詩 ・ 手をふって


この世界は美しい
なんていうと
立ち去りにくくなっちゃうから
ぼくはもっと
この世界をきらいになっていたいんだ
愛してるなんてことばを
いちどもつかわないで
いたいんだ
あの堤防のとこの
陽がたまったようなきれいな海や
そこに直接降る
雨なんかを知らないでいたいんだ
ひとにやさしくされたり
ふだんいやなやつのやさしさを
うっかり目撃したりしないでいたいんだ
崑崙や天山山脈みたいに
マンガやテレビで見たものでしょ
ってかんじで
えんやゆかりもない
生きものは
そのままであってほしい
前世は
レンジとかシンクとか
生命体じゃないといい
さいごまで
突かれもぶつかりもしない
ビリヤードの玉みたいに
この世界は醜かったねって
わらいながら
手をふって



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サイトウリン

詩人・斉藤倫のこと 詩集に『手をふる 手をふる』(あざみ書房)など 物語に『どろぼうのどろぼん』(福音館) などがあります 近刊に『ぼくがゆびをぱちんとならして、きみがおとなになるまえの詩集』(福音館) 『はるとあき』(うきまるさんとの共作 小学館)

『ゆびぱち』までのポエトリソン

『ぼくがゆびをぱちんとならして、きみがおとなになるまでの詩集』(福音館)の発売に先立ちまして、3月10日から4月9日までの一ヶ月、一日一篇、詩を書く超・個人的キャンペーンです 合計31篇の未発表詩になる予定です
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