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無期転換ルールと多様な正社員の雇用ルール等に関する実態調査-厚生労働省

厚生労働省「多様化する労働契約のルールに関する検討会」(第5回)

明日(2021年7月28日)、厚生労働省「多様化する労働契約のルールに関する検討会」(第5回)開催。議題は「無期転換ルールと多様な正社員の雇用ルール等に関する実態調査」。

多様な正社員雇用ルールと無期転換ルール

多様な正社員雇用ルールと無期転換ルールについては、裁量労働制と同じく「規制改革実施計画」(2021年6月18日、閣議決定)67頁5bに記載(裁量労働制は67頁5a)。

つまり、多様な正社員雇用ルール明確化と労働契約法に規定された無期転換ルール周知については、厚生労働省「多様化する労働契約のルールに関する検討会」において、2021年に公表予定の実態調査結果等を踏まえて議論し、そして取りまとめ、その後、労働政策審議会において議論を開始し、速やかに結論を得るようにする。

No.5
b 厚生労働省は、多様な正社員(勤務地限定正社員、職務限定正社員等)の雇用ルールの明確化及び労働契約法法(平成19年法律第128号)に定められる無期転換ルールの労働者への周知について、「多様化する労働契約のルールに関する検討会」において、令和3年(2021年)公表予定の実態調査結果等を踏まえて議論を行い、取りまとめを行う。その上で、労働政策審議会において議論を開始し、速やかに結論を得る。その結果に基づいて必要な措置を講ずる。(規制改革実施計画、2021年6月18日、閣議決定)

規制改革実施計画(2021年6月18日、閣議決定)(PDF)

厚生労働省「多様化する労働契約のルールに関する検討会」(第5回)資料

明日(7月28日)開催される厚生労働省「多様化する労働契約のルールに関する検討会」(第5回)の資料が本日(7月27日)公開された。

多様化する労働契約のルールに関する検討会(第5回)資料
第5回議事次第
資料1 無期転換ルールと多様な正社員の雇用ルール等に関する実態調査の概況
参考資料1-1 令和2年有期労働契約に関する実態調査(事業所)報告書(抜粋)
参考資料1-2 令和3年有期労働契約に関する実態調査(個人)報告書(抜粋)
参考資料2-1 令和2年有期労働契約に関する実態調査票(事業所)
参考資料2-2 令和3年有期労働契約に関する実態調査票(個人)
参考資料2-3 多様化する労働契約の在り方に関する調査票(企業)
参考資料2-4 多様化する労働契約の在り方に関する調査票(個人)
参考資料3 無期転換ルールと多様な正社員の雇用ルール等に関する現状(第1回検討会資料6)
参考資料4 検討会におけるこれまでの主な議論

資料1 無期転換ルールと多様な正社員の雇用ルール等に関する実態調査の概況(PDF)

参考資料4 検討会におけるこれまでの主な議論(PDF)

厚生労働省「多様化する労働契約のルールに関する検討会」(第5回)資料(厚生労働省公式サイト)

NHK「非正規雇用の“無期転換ルール” 希望27%余 周知不十分か」

NHK NEWS WEB(「非正規雇用の“無期転換ルール” 希望27%余 周知不十分か」2021年7月28日 21時05分配信)は「非正規雇用で働く人が同じ企業で5年を超えて働いた場合、契約期間の定めのない雇用に切り替える『無期転換ルール』について、厚生労働省が初めて実態調査を行った結果、実際に希望した人は27%余りでした。厚生労働省は『周知が十分でない可能性があり対策を検討したい』としています」と報じた。

「無期転換ルール」は、非正規雇用で働く人が1年や半年などの契約を更新し、同じ企業で5年を超えて働いた場合、本人が希望すれば企業に対して期間の定めがない無期雇用への切り替えを義務づけるものです。

2018年4月から無期雇用への切り替えが始まっていて、厚生労働省は初めて実態調査を行い、企業などの5662の事業所から回答を得ました。

それによりますと、5年を超えて働いた人のうち、このルールに基づいて企業に対して無期雇用への切り替えを希望したのは27.8%でした。

雇用の安定を目的としたこのルールについて、働く人たちはどう考えているのか、調査では非正規雇用などで働く6668人からも回答を得ました。

「無期転換ルール」の認知度を調べた結果、
▽「何も知らない」「聞いたことがない」と答えた人が最も多く、39.9%
▽「知っている内容がある」が38.5%
▽「名称は聞いたことがある」が17.8%でした。

厚生労働省は「職場で説明しない企業があるなど、周知が十分でない可能性があり対策を検討したい」としています。

無期雇用 切り替え希望は18.9%
「無期転換ルール」の実態調査では、非正規雇用で働く人などに無期雇用への切り替えについて聞いたところ、
▽「希望する」が18.9%
▽「希望しない」が22.6%
▽「わからない」が53.6%に上りました。

無期雇用を希望する理由を複数回答で聞いたところ、
▽「雇用の不安がなくなる」が81.2%
▽「長期的なキャリア形成の見通しや将来的な生活設計が立てやすい」が55.6%でした。

一方、希望しない理由では、
▽「高齢だから」「定年後の再雇用者だから」が40.2%
▽「現状に不満はないから」が30.2%でした。

また、無期雇用に切り替わった人に、業務量や労働条件をたずねたところ、
▽「変化なし」が78.1%となっています。

厚生労働省は「無期雇用への転換に合わせて本人の希望に応じて業務量や労働条件などを見直し、それに合わせて待遇改善を進めるべきだという指摘も出ている。必要な取り組みを検討したい」としています。(NHK NEWS WEB「非正規雇用の“無期転換ルール” 希望27%余 周知不十分か」2021年7月28日 21時05分配信)

日経「有期雇用の『無期転換』、権利行使は3割どまり 厚労省」

日本経済新聞(「有期雇用の『無期転換』、権利行使は3割どまり 厚労省」2021年7月28日20時00分配信)は「厚生労働省は28日、有期契約の労働者が5年を超えると無期契約を申し込める『無期転換ルール』に関する実態調査を公表した。無期転換を申し込める権利が生じた人のうち、実際に権利を行使した人の割合は約3割にとどまった」と報じた。

無期転換ルールは同じ企業との間で有期契約が5年を超えて更新された場合、労働者が申し込めば、期間の定めのない無期契約に転換できる仕組みだ。企業は断れない。

厚労省の調査によると2018年度、19年度に権利が発生した人のうち実際に権利を使ったのは27.8%だった。企業規模別では従業員1000人以上で39.9%だったのに対し5~29人では8.6%にとどまる。中小企業の方が行使している人の割合が少ない傾向にある。

無期転換を希望すると答えた労働者は18.9%、希望しないは22.6%、わからないは53.6%だった。希望する理由を聞くと「雇用不安がなくなる」「長期的なキャリア形成や生活設計が立てやすくなる」などが多かった。希望しない理由は「高齢だから」「現状に不満はない」「契約期間だけなくなっても意味がない」が目立った。

わからないと答えた人のうち無期転換ルールについて「知らない」と回答したのは53.8%にのぼった。

無期転換した人のうち現在の働き方に「満足している」と答えたのは60.7%。労働時間や日数が希望に合致していることや、失業の心配がないことを理由に挙げる回答が多かった。満足していない理由では賃金水準が正社員に比べて低いことが目立った。

企業向け調査は20年7月に労働者を5人以上雇用する全国の民間事業所に同年4月時点の状況を調べた。労働者向けの調査は21年1~2月に同年1月時点の状況を聞いた。厚労省は調査結果をもとに有識者らでつくる検討会で制度見直しを議論する。(日本経済新聞「有期雇用の『無期転換』、権利行使は3割どまり 厚労省」2021年7月28日20時00分配信)

参考サイト・参考記事

多様化する労働契約のルールに関する検討会(厚生労働省公式サイト)

多様化する労働契約のルールに関する検討会(厚生労働省の無期転換ルールと多様な正社員制度に関する検討会)|佐伯博正|note