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鳥と魚の四本足?(漢字解読-1)

  漢字で象形と言われる字は "もの" の形をそのまま写した字と解説されています。「馬」や「熊」は四本足で問題ないのですが二本足の「鳥」や「燕」、そして足のない「魚」も四本足です。どうしてこのようなことになっているのでしょうか? この疑問を解くために漢字の解読に挑戦しました。  漢字解読の字種は漢字最古の書『説文解字』(比較的に画数の少ない字)を対象とし、字体は『康煕字典』の統一された康煕字典体を対象とします。両者の意味が異なる時、『説文解字』の意味は初期のものとし、『康煕

    • 複合字‐2画‐1(漢字解読‐11)

       二画の複合字「㐅(〆)」と「七」は共通な親部首「/」から展開します。先の二画の指事字と多少重複しますが、用例を加えます(「派生部首‐4/漢字解読8」参照)。  「/」⇔‹指標›拒絶の手振り:=拒絶⇒除く⇒殺す | ├「㐅(〆)」⇔‹指事›/+丶=排除する+特別に=特別に排除する:=即除く |├『刈』⇔㐅+刂=排除する+切る:=切捨てる⇔刈る |└『杀』⇔㐅+木=排除する+賢い男[夫]=夫を排除する⇒夫を殺す | ├『刹』⇔杀+刂=夫を殺す+切る:=夫を切り殺す所⇒寺院 |

      • 複合字‐1画(漢字解読‐10)

         これまで漢字を構成する基となる基本文字9種と、その基本字から生まれた派生字とを含む基本部首を紹介しました。ここからこれまでの基本部首同士の複合字の展開に入ります。 複合字は二画からではないかと思われますが、特に一画の基本部首からは他の一画の基本部首との融合で新たな一画の部首がたくさん生まれています。  複合字は基本的に二つの部首から構成されていると解釈し、三つの部首を合成した複合字はまず第一と第二の部首の複合字に対し更に第三の部首との複合字であると解釈します

        • 基本部首‐5(漢字解読‐9)

           今回は基本部首群の最終回で対象は指標字です。基本となる指標字「点」と指標字「線」と、それらを基として生まれた派生字を含む基本字群はすべて同じ指標字に属し、全体を指標部首と呼ぶことにします。  指標部首が付加されて生まれた新たな複合字は全て指事字に分類します。 指標部首  基本部首の「丶「点」」と「/[線]の造る指事字、派生字、複合字の用例を簡潔な解説で紹介します[文字種の‹複合›は省略]。  指標字「線」からの派生字は多く「田」と結びついており、それらも簡単に示します。

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          基本部首‐4(漢字解読‐8)

           既に3種の基本部首群を紹介しましたが、残りの類像字は指標部首を除く「丶⇔‹類像›排泄物」「ノ⇔‹類像›毛」「_‹類像›大地」の3種です。これらからの派生字がないかあっても非常に少ないためまとめて紹介します。  「丶⇔‹類像›排泄物」は人の体から排泄されるもの、特に体液と関係し、その用例は見つかりません。ただし、その二個の派生字「⺀⇔‹派生›丶×2」には「汗」と「糞」の使用例があり、更に三個の派生字「氵⇔‹派生›丶×3:=液体」は「放尿の象形」として構成されています。字形から

          基本部首‐4(漢字解読‐8)

          基本部首-3(漢字解読‐7)

           今回は類像字「|⇔男性器」から生まれた基本部首群を示します。 二種類の義を持つ「|:=①男性器、②男、:=③棒」は男と棒のどちらの義に対しても派生字が生まれていますが、他の類像字「▽⇔女性器:=女」や「口⇔産道口:=婦」より派生字の数が少なくなっています。「|:=男性器」の特徴は数に関する派生字が多数生まれており、まずは派生字の一覧です。  続いて類像字「|⇔男性器」の基本部首群とその用例を簡潔な木構造で示します。ただし文字種の‹複合›は省略し、用例は『』で括ります。

          基本部首-3(漢字解読‐7)

          基本部首‐2(漢字解読‐6)

           前回から基本部首を紹介していますが、今回は類像字「口」の基本部首群を示します。 類像字「口⇔‹類像›産道口:=経産婦⇒婦」は漢字という象形文字の開発者の中心人物を示す文字です。前回の「▽」と同様に三画ですが、「口」を更に分割した派生字「乚⇔‹派生›口の左下辺」と「𠃌⇔‹派生›口の上右辺」が生まれており、その対象形である一画の鈎型に男女を区別する意味を持たせたことは称賛に価する表記の創造です。  「𠄎⇔𠃌×2(𠃌∪𠃌)[∪は融合を示す]」は単なる部首同士の複合字では

          基本部首‐2(漢字解読‐6)

          基本部首‐1(漢字解読-5)

          基本部首  9種の基本‹部首›の中の3種の指標字を除く6種の基本字を中心としその派生字のグループを基本部首群と呼ぶことにします。以降に順に7種の各基本部首群を示します。  まず基本部首「▽」の派生字を示します。  類像字「▽⇔女性器:=女性器」は二画の字形ですが、それを分割して各々に相応の意味を持たせた派生字「一⇔‹派生›▽の上部」と「Ⅴ‹派生›▽の下部」が誕生しています。特に「V」からは更に多種の派生字が生じ各種の義に使われており、少ない画数で多くの意味を表記可能とした

          基本部首‐1(漢字解読-5)

          基本部首は9種(漢字解読-4)

           多くの漢字を生み出す元素となる基本部首は次の9種です。基本部首の一覧を示します(以降「文字の意味」を「字の義」または「字義」とする)。 漢字の基本部首とは漢字表記体系の元素となる文字であり、基本部首が基で他の全ての漢字ができています。基本部首は全部で9種ありますが、それを記号論(三元記号論)に従い分類しますから類像記号、指標記号、象徴記号の3種に分類されます。漢字では基本字の類像記号に対しては類像字、指標記号に対しては指標字、基本字から造られる象徴記号を象徴字と呼

          基本部首は9種(漢字解読-4)

          星は太陽の子(漢字解読-3)

           辞書では「星」に関し従来次の誤った次の解釈が採用されています。『「星」は形声文字、”日(晶)[意符]”+”生[音符]”からなり、”日”は純精な光、”生”は音で澄み切った意味、結果「澄んだ光の星」を現わす。』  形声文字の音符とはその部首の構成から引き出された意味ではありません。この複合字の解説で「生」は[音符]とし「生」の意味ではなく架空の意味を持たせていますし、更には[意符]である「日」も本来の意味「太陽」とはなっておらず「晶」の意味「光」と解釈されています。  漢字の

          星は太陽の子(漢字解読-3)

          兔と亀の頭比べ?(漢字解読-2)

           象形とされる文字達の中で「魚」と「亀」、「魚」と「角」、「象」と「兔」と「免[会意]」、「犭」と「豕」と「豸」と「象」、の各字の共通点と相違点を比べると、象形と言われる字も意味を持つ部首の複合字ではないかとの疑いが生じます。  そこで特に象形とされる動物に関係する字達を強引に分解して共通な「ク」を取り出し、「ク:=動物」という意味を持つ部首と仮定します。この仮定が「動物に関係ない文字」でも通用するかを「危」と「欠」の文字に適用し検証しました。  「危」は「ク+厄」と分解し、

          兔と亀の頭比べ?(漢字解読-2)