『かかあ天下』と私

上州群馬といえばかかあ天下。
このかかあ天下、言葉から女性の方が気が強くて男性を尻に敷きえばっている、と思われるが   、 
群馬のかかあ天下は、
古くから絹産業の盛んであったこと、女性のもつ細やかさが養蚕業に向き、製糸そして織物までを女性も担ってきたこと、その働きぶりに対して、夫たちは、おれの「かかあは天下一」と呼んだことから「かかあ天下」という言葉が、上州名物になったとも云われています。

えばってるお母さんという意味ではないのです。


その【かかあ天下】は、かっての江戸の風潮も表したものでした。

江戸時代、江戸の人口は女性の数がすくないこともあり、再婚は珍しくありません。
(1722年の資料に男性は31万人、女性は17万人とあります。)

お上が【なるべく女性は2度以上結婚しなさい】と奨励しているくらいです。
絶対数の多い男性が一度でも結婚を体験できるよう配慮したものでしょう。

女性は2回目の再婚では足りません。三度婚、四度婚、、七度婚も珍しくなく、更にそのような女性は逆に経験を積んでいて貴重であると見られました。

そんな状況ですから、結婚するときに、年齢にこだわる男性は少数で、どちらが年上でも年齢差があっても今ほど抵抗ありませんでした。

また女性のバツイチが平気でした。ですから出戻りしたところで平気です。
バツイチを表す言葉も違います。
江戸では出戻りではなく【呼び戻し】と称しました。

これも今とは随分違います。

ちなみに、前述の内容は武家社会ではなく、一般庶民での話です。

でも、これを知ったら庶民のほうが伸びやかでいいと思いませんか。

上級階級にいくほど、女性は【家】に押し込められた存在になり、結婚した夫が何度も浮気しても咎めることも出来ず、御家存続のためにと男子を求められ、縛られっぱなしです。
家や財産、縛るものがない一般庶民は、自由な夫婦関係で、あの三行半を書いてもらって、何もしない夫とは縁を切り、優しい男性の元へ嫁げるのです。
男女平等で、家事育児は手が空いたほうがするのが当たり前。

精神的支えというだけではなく、実務的にも夫は妻を大事にしてくれるのです。
江戸時代の庶民に生まれていたらなぁ

、と

江戸時代考証に詳しい杉浦日向子先生の本を読み上げている私の横で


『あー、今の日本に生まれて良かったなー。あっ、ママー、背中掻いてー。』と自分が食べ終わったご飯茶碗もそのままに、ソファに寝っ転がっている夫がいて、
あっ、ママ、エアコン、食べたら暑くなっちゃったから温度下げるね。』
もう初秋なのに、22度。22度??

あれ、でも私に『あっ』って言ってる。『あっ』なら、先輩並に私に敬意を払ってるのかな
(この根拠は前回の記事↓を見てください)



22度は、鳥肌が立つほど寒い

ここは北極か!
群馬でしょ!

先ず風邪引かないようにと、慌てて長袖を着て
『自分の食器は、流しまで自分で持っていくんでしょ』『うん、やるから待ってて』『今やって』『あっ、背中掻いて、本読んでからやるから。』

ムカムカするが、待て待て。

ニッコリ笑って
『あなた、さすが!片付けが上手いわね。それにあなたがお皿を洗うと光ってるわ。』と愛嬌振りまき、自ら喜んでさせるのがいい女と書いてあった本の一節が頭をよぎる

でも
『早くやって!』と夫のお腹に跨る。
やってあげればいいのだとも分かるけれど、それでは明日もやらない、と夫のお腹の上で『早くやって、今すぐやって』と騒いでいる。
尻に敷いてはいないけれど、お腹に跨り怒っている。

冒頭のえばった【かかあ】は私だった。


江戸時代に生まれたら良かったのにな


最後まで読んでくださり、ありがとうございました。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?