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【小説】恋の幻想

難しい、言葉が出てこない、結婚する人は誰もその疑問に向き合っているのだろうか。

子供の頃に親に聞いたことが有る、結婚って何って、生んでくれた母は戸惑っていた。

「一緒に生活することかな。」と子供の私に言った、家事をして生活を共にするのなら、お手伝いさんとどう違うんだろう、心のつながりとか解らない私はそう思った記憶が有る。

2人になったら良平にも聞こうと思った、裕子さんと付き合ってる時点で、その結論は出ているかも知れないけど。

「難しい質問ですね、どの位好きって誰にも解って貰えそうにない、人によって感覚が違うもん。」と言っておく。

「難しいかな、私が解らない感情を教えて貰いたいだけなんだけどね。」裕子さんはちょっと落ち込んだ感じ。

知らない感情を理解するのは至難の業だろう、感じるって事を解るに変える作業などできやしない。

「私は自分が大事じゃ無いって感じる時間が大半だったから、大事にしてくれて、自分も大事にしたい、それ以上はどうでも良い。」どうでもは良くないかな。

「どうでも良いの?」裕子さんはほんの少しの言葉に反応してくる、その顔はいたずらっ子の様になる。

「どうでも良いは違うね、大事にしたいもん。」と答えて、顔を上げて裕子さんを見た、下から見上げた顔としっかり見つめる顔は違う、瞳は真剣だった。

「そうでしょ、大事になって、それ以上を望むから結婚してくなるんだよね、良平はどうなんだろうね。」裕子さんは気になる部分を突いてくる、そこは一番気になる所だよね。

言われると心配になる、裕子さんの時も何も言わないで婚約していた人だから、本当はそれこそ如何でも良いのかもしれない。

結婚って不安になるのを押しとどめる心が居るんだ、それが一番必要なのかも知れない。

「不安になっちゃった?ごめんね、私もそこんとこが解らなくて婚約破棄したみたいなもの、私とは流れで婚約ってなった感じだったから。」言葉が続く。

自分は如何だったかな?状況を考えて、裕子さんに教えてしまう、自分の不安を吐き出す為に。

「良平さんが結婚しようかって言ってくれたんです、若すぎるから嫌かもって思っていたから、良かったって言っていたけど、違っているのかな。」

「それなら大丈夫だよ、私の時には婚約で良い?って私が言ったから、一緒に居た感じがする、だから忍ちゃんにはちゃんと行ったんだ。」納得したみたいだ。

私は信頼するしか無いのだ、良平も裕子さんも自分自身も、身体で繋がる縁りも強い結びつきがこれからは在ると信じていくのだ。





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