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強迫性障害ってどんな病気?

100人に2人が罹患する強迫性障害。一度は耳にした方も多いのではないでしょうか?海外では鬱に次いでメジャーな精神疾患として知られています。著名人でもこの病気を抱えている方は多く、ジャスティン・ティンバーレイクやキャメロン・ディアス、シャーリーズ・セロンなどは自身の強迫性障害を公表しています。
実は私もこの病気に長年悩まされていますが、今は症状と上手く付き合っている状況です。今回の記事はそんな当事者でもある私が強迫性障害について解説する記事となっています。ご家族やご友人など強迫性障害が身近にある方、或いはどのような病気なのか興味を持ってくださった方向けに執筆しました。

✅強迫性障害とは

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簡単に言うと“浮かんで来る不安を拭う為に、打ち消す行動を繰り返し行ってしまう病気”です。具体例をあげると、「人を轢いたのではないか?」と運転していて不安を覚え、実際に停車して轢いたのかどうかを確認しないと不安が拭えないといったものがあります。
しかし、人が飛び出して来たり、車に衝撃が走ったりした覚えはないので、患者本人も頭ではそれが無駄な不安であることは理解しているのです。
障害のない人は事実がないだけで「そんなことはあり得ない」と納得ができるのですが、強迫性障害の患者はそれを自分が納得の行く形で証明しないと気が済みません
そのような症状が酷くなると当然ながら生活の面で非常に生きづらさを感じるように
なります。
前述のような例であれば自家用車での通勤が難しくなり、これまで勤めていた会社を辞めざるを得なくなったり、最悪家から出られなくなったりもし兼ねません。

✅強迫性障害の治療法

治療法はいくつかあります。
昔からあるものが行動療法です。最近では認知行動療法に切り替わってきています。
どちらであってもキーワードとなるのが「曝露」です。自分が不安を感じるものに敢えて晒されることで慣れを促す治療になります。しかしながら、患者本人である私自身もこれがスムーズに行くことはあまりないように思いました。
理由は不安を感じる対象はあくまで本当に恐怖を抱くものの代替えであるからです。

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そう、この強迫性障害、実はそれほど単純なメカニズムでもないのです。強迫性障害のメカニズムについてはこちらの記事にて別途記述しております。
そのような経緯もあり、新たな治療法としてEMDR(眼球運動による脱感作と再処理法)が使用されることもあるのですが、日本では大きく浸透はしていません。
ちなみにEMDRの成り立ちですが、不安や恐怖は人の思考を停止させ、それ以外の情報をシャットアウトします。
その為、眼球を動かすことで直接脳を刺激し、思考を再度活性化させるのです。興味がございましたら、日本EMDR学会のサイトもご覧ください。

✅一番辛いことは白い目でみられること

この病気に罹患した人が精神的に苦しむことの一つが、周りから「変な人」「奇妙な人」として見られることです。
例えば車を運転していたと思ったら、突如停車し、降車してまで車の下を確認するなんてことも確認行為の一つ。自分が人を撥ねたのではないかと不安が襲って来る人にはよく見られる行動です。

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しかし、患者以外からすれば、「この人何してるんだろ?」「牽いていないのは明らかでしょ。」と思ってしまいますよね。
恐怖心は目に見えるものでもないので、周りは理解できません。
しかし、この恐怖心は患者からすると死に直結するくらい重大なことなのです。
ですから、そのような恐怖心の中で周りが「変だ」「おかしい」「気持ち悪い」などと、追い詰めてしまうとその人は更にパニックに陥ってしまいます。
そういう時は理解できなくてもいいので、一先ず安心させる言葉をかけてあげると次第に落ち着くはずです。
親しい方に強迫性障害の方がいた場合は、ご参考にしてみてください。

✅強迫障害との向き合い方

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精神疾患どれにも言えることですが、脳の誤作動なので、一度罹患したものをなかったことにすることは難しいです。脳は記憶デバイスそのものですから、その辺りが他の病気と異なる部分でもあります。ですから、どちらかと言うと、〈0にするのではなく1に持っていく〉ことを考える方が現実的です。私も、治療はしていますが0にすることは考えておらず、1にすることを目指しています。
不安や恐怖を一切感じないことは不可能なので、その不安や恐怖が浮かんでもうまく受け流すイメージです。障害だからこそ生涯かけて(シャレではないですが)向き合わなくてはいけない課題かと思います。

✅周りの人と患者本人の付き合い方

自分の病気に人を巻き込むのはその人を疲弊させることなので、ある程度の棲み分けが必要だと思います。近すぎず、遠すぎず。例えば自分は人を轢いたかもしれないと確認したくても、道のど真ん中に車を停めて良い訳ではないです。
だからといって自分の行動に制限をかけてしまったら家から一切出られなくなってしまいます。

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その両端のバランスを保つ為に、身近な人が親身になって話を聞いてあげる必要があります。地道なことではありますが、それが結果的には症状の緩和までにかかる時間を短縮出来るのです。
何ができて何ができないのか、どんなサポートを望んでいるのかなどを具体的に話し合えると良いかと思います。
とはいえ、ケアする側にもストレスはかかりますから、福祉制度などを活用しながら、周りは適度な距離を保ち、心の距離はいつでも寄り添うようにしましょう。

✅医療機関、自治体、周りの人とのタッグが必要不可欠

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この病気を一人で治すことはなかなか難しいです。精神疾患全体に言えることですが、患者本人は自分の症状について客観視ができません。その為、治療も一人でできないことはないですが、まずは医師に相談することからでも構わないので、サポートを受ける道を考えましょう。特に医療機関、自治体、周りの人とのタッグが組まれると治療もスムーズにいくことが多いと思います。医療支援があるかないかだけでも金銭的な負担や心の負担はかなり変わるので、今悩まれている方がいらっしゃればぜひ活用していただけたらと思います。

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