詩 ・ 白日


容疑者Mは殺害の理由を
こう語った
「サックスブルーがどんな色が
 わからなかった」

容疑者Nは殺害の理由を
こう語った
「会うひと会うひとが
 おさないころ別れた父だった」

容疑者Oは殺害の理由を
こう語った
「靴ひものほどけたサラリーマンを
 四人つづけて見た しかも左だけ 」

容疑者Pは殺害の理由を
こう語った
「人生の余白に貼ったふせんが
 本の重量をこえた」

ぼくはぼくのなかの岬をあるきながら
(そこにはちいさな
 50'sのいすが置いてあって
 JIS規格って書いてある)
手くびをさすって考える
あたたかい陽に
まじるつめたい風
しぶきの被膜におおわれて いつか
すべてが白日となる
その日を



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