随分前になるが、一時期我が家は下の階の方から、五月蝿いと言われていた。

夜中にずるずると何かを引き摺っている音がすると聞いて、私は吸血鬼が棺桶を引き摺っている図しか思い浮かばなくて困惑した。

下の階の人が何時を夜中と言っているのかが謎だが、我が家は９時には皆がベットに入る。

そこから何かを引き摺っている筈は無い、家族が何か引き摺って居たら解る筈なのだ。

なので次に夜五月蠅いと言われたら、それは我が家と下の階の間に掬っている妖怪の仕業では無いかと申し上げようと思っていた。

本気か？？？？

そんな風に言われるかもしれない、だが本気なのだ～、ただ私には吸血鬼か達磨かは分からない、何か解らないが妖怪と言うしか無いのである。

ここで達磨が出てきた事に驚いている方に申し上げる、達磨はマンションの階と階の間に居るのだ。

何の話やねん。

これね、ゲゲゲの鬼太郎で、4階という階数が縁起悪いと言うので、4階の無いマンションで達磨が4階に住んでいたという話が有った。（凄い雑）

階層の間に居る妖怪と言ったら達磨しか居ない。

身構えて、返答しようと思っていたら、それ以来さっぱり五月蠅いと言われなくなった。

良かったのかも知れない、妖怪の仕業と言ったら、頭がいかれていると怒鳴られたかもしれない。

落ち着いて生活をしている我が家だったが、数ヶ月前にお隣にお子さんを連れたご夫婦（だろう）が入って来られた。

そこの子供がよく泣く、うちの家が寝静まってからも泣いたりするので、下の階の方が五月蝿いと言うんじゃ無いかとハラハラしていた。

自分的にはお母さんが叱っていて、子どもが泣いていると、自分もそんな時期があったなーなんて生暖かい目で見ていた。

或る日の事だ、ゴトンと大きな音がお隣から聞こえてきた。

「何あれ？？？」娘もベランダに行って状況を見たが、別に変った所は見当たらない。

「なんでも無かったんやね。」と言って済ませたが、その日と次の日の朝、子供の泣き声が聞こえない。

残念ながら、私は妄想力が凄い、子供に何か有ったんじゃなかろうか、心配で心配で夜しか眠れなかったのだが。

次の日は子供が大泣きしていたので、やはり何も無かったんやね。

でもやね、あの大きな音は何やったんや、娘と2人で頭を悩ましていた。

そこで私は気付いたね、このマンションには妖怪が住んどる、偶にしか音を出さないがちゃんと住んどるんや。

隣と我が家の壁の間とか、我が家と下の階の間に居るんや、そやでな、大きな音が聞こえてくるんや。

ホンでも、これは内緒にしよう、そんなのが知られたら、マニア以外は入らん家になってまう、大家さんが泣くもんね。

内緒やで～。