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吉祥寺 古本屋のんき


前からうすうす気になっていた吉祥寺の古本屋「のんき」に行った。

佇まいが素敵

着いた時はちょうど開店したばかりで、本を店先に並べているところだった。

店名から、店員さんがのんきに本を読んでいるゆるいイメージを勝手に妄想していたが、実際は店員さんが一人でテキパキと忙しそうに素早く本を並べていた。全くのんきではない。どちらかというと元気だ。店名と実体の違いの大きさにむくむくと興味が湧いてくる。もしかしてこれがギャップ萌えというやつか。人生初のギャップ萌えを経験した。

古本屋の匂いが昔から好き。どの古本屋に行っても大抵同じ匂いがするのはどうしてだろう。長い時間が経つと本が熟成してあのちょっと香ばしいようなかほりを出すようになるんだろうか。

紙とインクの匂いは、時間が経つと深みを増す点で、ワインやウイスキーと同じだ。どっちも無くても生きられるけど、あると人生が少し楽しくなるところも同じだね。

そう思いながら店内に入り、古本の香りを全身で浴びる。

文庫はカバー下のデザインが好き

古そうな本を適当に選んでパラパラ立ち読みする。5冊目くらいで、面白い本を見つけた。アランの「幸福論」という文庫本。

発行は1962年で当時の定価は90円。安っ。
おそらくいろんな人の手を渡って、こうして今僕の手元に来たと考えるとなんか不思議な気持ちだ。60年間この本を捨てずに残してくれていた全ての人に、現代人を代表してお礼申し上げます。ありがとう。と心の中で言ってみる。

感謝の気持ちを表すために購入。250円。古本は安くていいよね。この本ではいろんな物事についてアランさんが独自の考えを述べていて、その中の「作品」という項目が特に印象に残った。

簡単に要約すると、作品を作る前には考えすぎても意味がない。想像を超えるものはなかなか作ることができないから。でもとりあえず手を動かして創作に取り掛かれば、最初は思ってもいなかったような良い作品が出来上がるものだ。だからあまり考えすぎずにとりあえず作り始めよ、という感じの内容。だと思う。間違っていたらごめんなさい。

この本を全部読み終わったらどこかの古本屋に売ろうかな。そうやってこの本がまた違う誰かに渡っていって、物語が続いていってくれると嬉しい。なんかバトンリレーみたいだな。
昔の人から受け取って、今の僕が未来の誰かに渡す本のバトン。

そんなことをのんきに考えながら家に帰ったのでした。

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