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こころにおきたいことばたち_11


『大自然の呼吸とか 脈拍とか、
夫れこそは自然の俤(おもかげ)であり
姿である筈だ。』

私は凝ッと見入った、私の心を。

日本画家 福田平八郎の言葉
2024年4月14日 NHK番組 日曜美術館より


 この言葉が、テレビ番組の中で出てきた時、すっと心に入りました。いつか、この言葉のように自然と自分を凝っと見つめて、一体となることができるのなら、なんと幸せなのだろうと思いました。

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 今の世の中、ここまで情報やものが氾濫していると、ものを沢山みているようで、本当のものは何もみていない気になってしまいます。「ものの本質とは何なのだろうか」それをみてみたい、知りたいという気持ちすら、薄れてしまいそうです。

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 日本画家 福田平八郎のこと、実はよく知りませんでした。作品《雨》を何かでみたことがあるような…。それぐらいしか美術の知識はないのですが、日曜美術館で放映された福田平八郎の絵画に魅せられました。

一般的に思い浮かぶ日本画とはまた違う、現代的な作風。


福田平八郎の若き日、自らを写生狂と称したほど、写生に没頭したということ。

 この番組の出演者の方々それぞれの、「福田平八郎の絵画表現」について語られていましたが、皆様のお話しを私なりに簡単にまとめると、” 写実(具象表現)を繰り返し、対象をよく観察することで、抽象的な表現にたどり着いたのではないか “というところでしょうか。

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 福田平八郎の作品、《青柿》に描かれた葉は、葉の細部の表現、葉を照らす光が輝きに満ち溢れていました。その葉たちには青空が映し出されている様にすらみえました。美しい絵です。

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 ものをじっくり凝らして見る、細部や、そして全体を見る。ものを捉えようと何度もみる。次第にみたものが少しずつ自分のものになってくる。そして本質がぼんやりとわかるようになる。

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 今は何かと追われて、ものをよくみる時間がないですが、ものと自分をゆっくりみる時間を、少しでも取りたいものです。

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 福田平八郎さんのお孫さんのお話によると、平八郎は頂き物の果物などを食べる前に、すぐ写生していたそうです。今でいうインスタのようですが、「じっくり度」が全く違っていて、興味深い逸話です。

 私なら美味しいものが目の前にあれば、写真も取らず、すぐに食べたくなりますが。