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【枕草子】おほきにてよきもの

おほきにてよきもの。家。餌袋。法師。くだもの。牛。
松の木。硯の墨。男の目のほそきは女びたり。
また、金椀(かなまり)のやうならんもおそろし。
火桶。酸漿(ほほづき)。山吹の花。櫻の花びら。

【解釈】

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大きい方がいいもの。家。お弁当袋。お坊さん。果物。牛。
松の木。すずりの墨。男の人の目が細いのは女っぽくてあんまり好きじゃない。でも金椀みたいに巨大でビカビカしてまん丸なのも風情がないしちょっとこわい。
火鉢。ホオズキ。山吹の花。桜の花びら。

枕草子に時々出てくる、ひとつのテーマに沿うものを並べていく段。いわゆる「ものづくし」のシリーズです。ものづくし、好きです。
その通りだな、と思うこともあれば、清少納言の個人的な主観が思いっきり入っているのもまたおもしろい。今回の段はどちらかと言えば後者。そうかしら、と思いながら読むのが楽しい段です。

たたみかける感じでリズミカルなのもいい。お弁当の袋が大きい方がいいなんて、何だか食いしん坊キャラでかわいいです。桜の花びらの大きさなんてあまり考えたことがなかったけれど、確かに大きいほど華やかで、散り際も素敵かもしれません。

お坊さんが大きい方がいい理由はさっぱり分かりませんが、なぜなのかしら。枕草子の前半で「お坊さんはイケメンに限る」みたいなことを言っている段もありますから、やっぱりただの好みなのかな。

金属製のお椀みたいな目、というのも独特な表現ですね。
個人的な好みで言えば、男性の目が細いのってセクシーでいいと思うのだけれど。

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