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男女賃金差開示義務化、首相「早急に女性活躍推進法の制度改正を実施し......」

岸田首相が男女間賃金格差開示義務化を明言

朝日新聞は「首相は(5月)20日に開いた『新しい資本主義実現会議』で、企業に対し、男女間の賃金格差の開示を義務づけることを明らかにした。賃金格差を解消することで女性活躍を促し、首相が目指す『成長と分配の好循環』につなげる狙いだ(朝日新聞デジタル『男女の賃金差、開示義務 首相表明 300人超雇用の企業』2022年5月21日配信)」と報じた。

また、朝日新聞の記事によると、岸田文雄首相は第20回「新しい資本主義実現会議」で「早急に女性活躍推進法の制度改正を実施し......」と発言。

新しい資本主義実現会議(第7回)

第7回「新しい資本主義実現会議」(議長・岸田文雄首相)は2022年5月20日に首相官邸が開催。議題は(1)人への投資(賃金、人材育成、兼業・副業、男女間格差 等)、(2)取引適正化、競争当局の唱導機能。

新しい資本主義実現本部/新しい資本主義実現会議(内閣官房サイト)

朝日新聞の記事にあるように、岸田文雄首相は5日20日に開催された第7回「新しい資本主義実現会議」に出席し、(首相官邸サイトによると)男女間賃金格差に関して「労働者の男女間賃金格差を解消していくため、早急に、女性活躍推進法の制度改正を実施し、労働者300人を超える事業主に対し、男性の賃金に対する女性の賃金の割合を開示することを義務化します。この夏には施行できるよう準備を進めます」と発言。

総理は、本日の議論を踏まえ、次のように述べました
「本日は、人への投資と取引適正化について、議論を行っていただきました。
DX(デジタルトランスフォーメーション)・GX(グリーントランスフォーメーション)といった大きな変革の中にあって人への投資は、新しい資本主義の最重要な核となります。経団連会長から、春闘の状況について伺いました。今年は、ここ数年低下してきている賃金引上げの水準を反転させ、新しい資本主義の時代にふさわしい、賃金引上げが実現することを期待すると申し上げました。その期待に応えていただいていると思います。物価が上昇する中で、引き続き、官民連携して賃金引上げの社会的雰囲気を醸成していきます。また、最低賃金について、官民協力して引上げの環境整備を図るとともに、その引上げ額については、公労使三者構成の最低賃金審議会において、しっかりと議論いただきたいと思います。
中小企業の賃金引上げを図るに当たって、転嫁を円滑化する施策を推進するとともに、公正取引委員会について、取引慣行の改善や規制改革を提言する機能、すなわちアドボカシー、唱導機能の抜本的強化を図ります。
時代や社会環境の変化に応じて、成長分野への円滑な労働移動を進め、さらに賃金を引き上げていくためにも、企業内に閉じずに国全体の規模で働き手のスキルアップや人材育成策の拡充を図っていきます。IT人材など重要分野に重点を置くとともに、転職やキャリアアップについて、一般の方が相談することのできる体制を整備いたします。
労働者の男女間賃金格差を解消していくため、早急に、女性活躍推進法の制度改正を実施し、労働者300人を超える事業主に対し、男性の賃金に対する女性の賃金の割合を開示することを義務化します。この夏には施行できるよう準備を進めます。
産業界におかれては、多様な正社員の導入拡大、兼業の解禁に向けた努力をお願いいたします。
新しい資本主義のグランドデザイン及び実行計画の6月上旬の取りまとめに向けて、山際大臣を中心に、関係大臣協力して、作業の加速をお願いいたします。」(首相官邸サイト)

連合・芳野智会長の意見に岸田首相が動いた?

新聞記事等にはないが、今回は連合(日本労働組合総連合会)芳野友子会長の働きによって岸田首相が動いた。

芳野会長は前々回(第5回)の「新しい資本主義実現会議」(2022年4月12日開催)で男女賃金格差を含む「非財務情報開示」などを求める意見書をだしていた。芳野会長に批判的な声もあるが、今回は芳野会長を評価すべきだろう。なお、芳野会長が提出した意見書には次の6項目が記載されていた。

1 春季生活闘争における中小企業の賃上げについて
2 フリーランスをはじめとする「曖昧な雇用」で働く者の法的保護
3 人材の流動化・副業・兼業企業数の拡大
4 個人保証について
5 事業再構築のための債務整理に関する法制度の検討
6 非財務情報の開示

新しい資本主義実現会議に提出した連合・芳野友子会長意見書(PDF)

新しい資本主義実現会議(第5回)|内閣官房ホームページ

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