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おぼろ月夜

つゆしもの 秋保の垂水のそのかみづき 蔵王が皇子 山神新川うき流るる雷雲のごと 鉄漿むき帷子むすぶ丸尾は 雪にとけぬ朧 夢つゆ盗む賊ならん 光風、千悔萬悔にふき …

雪男
17時間前

はつきうり

きみがさす 笠間飯田の山は月照るやま 十九夜供養あつめしし かたぶき地蔵の一人なく 黒鬼に割られて礎と 耳木菟が苦しゅう森深みから 吾ほうほう 吾ほうほう と、神…

雪男
1日前

薪猿楽

みづたまる 水戸池野辺の桜川は水きよみ まがも浮く 葦の垣間のぞく烏合の森あり 夕とくれ 褌にうつす鬼火が業の影なりや 黒山のぼる朗月 逃げ走り隠るも 狼 賊吠向…

雪男
2日前

君影草

あめしるや 日出づる豊の国の、すずうちなびき ぬばたまの 夜も焼きつく赤と黒と、くがね色 千両ちりぬれば 猿なく峪の細れ石か 水墨の 経塚山に吹きあがる 碧碧おも…

雪男
3日前

ふともも

さくやこの花 青雲てる夏山に舞ひふり乱り あお駒なめる高崎の 吉井大谷 うらうら 野殿にまよひて道祖神 ならべる顔のほほえまし 夜なに哭くとね石塚の うつした墓を…

雪男
4日前

すひかづら

かほりむす み社の森のいきづかし 寺久保山 めぐりて雷電 ふる夜に打ち響かしし玄翁 たたらに焼きつかるる黒兎 おひの山を郷と見ん ありつかれて古株 ふち捕まりたる…

雪男
5日前

なんじゃもんじゃ

しろたへの雪ふる さつま広瀬は夏きにけらし 黒牛の背あらふ 南方永江の清流すみすみて 尻尾はらふ、金の砂に群がるは、蛍火に 夢やほのかと浮かぶ 偲び山のかつがつ …

雪男
6日前

鮎の宿

ほしみやの 流るる長良の美並上田 ぬばたま夜に おとめひく 若鮎が綱鵜の背も黒ぐろなめて こがね散る松明の影からのぞく 両面宿儺が赤目ひとつ 己が子のうるか寄こせ…

雪男
7日前

松露

みなのわた那須烏山 横枕にのぼる小木須川 蛇姫が夢のあとさき、今よ清しに流れりたり 夜ごと手毬つく子あらば 鴆羽に浚わるる いのち渇きて草露 救いたれば山は夏と茂…

雪男
8日前

かたくり

すみはれて日光白根山 東風ふきおろす片品の 黒馬の背に渇きてなめる 東小川か 菅沼か わかれては観世音 狩衣が裾を濡らして分け入らば 梓弓ひきぬ 地ふみひびくは大…

雪男
9日前

鹿の若角

いゆししの たびませば花は貫き 流るる星よ たまかぎる日立十王秋山 ゆすらうめゆる 御影に鈴ふる承殿のかげ あとを踏みおひて うたれ袋かくしたる嘆きの 恨みの 呟…

雪男
10日前

コシヒカリ

しろかき牛の紅をひく 越後四ツ郷屋の稲田に美しき 浜さわく千鳥 磯あらぶりて、うちしぶく白波の 九頭竜大神おわたり夜 ならず石の俵さし出さば 早乙女さらひて千年 …

雪男
11日前

まむし酒

やすみしし 蔵王まします稗ケ崎の くぎぬき越ゆる朴木山ぞ ハレ 柿若葉 太郎よぶ声の 河原にまむし草とならふ 砂金もとむると 蛇尼わするる墨衣や しのび恋あら 月…

雪男
12日前

山帰来

津山やまなみ しうつくし美咲ゆ 荒神様にはえ颪すころ 鹿の仔あそぶ黒岩の じびえが鉄砲、声響かば あけの空 まだかへらぬと母がなく 八神に鈴し祈りてよ よぶ声ふり…

雪男
13日前

沼火垂まふ

夏もよき 秋芳於福にますみます大神 はたたうち み麻岩が正片ちりくだけりて 砂上のぼるれ地に銀漢 ぬばたまの月なし夜に吠ゆ 亜麻色流るる中の川 子守児なつかしの歌…

雪男
2週間前

緑夜に

虹橋たつ 厚保みね美祢の山したたる音 代かきの尻をはたいて 万石峠を越えゆば 露傘の、華とひらく黒牡丹 狐火たる月影が落つ 西円の桜散る今生 うちが郷の蛍は来るら…

雪男
2週間前

おぼろ月夜

つゆしもの 秋保の垂水のそのかみづき 蔵王が皇子 山神新川うき流るる雷雲のごと 鉄漿むき帷子むすぶ丸尾は 雪にとけぬ朧 夢つゆ盗む賊ならん 光風、千悔萬悔にふき 童追兎而忘時過 惟星識遁白家路

はつきうり

きみがさす 笠間飯田の山は月照るやま 十九夜供養あつめしし かたぶき地蔵の一人なく 黒鬼に割られて礎と 耳木菟が苦しゅう森深みから 吾ほうほう 吾ほうほう と、神主なき祠なく 望月下降石代影 夫投其以砕泉月

薪猿楽

みづたまる 水戸池野辺の桜川は水きよみ まがも浮く 葦の垣間のぞく烏合の森あり 夕とくれ 褌にうつす鬼火が業の影なりや 黒山のぼる朗月 逃げ走り隠るも 狼 賊吠向無尽欲欲 即使狼亡只遺声

君影草

あめしるや 日出づる豊の国の、すずうちなびき ぬばたまの 夜も焼きつく赤と黒と、くがね色 千両ちりぬれば 猿なく峪の細れ石か 水墨の 経塚山に吹きあがる 碧碧おもふ風よ風 過夜於仙女甕底 在嘘如狸脱失皮

ふともも

さくやこの花 青雲てる夏山に舞ひふり乱り あお駒なめる高崎の 吉井大谷 うらうら 野殿にまよひて道祖神 ならべる顔のほほえまし 夜なに哭くとね石塚の うつした墓を忘れけり 日焼千山万草枯 雨流石以不生苔

すひかづら

かほりむす み社の森のいきづかし 寺久保山 めぐりて雷電 ふる夜に打ち響かしし玄翁 たたらに焼きつかるる黒兎 おひの山を郷と見ん ありつかれて古株 ふち捕まりたるは誰が尾根や すずめ娘が いとおしものは 秋たる米と 藁ねびと

なんじゃもんじゃ

しろたへの雪ふる さつま広瀬は夏きにけらし 黒牛の背あらふ 南方永江の清流すみすみて 尻尾はらふ、金の砂に群がるは、蛍火に 夢やほのかと浮かぶ 偲び山のかつがつ わたる石はの むかうにやさし かかし声する 恋もする

鮎の宿

ほしみやの 流るる長良の美並上田 ぬばたま夜に おとめひく 若鮎が綱鵜の背も黒ぐろなめて こがね散る松明の影からのぞく 両面宿儺が赤目ひとつ 己が子のうるか寄こせと、釜ヶ滝の水を響ます いのちあずけし かの背よ広ろし わたる石はし 彼岸まで

松露

みなのわた那須烏山 横枕にのぼる小木須川 蛇姫が夢のあとさき、今よ清しに流れりたり 夜ごと手毬つく子あらば 鴆羽に浚わるる いのち渇きて草露 救いたれば山は夏と茂りけんを 蛍いとおし おうかげ久し 星にねがふる いのちちよ

かたくり

すみはれて日光白根山 東風ふきおろす片品の 黒馬の背に渇きてなめる 東小川か 菅沼か わかれては観世音 狩衣が裾を濡らして分け入らば 梓弓ひきぬ 地ふみひびくは大猪が仇敵なり 月はつきとも あが恋ひつきぬ いかでさまさう ほたるむね

鹿の若角

いゆししの たびませば花は貫き 流るる星よ たまかぎる日立十王秋山 ゆすらうめゆる 御影に鈴ふる承殿のかげ あとを踏みおひて うたれ袋かくしたる嘆きの 恨みの 呟きの角笛 まなこかくした てのひらあたた 歳すぐるとも つきかたし

コシヒカリ

しろかき牛の紅をひく 越後四ツ郷屋の稲田に美しき 浜さわく千鳥 磯あらぶりて、うちしぶく白波の 九頭竜大神おわたり夜 ならず石の俵さし出さば 早乙女さらひて千年 黒稲が実のる秋とくれ あかぬ夜あかね ほほ染む朝の 日よまぶしきよ かくされね

まむし酒

やすみしし 蔵王まします稗ケ崎の くぎぬき越ゆる朴木山ぞ ハレ 柿若葉 太郎よぶ声の 河原にまむし草とならふ 砂金もとむると 蛇尼わするる墨衣や しのび恋あら 月もよいよい 草の枕に あかす夜

山帰来

津山やまなみ しうつくし美咲ゆ 荒神様にはえ颪すころ 鹿の仔あそぶ黒岩の じびえが鉄砲、声響かば あけの空 まだかへらぬと母がなく 八神に鈴し祈りてよ よぶ声ふりて うれしはずかし うつ胸つづみ しのびうつ

沼火垂まふ

夏もよき 秋芳於福にますみます大神 はたたうち み麻岩が正片ちりくだけりて 砂上のぼるれ地に銀漢 ぬばたまの月なし夜に吠ゆ 亜麻色流るる中の川 子守児なつかしの歌をきき 露もわすれし 十六のなつ うれし手をうつ うしろから

緑夜に

虹橋たつ 厚保みね美祢の山したたる音 代かきの尻をはたいて 万石峠を越えゆば 露傘の、華とひらく黒牡丹 狐火たる月影が落つ 西円の桜散る今生 うちが郷の蛍は来るらんや そでぬる宵の よいもあけさめ わすれぬ人を 鶏がよぶ