ねこぜ@小学校の先生
教育関係の雑記
教育論よりも具体的な現場の話
現代思想とか哲学とか色々を学んだ雑記
◆こんにちは。小学校教員のねこぜです。夏休み毎日投稿チャレンジも最後になります。二十四節気的には処暑にもかかわらず、秋の訪れは感じません…さて、今年もたくさんのスキやフォローをいただきありがとうございました。自分の関心のままに哲学、心理学、行動遺伝学、教育実践などジャンルがあっちゃこっちゃしましたが、少しでも誰かの学びの足しになれば幸いです。 あくまで自分はいち教師。毎日子どもと触れ合うことができるありがたい立場にいます。この夏に学んだことが直接生きることは少ないでしょう
◆こんにちは。小学校教員のねこぜです。代麻理子さんの「ゼロから学ぶ街場の大学」に参加してきました。ゲストは『教育は遺伝に勝てるか』の著者である安藤寿康先生です。以前記事にしたことがあります。 安藤先生に直接質問させていただいたり、自分の考えを聞いていただいたりして学ぶことが多かったので、記録していきます。 1.遺伝か環境かその両方か 「親がああだから子どももこうなるんだ」これは遺伝の一部の現象ではあるけれどあまりに単純化しすぎており誤りである。遺伝によって決まる<決
◆こんにちは。小学校教員のねこぜです。『スマホ時代の哲学』の著者である谷川嘉浩さんと『ここじゃない世界に行きたかった』の著者である塩谷舞さんによるトークイベントに参加してきました。哲学者と文筆家である御二人の対談テーマは「承認欲求の燃やし方」。思考が膨らむ非常に面白い対談でした。忘れないうちに印象深かった話と自分自身が考えたことを書いておこうと思います。 1.承認欲求とは何か まず最初に谷川さんは『スマホ時代の哲学』において敢えて承認欲求という言葉は使わなかったと言って
◆こんにちは。小学校教員のねこぜです。「あなたにとって代表的な日本人は誰ですか?」と問われたら誰と答えますか?これはシンプルなようでいて非常に難しい問いです。コンテクストによるでしょうし、時代にもよりますね。 かつて日本は日清・日露戦争を勝利し、西洋に衝撃を与えました。一体日本とはどんな国なんだ?日本人とはどんな民族なんだ?という問いから生まれたのが内村鑑三の『代表的日本人』、新渡戸稲造の『武士道』、岡倉天心の『茶の本』です。内村鑑三はキリスト教徒で知られていますが、彼がど
◆こんにちは。小学校教員のねこぜです。社会科授業をアップデートするシリーズ、おそらく今年はラストです。先日、所属させていただいているオンラインサロンにて、社会科の勉強会がありました。3人の先生方の素晴らしい発表を聞き、大変勉強になりました。記録していきます。 1.社会科は足で稼ぐ! まずは、教材集め・教材開発について。旅行に行く際、社会科のメガネをかけましょうという話。しかし、どのような視点で見ればいいのか、せっかく旅行に行っても見落としがあってはもったいないですよね。
◆こんにちは。小学校教員のねこぜです。TokyoEducationShow!!2日目に参加してきました。昨日とは打って変わって大人向けの内容。行き交う人の中で子どももほとんどいませんでした。むぎのこさんのようなボランティアサークルと連携して託児システムがあればよかったのかなぁと思った次第。 1.教員が作る教員コミュニティ EDUBASEの現在地と未来 コミュニティの必要さを訴える正頭英和先生の本気さに感銘を受けました。人として大事なのは「生きる」ことと「経験する」こと。
◆こんにちは。小学校教員のねこぜです。子どもを連れてTokyoEducationShow!!に参加してきました。とても暑かったのですが、これは子連れで行って正解でした。子どもが「楽しかった」と言いながら帰る姿を見て、本会の目的を達成できたなと感じています。保護者の立場で参加しましたが、教員という立場で学びのアウトプットをしておこうと思います。 1.オープニング+世界一楽しい科学の授業 オープニングの総合MCはお笑い数学教師芸人のタカタ先生。初めてお会いしましたが、さすが
◆こんにちは。小学校教員のねこぜです。「不登校」。非常に難しい問題です。というのも私たち教師は、教室にいる、目の前に座っている子に対して言葉をかけ、話を聞き、アイコンタクトを取り、言葉を交わし…と関わっています。しかし、そこに「いない」子ども(たち)への関わり、寄り添い、慮る…これは容易ではありません。何をすればいいのか、何もできないのか、非力を嘆くこともありました。東畑開人さん著『聞く技術 聞いてもらう技術』にはそんな嘆きを和らげるヒントが隠されていました。 1.表出され
◆こんにちは。小学校教員のねこぜです。教育現場では、主体的・対話的で深い学びの実現に向けて試行錯誤が続いています。この対話的という文言についても様々な議論がありますが、一つに対話の相手は誰か?ということがあります。子どもの学びですから、友達との対話もあれば、先生との対話もあります。加えて自己との対話、ものや教材を通して先哲との対話も含まれるでしょう。学校であれば、このようにある程度限定的にポジション決めができます。一方、生活に目を向けると学校外の人間や物事も対話の相手に入って
◆こんにちは。小学校教員のねこぜです。夏休みに登山をしてきました。約10年ぶりの北アルプスの女王燕岳です。燕岳の山頂にある山小屋「燕山荘」のオーナーである赤沼さんのお話が素晴らしかったこと、そして登山をしながら思考整理したことをアウトプットしていきます。 1.自然と身体 登山は自然を最も身近に感じさせる素晴らしい体験だと改めて感じました。ごつごつした岩肌や大木の根、木道などを片道4時間ほどかけて登ります。周りに生えている木々や、飛び回る虫、聞こえてくる鳥の声は標高が高く
◆こんにちは。小学校教員のねこぜです。授業てらすさんの「磨け授業力」からの学びをアウトプット。ラストはまさかの音楽科です。講師の納見梢先生にもお伝えしたのですが、教員になって10年以上経ちますが音楽の授業をしたことがありません。もはやアップデートどころかスタートアップです。自分で教科を選んで学べる勉強会のメリットを最大限に生かしました。快く受け入れてくださった講師の先生に感謝。 1.打楽器の基本 もう一度言うが、音楽の授業をしたことがない。故に経験はゼロ。教育実習で1回
◆こんにちは。小学校教員のねこぜです。引き続き、授業てらすさんの「磨け授業力」からの学びをアウトプットしていきます。教科は道徳。講師は加藤宣行先生です。昨年度から書籍を読み始め、実践に移してきましたが、ようやく加藤先生ご本人のお話を直に伺うことができました。読んで学んできたことが指導を受けて血肉化するとはこういうことかと実感。直に指導を受けるというのはやはり大事なことですね。 1.生命尊重を考える 今回の題材は命について。「命」の前後に言葉を付け足すとすればどんな言葉が
◆こんにちは。小学校教員のねこぜです。授業てらすさんが主催する「磨け、授業力」という勉強会に参加してきました。複数教科、いろんな講師の先生方の話を伺うことができました。その中から今回は社会を。この夏は社会科のアップデートを目指します。講師は筑波大学附属小学校の由井薗健先生です。内容は6年生「災害からわたしたちを守る政治」です。選択単元ですね。 1.釜石の防波堤 釜石を地図帳で確認すると港の記号が2つある。商港と漁港である。そして、釜石には世界一の防波堤がある。かつて12
◆こんにちは。小学校教員のねこぜです。前回の目標だらけの学校教育ではややも愚痴っぽく書き連ねてしまいましたが、少し具体的に解像度を上げてみたいと思います。参考図書に國分功一郎さんの『目的への抵抗』を用いていきます。 1.無駄をそぎ落とすことの功罪 主張に入る前に、目標と目的の定義をはっきりさせておきたいと思います。 目標とは、①そこに行き着くように、またそこから外れないように目印とするもの②射撃、攻撃などの対象。まと。③行動を進めるにあたって、実現・達成を目指す水準の
◆こんにちは。小学校教員のねこぜです。國分功一郎さん著『暇と退屈の倫理学』を読み終えた雑感の続きを書いていきます。前回は、①暇と退屈の違いについてと、退屈から逃れるために決断に走ることの危うさ、だからといってただ今ある心地よさに身を委ねることの危うさもあることについて簡単に触れました。というのも、スマホ文化をはじめとした私たちが享受している(しようとしている)楽しさというのは私たちが探求しているものではなく、文化産業からメディアやインフルエンサーといった広告媒体から提示されて
◆こんにちは。小学校教員のねこぜです。國分功一郎さんの『暇と退屈の倫理学』から学んだことを簡単に書き記します。 1.暇と退屈は違う まず、日頃私たちは「暇」と「退屈」を意図せず区別なく使用することが多い。「暇やな~」「退屈だなぁ~」と同じニュアンスで語らえることがあるが、ちょっと違う。著者は暇と退屈を四元に表し、こう示している。 暇だし、退屈である。(1) 暇だけど、退屈じゃない。(2) 暇じゃないけど、退屈である。(3) 暇じゃないし、退屈でもない。(4)