「母かあちゃんのためなら、エンヤコラやね」
『頭の中で、あの曲がずっと流れてた』
「戦前大東亜から高度成長、日本の象徴しょうちょうや」
『古臭いって引かれるかもだけど』

「どうやろ。１０年前の紅白、ネットでも評判よかったで。わたし、美輪さま見たさに、久しぶりのNHKやったもんなぁ」

『あの曲ができるエピソード読むとね。なんかオレ、それでウルウルきちゃうの』

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こんにちは。フジミドリです。母の日に書いた種観霊シュミレイ、お楽しみ頂けましたか。

道術家どうじゅつかの私が得た理解で、心地よくなって下さるなら、本当に嬉しいことです。

不遜エラソ―な姿勢かもしれません。とはいえ、その在あり方を選び、私の理解は深められます。

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「１９６５年の発表やから、わたしより一個いっこ上やねん。確か事務所の手違いで、美輪さまが炭鉱筑豊町でコンサートするんやった」

『そう。場違いに感じて、この人たちを元気づける唄うたが作れたらって思うわけ』

「なるほどな。けど、事務所の手違いかて、偶然やろか。運命の力を感じるで」

『うん。ドラマチックだもん。美輪さんの身近にいらした何人か、モデルらしいね』

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労務者ヨイトマケの子供とイジメられ、学校から逃げ出したものの、働く母の姿に心打たれ、黙って戻る級友の少年。

満洲まんしゅうから引き上げる時、目前でソ連兵に両親とも殺された少年が、頼る祖父も亡くなり、遺体をリヤカーに乗せ火葬場かそうばへ運ぶ。

この少年は苦学くがくして技術者エンジニアになる。美輪さんが赤飯せきはんを炊たくと、これまで祝ってもらうことなど、一度もないと泣き出した──

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『この曲は、実話じつわを元に創作されたから、丸っきりのフィクションじゃないわけよ』

「ははぁ。なるほどな。フジさんにとって、この曲は私物語ミーナラティブになるんやね」

『そうなの。より多くの人へ伝わるように、形を整えていらっしゃると思う』

「シンプルやね。大切なんは、この曲を聞いた人が、何を感じてどう活かすかや」

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創り手は、自分が感じたままに、持てる力を活かせます。より良いものへ整えていく。

でも、こう感じてほしい、読み取らせたいと願うのは、押しつけかもしれません。

そして、私物語から、どう感じて活かすのかは、受け手が持つ自由なのです。

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「戦争は悲惨ヒサンやなぁ」
『いやホント、そうだよ』
「金持ちか貧乏かも、エラい違いや」
『その環境で、生きるしかないもんね』

「どうして人それぞれ、こない違いがあるんやろな。不公平や思うで。救いがないわ」

『同感だね。オレも、人生が偶然の産物他人任せって考えていた時は、絶望したもんだよ』

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もちろん、正解はないのです。

この世は偶然に左右されるのか、前世の理解で決まっているのか、私にはわかりません。

証明できえびでんすないのです。

ただ、決まっているという捉え方が、私にはしっくり腑に落ちてきました。身に馴染なじんだのです。

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『決まってるんなら仕方しょうがねぇ。そう呟つぶいたら許せたの。不安もなくなったんだよ』

「わたしは逆やな。初めに聞いた時、なんや決まっとるんか。ガッカリしたもんやで」

『ガマンしなきゃ、諦明めるのかって思うみたいだね。そんなことないんだよな』

「確かに、あれこれ心配せんと、意識生命波は他へ向けられるわな。それも、決まってるけど」

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決まっているからといって、感情こころが波立たないわけではございません。むしろ、安心して揺れ動いてよいのです。

あれこれ考え、思い悩むことまで決まっておりますから、そのままでよいのです。

ご自分を責める必要などは、ございません。後悔こうかいもなし。気を楽になさって下さい。

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「フジさん、ええお母さんや」
『うん。ありがとう』

「わたしはなぁ、母親いうより、同性で年上の友人いう感じで接しとる」

『おやまぁ。それって、いつ頃からなんだろね。何か切っ掛けがあったとか』

「どうやろ。母も離婚しとるからな」

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親子はこうあるべき、そんな常識思い込みがございます。無意識に潜ひそんでいるのです。

でも、その殆ほとんどが、読んだり聞いたりで作られた幻想ファンタジーに過ぎません。

前世の理解で自分が決めた、という観点に立ちますと、異なる展望が拓ひらけてくるのです。

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「わたし、親に褒ほめられんかった。勉強でけた絵も描けたのにな。運動は駄目ダメやけど」

『あはは～それはまぁ、ご愛嬌あいきょうで』

「子供やから褒めて欲しくて、描かいた絵を見て言うたら、ひけらかすな怒られたんよ」

『わお、そりゃ厳キビしいね』

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実は先日も、似た話を聞きました。

高校の男子生徒が、親に褒められた記憶は、一度もないと顔を顰しかめるのです。

どうして。尋たずねます。褒められると調子に乗るから。そう言われたとか──

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「姉は褒められる。７０点でエラい。わたしは９５点で叱しかられる。なんで満点取れへん」

『期待されちゃったかな』

「高校生の時、父に逆ろうて、顔が変わるほど殴られた。母が止めてくれたけど」

『うーん。揺ようさん、大変だったね』

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高度経済成長期、真っ只中ただなかに育った世代なのです。頑張ることを要求されました。

良い大学に受かれば、良い会社に入れ、一生は安泰あんたいだ。意志を堅固けんごに努力せよ。

右肩上がりの社会にあって、なかなか説得力のある言説げんせつではございました。

しかし、昭和から平成へ時代が移り、状況は変わりました。そして、今や令和です。私達は、対処できているのでしょうか。

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『オレが本を読むのは、母の影響だね』
「お母さん、読書家やったん」
『今でも思い出す。幼稚園の頃だった』
「読み聞かせしてもろたんか」

『ああ。それもあったなぁ』
「他にも思い出、あるんやね」
『熱心に本を読む真剣な顔』
「どんな本やろ」

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母は洋裁ようさいができました。近所の方に誂あつらえる。生徒さんも取っていたのです。和室が二間ふたまの借家。裁たち台に腰掛け、家事の合間に読む。

後で聞けば、山岡荘八やまおかそうはつ『徳川家康とくがわいえやす』あたり。貧しく忙しい暮らし。束つかの間まの安らぎ。胸躍る歴史物語へ、没頭ぼっとうしたのでしょう。

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『声掛けそびれて、見惚みとれた』
「本好きは入り込むんや。わかるわ」
『ふと気づいて、どうしたのって』
「用があったんか」

『でも、ないよって』
「お母さんの様子に、遠慮したんやね」
『やんちゃ坊主ぼうずも子供心にさ』
「今でも覚えとるんや」

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読む母の真摯しんしな顔。本は面白いもの。そう、刷り込まれたのです。図書館の本。次々と読んでいく。子供向けでは飽き足らない。

『背伸びしたかったんだよ』
「お母さんのマネッコや」
『小４で【戦争と平和】読んだもん』
「は。トルストイかよ！」

母が尋たずねます。あなた、わかるの。私は戦争の場面を語ります。偉いねぇ。お母さんは、外国の名前が覚えられないのよ。偉いね。

「ホントに読めとった？」
『どうだろ。怪アヤしいよねぇ』
「子供の思い込みやろか」
『無邪気むじゃきって怖ヤバいぜ！』

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読書を勧められた記憶は、一度もございません。本は面白いと刷り込んでもらえました。無心ゼロで物語世界へ没頭する母の姿から。

後年、このエピソードを、訊きいたことがございます。そうかしら。覚えてないわねぇ。

振り返れば、私の仕事は読書に支えられて参りました。全て、母のお陰なのです。

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『オレは、心配掛かけ通しだった』
「優等生やなかったの？」
『小五で１ヶ月、入院してる』
「そら、心配やったろな」

『高２の終わりに手術した』
「あらまぁ。お母さん、大変や」
『浪人中は引き籠こもりだった』
「フジさんも、色々あるな』

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私は、母との前世を思うのです。

様々なケースがあって、一概いちがいには申せませんが、前世でも心配掛けていたのでは。

そんな気がしてなりません。

母は過保護なくらい、気遣きづかってくれる。もちろん、時には厳しいことも諭さとされました。

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「フジさん、お母さんが言うたこと、できてる思うで。あなたしか書けへんいうの」

『嬉しいこと言ってくれるね。褒めてもらえるとさ、しみじみ満ち足りてくるよ』

「意識の使い手が仕事や言うのも、目から鱗ウロコでな。わたしら、何でも意識を使うから」

『そいつはよかった。オレも中真感覚ちゅうしんかんかくで救われたよ。これしかないって感じだね』

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♡♡♡

自分しか書けないものを書く。これを、老後の仕事にできたらいいかもしれない。

この世で、母との思い出を振り返りながら、そのような道筋ことを考えておりました。

とはいえ、私も還暦かんれきを過ぎ、今のところ元気でございますが、いずれは衰おとろえましょう。

そうなってからでも、書き続けられるものだろうか。考え込んでしまいます。

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『どうしても、この３次元世界の中で、取り組めるかどうか、考えちゃうんだよね』

「霊れいの目から観る言うても、浮世うきよ離ばなれしとるからなぁ。けど、仕事には限界あるで」

『明日、死んじゃうことだって、あるんだからさ。死後の仕事を考えないとね』

「あっはっは。フジさん、それ親父おやじギャグかよ。死後の仕事って、笑ワラかしてくれるな」

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母の言葉を受けて、私は作家であろうと決めました。私物語の作家が仕事です。

体の効きく限りは、塾講師も続けましょうか。必要となさる生徒さん、あるならば。

とはいえ、意識の使い手なのです。表面の仕事が何であれ、中真感覚は磨きます。

何方どなたも意識をお使いです。意識の使い手という在り方を選べば、今ここから始まります。

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「ほな、わたしもできるんか」
『もちろんだよ。採用致しましょう！』
「そらありがとさん。で、何するんや」
『いや別に。決まってるからね』

「ははぁ。この人生は決まっとる。そっか。中真ちゅうしんで密かにこっそり、死後の仕事をするんや」

『さっすが、揺さん。オレよりフジミドリのこと、解っていらっしゃる。嬉しいね』

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たとえどんな人生であれ、決まっておりますから、映画を見るように淡々と熟こなすだけで、宜しいのです。ご安心ください。

ただ、中真を意識するだけです。霊的な自分が覚醒かくせいします。死後の準備は万全バッチリです。

外から見ても、わかりません。これまで通りです。でも、霊性が違っていらっしゃる。

眠りの世界で、解放されます。もちろん、観る人が観れば、解ってしまいますが──

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『肉体を脱ぎ捨てて幽体ゆうたいになる。それから、思いも捨て去ると霊体れいたいというわけさ』

「それだけ聞くと、小学生から中学生、中学から高校へいう感じやけどな」

『でも今この瞬間、幽体は幽界ゆうかいに、霊体は霊界れいかいにあるって、改めて気づけたんだ』

「ほな、こっちにおりながら、霊界やら神界やらの光も顕あらわせるんか。楽しみやで』

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「次は何を書くん？」
『このところ読んでいる物語がさ』
「異世界転生いせかいてんせいものやね」
『なんでこんな、ハマるんだろ』

「わたしも好きで読むよ」
『ところが、今回の種観霊で』
「リクエスト入ったんかい」
『祖母ばあちゃんの人生ことが気になるって』

「女手おんなで一つ、戦後の混乱期を生き抜いたお人やったな。フジさんから聞いて、わたしも、ちょっとビックリな人生やったで」

『あの時代は、日本人全員みんな、生きるのに必死でさ。戦争で亡くなった方の分もって思い、あったんじゃないのかな』

♡♡♡

次回、フジミドリ５月１５日午後３時。
こちらは、翌日午後６時です。

ではまた💚