットで事足りる。世間の騒ぎをみたければ、YouTubeがある。

キッカケはワイドショーの報道が辛くなってきたことだった。残忍な殺人事件や誰かの誹謗中傷、それに不倫問題。いずれも聞いていると負のオーラが満載で消耗した。

何より、そんなあれこれを楽しげに語るマスコミの人たちが気持ち悪かった。翌日会社や学校でしたり顔に語る人たちも然り、であった。

だから、地球外からやってきた生命体X、を巡るマスコミの大騒ぎを取り上げているこの映画を観て、ため息が出た。

小説現代で新人賞を受賞した作品の映画化。

宇宙から惑星の紛争により難民として地球にやってきた、人間以外の生命体X。やがて、日本でも彼らを受け入れることになる。しかし、それを受け、日本中が大騒ぎ。

マスコミは騒ぎ立て不安をあおり、世論は犯人探しのように「誰がXなのか」探して排除しようとする。

テレビ嫌いになった原体験が繰り広げられていた。

更に、Xを探して右往左往する、主人公の新聞記者(林遣都)の言動が全て行き当たりばったり。しょうもなさすぎて萎えた。

そんな中、相手役の上野樹里が尊い。

いまだに「のだめカンタービレ」の印象が強く。どうしても大袈裟な顔芸の記憶が鮮明なのだが、本作は全く違うテイストである。

終始安定感のある佇まいで心が落ち着く。この人は、やはりうまい。久しぶりの主演映画とのことだが、もっと沢山、映画に出てほしい。出演作がみたい。

脇役では、上野樹里の父親役の酒向芳。様々な作品に出ている売れっ子脇役であるが、本作でも本領発揮。

また、怪しい男役がすっかり板についてきた、野村周平。役にあっている。

ミステリーなのかヒューマンドラマなのか、ジャンル分けしづらい作品である。どちらかを期待すると、いずれも物足りないだろう。

ひとつだけ確かなことは、自分の中のアンコンシャスバイアスについて突きつけられる作品だ。ということである。

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