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「アンダーグラウンド」 エミール・クストリッツァ

2022年8月某日

「アンダーグラウンド」
監督:エミール・クストリッツァ
1995年 

久しぶりに…数十年ぶりに観ました…
U-NEXT偉いよ…TT

何度観ても、私の一番好きな映画です。

3時間弱という長さに、
すごく濃厚な内容で疲れるし、
(オリジナルは5時間あるらしい!)
始めに観た時は歴史的背景にも、地域、民族的にも馴染みがなくて、
色々理解できないながらも、最後には胸がいっぱいになった。
映画館は見逃したけど、当時の知人が超絶勧めてきて、
レンタルで借りたんだったと思う。

人によっては最初のシーンから鳴りまくる音楽がうるさいと思うようですが、
私はこの音楽が凄く好きで、当時CDも買ってしまった。
なんというか、阿波踊りのお囃子聴くと居ても立っても居られない気持ちになる、そう言う感じ。(個人的に)
でもあんまり聴いてない。
家で聴くにはうるさくて落ち着かない。←笑

こんな風に自分の人生に音楽隊がいてくれたら楽しいなぁ、うるさいけどw と思う。
楽しい時も苦しい時も、うるさいよ!みたいに音楽隊がまとわりつくのがなんとも素晴らしくて笑える映画。

それにしてもどんだけガラスを割るんだろうw
グラスも酒瓶も窓ガラスも割ること割ること😂

マルコとクロという男達の危険すぎる魅力、
ナタリアのしたたかさ、
関係で言ったら「タッチ」の三角関係のドロドロ版。←雑な例え😎

3人が酔っ払って歌うシーン、
なんともいえない、
人生や運命への鬱屈や絆の様なものを感じて、
極東に暮らす私にも何故か込み上げてくるものがある。

人間臭さの極地。
戦争と人間、人間の短い一生。
人間の全てがここにある、という気すらする。

粗野で猥雑で残虐、欲望にまみれ、
戦争を起こし、戦争で金を稼ぎ、
浴びる様に酒を飲み、
性愛に翻弄される人間。

それと、戦争に巻き込まれる動物…

映画ってなんだろう。
表現の為に動物を巻き込み、自然を痛めつけ、
作ったセットを焼き、
それでも戦争と人生、そして「祖国」を、
表現する為に映画を撮り、歴史に残す。
地球の遠いところから、
私のような知らん奴がそれを観て大いに涙したりして。
人生で一番好きな映画だって言ったりして。

それにしてもお猿さんの名演技よ…
(複雑な気持ちもありつつ…)

映画も人生も不条理で、
戦争も不条理。

今は分解されてしまった「ユーゴスラビア」
多民族多宗教の、かつてあった大きな国、
その混沌の中をしたたかに生き抜き、
自身のアイデンティティを「ユーゴスラビア人」とする、
監督と主演俳優たち、
彼ら自身の「生きた証」のようにすら見える。
圧倒的な迫力。

登場人物達はものすごくアグレッシブなのだけど、
最初から最後まで、結局は戦争に翻弄され続け、
どうにか生き延びて来た小さな存在の炎の様な人生。

ストーリーはナチスに侵攻されている第二次対戦中から、
終戦後のチトー政権による共産主義、
時は流れて90年代、冷戦が終結して再び紛争となり、
また多くの人の命や街が破壊された時代も映す。

チトーの葬儀のシーンなど実際の映像も重ねてあり、
画像は荒いけど当時の要人らしき顔ぶれが映る。

多くの国の要人が参列して弔問外交を行ったとの事。
昭和天皇の大喪の礼が行われるまで、
チトーの葬儀は歴代一の大きな国葬だったそう(wikiより)

後半は戦争の重々しさが大きいけども、
全体的に皮肉を込めた壮大なコメディーにもなっていて、
人々の生命力と、演出のワイルドさ(笑)にひたすら圧倒されたまま時間が過ぎるけど、
より味わいたい場合はこの物語の時代背景をザーっと一読すると観やすいかもしれないです。

しかしまあ!
作中で女優であるナタリアという女、
それを演じた女優が凄い!!
身体が小さく、美しい人ですが、
泥臭くしたたかで、身体能力もハンパないし、
天才的なコメディエンヌ。軽薄さも面白い。
劇中劇とか写真撮られる自意識過剰女ぶり上手過ぎる(笑
欲深くも無情な、女の人生を生き抜く演技、圧倒される。

ラストはなんともいえない、
救いと、切なさ、
虚構と現実、
きっとグッとくるラストかと思います☺︎

余談ですがラストの景色、
GMOクリック証券の新垣結衣のCM、
結婚後のCMがあの景色のオマージュになってた気がします。
ラッパ隊も演奏してたし、絶対そう📯🎷🎺
ガッキー、花束渡されてた☺︎
CM作った人、この映画が好きなんだねきっと。

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