私にはもう観られないかもしれない映画

先日、ハードディスクの整理をした。ほとんど映画ばかり200本以上。よくもまあこんなに録画したもんだと思う。しかもそのうちの多くが一度も観たことのない映画だ。

かなり観たい映画。時間があれば観たい映画。どちらかといえば興味のある映画。あらすじに惹かれた映画。観ておいた方がいい(ような気がする)有名な映画。話題作。ヒット作。賞レースや映画祭で好評だったもの。あとは保存版として残してある好きな映画。そんなこんなで200本超え。さすがにもう満腹でーす、とばかりにハードディスク残量がカウントダウン状態になり、気がつけばあっという間に自転車操業だ。

これはイカン、いかんぞ、ということでまず、好きな映画はDVDやBlu-rayを購入して消すことにした。電子書籍より紙の本、サブスクよりもCD、という質量派な私としてはこの作業は楽しい。棚に並んだパッケージを眺めては「いいなあ」と一人でにやりと笑っている。

次は「本当に観たい映画を厳選する」作業を始めた。本当にこれ観たいのかな?観たくて録画したのかな?このタイトルなんだっけ?とネットであらすじなどを諸々調べながら、古い録画から当たっていくと、これが以外とポロポロ出てきたのだ。もう私には「キツくて」観られそうにない映画が。

子供や女性がツラい目に遭う。一方的な暴力(いじめや言葉の暴力も含む)。残虐な描写。強い性描写。こういうのはもう観ることができない。見始めてから途中でそういうシーンが出てくると耐えきれずに止めてしまう。暴力シーンは感情移入してしまって苦しいし嫌悪感の方が勝ってしまう。どれも台詞で説明されるだけならまだ耐えられるけれど、視覚で見せられるともうだめだ。性描写も、最近は「それ(このシーン)、いる?」と思ってしまって気持ちが冷めてしまう。昔はそういういわゆる「濡れ場」や「ラブシーン」みたいなのはお決まりとして必要だったのかもしれないけど、もうそういうのが個人的に退屈だし、「それよりも物語を先に進めてくれていいんだけどな」と思ってしまう。だからつい、濃厚接触シーンがある映画やあらすじが恋愛メインだったりすると「お呼びでないな」と思ってしまう。

あとはキャラクターの描き方について今の私と温度が違うな、と思った映画も消した。人種やセクシャリティについての描写とか、キャスティングされている役者の属性が偏りすぎているとか。具体的な映画や描写を上げるのが難しいのだけれど、「ブロンド美女をはべらせているお金持ちの男性」みたいなのもキツい。そういう人は実際にいたのだろうけど、「あー昔の映画観てるな」という気持ちにはなるし「こういうのが観たいんじゃないんだよね」とも感じるのでそういう映画も思い切って消去。

「映画好き」を公言するとありがちな「じゃああれ観た?」「○○(有名映画)はどう?」みたいな「映画好きを名乗って良いかチェック」っぽい質問をされたら華麗に切り返したい!とこれまでは思っていて。だからとにかく有名な映画は一通り観ておくべきだ、と自分にプレッシャーをかけていた。

でもね、もうそういうの、もうやめようと思いまして。

人生の中で観られる映画には限りがある。だから、誰かと議論をするためや、うんちくを披露するためや、詳しいと得意げになるために映画を観るんじゃなくて、純粋に楽しむために映画を観たい。自分の時間なのだから、自分のためだけに映画を観よう。そう思っている。

きっとこれからまた、考え方や好みも変わるはずだ。その時はまた考えればいい。


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