誰も知らないのに
大切な人が亡くなったら
嘆き悲しむものである
そんなの当り前
誰だって死ぬのは
イヤでしょ──
そうなの?
本当にイヤなこと?
死んだらどうなるか
誰も知らないのに
☆☆☆
こんにちは!
フジミドリです♡
【癒や詩絵物語】は日曜の午前10時に更新しております。残り11回の予定です。
道術家である私が、見聞きした現象から感じたままを詩と物語へ組み直して、朔川揺さんの絵に添えてみました。
創作の背景など、別サイトへ揺さんとお喋りしつつ、木曜の朝9時更新です。
では早速──
☆☆☆
西暦2020年代の太陽系第三惑星である。
この星に棲む人類は、奇妙なことに、誰もが死のなんたるかを知らないのであった。多くの地球人が死ぬことに対して無知なのだ。
生まれて物心つくまでの間に、自分達はどこから来たのかを思い出させればよいのだが。そう仕向ける親は少なかった。
だから地球に生まれると、死を嫌う社会通念の中で育てられ、染まってしまうのだ。
─死んではいけません
─幸福を追求するのです
そのように染脳されるから、当たり前の常識として受け入れる。死は悪いことであると。
いずれ誰もが経験する、死や死後の世界に関する情報は皆無に等しかった。だから、死ぬことを過剰に恐れ苦悩してしまう。
政治も教育も思想も科学も宗教も、死んだ後について何も説かない……説くことができないのである。だから生もまた曖昧だった。
地球人類は死の何たるかを知らず、ただ心の底で恐れながら生を終えるのであった。
☆☆☆
『たーしかに確かに。オレも不安だったな。どうしても知りたいと願ったのよ。そしたら電車で倒れて、光溢れる中にいたわけさ』
『暖かく柔らかでマジ心地よかった。あそこに比べたら、この世はホント地獄だぜ。よく耐えてるなって感心するよ』
『それからだな。粘り強くなれたのは。死後の世界が天国なら、苦しくても辛くてもギリまで生き抜こうって気にもなるのさ』
『実は誰でも眠ってる間、あそこに居るんだけどね。忘れてないと地獄に感じられないからさ。だから起きるのタルいんだよ』
☆☆☆
幸せを求めるあなた
誰だって幸せに
なりたいものでしょ
でも
幸せは死合わせ
なんてね
そして
幸福は降伏
これ以上を望まぬ姿──
もう終わっていいってこと
まだまだ
なんだかよくわからなくても
とりあえず生きなくちゃ
幸せが待っているから
最期まで粘れるさ
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お読み頂きありがとうございます!
次回は4月7日です。
ではまた💚
ありがとうございます🎊