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【広辞苑でエッセイ】鑢

『鑢』
棒状の鋼の面に小突起(目)を多数つけたもの。工作物の面を平らに削り、また角落しなどに用いる。平・角・目立・三角・笹葉・刀・丸・甲丸・両甲丸などの形状があり、目の形により単目・複目・三段目・わさび目に、目の大きさにより油目・細目・中目・大目・荒目・大荒目などに分かれる。(2950頁)


中学生の頃、木材を使って本棚を作ったことがあった。その際ヤスリ掛けを徹底的に行ったのだが、その時は「触ったらツルツルで気持ちいいから」ヤスリを掛けているものだと思っていた。色塗り、ニス塗りの際にムラが出ないよう均一に慣らすためであると知ったのは、本棚が完成した後であった。

甲子園において、阪神タイガースの鳥谷敬選手が守っていたところの土は、いつも試合が終わっても綺麗に慣らされていたそうだ。守備をするうえでグラウンドのせいにはしない。ゴールデングラブ賞を5度も獲得している選手は、流石に心構えが違うものである。

イレギュラーというものは、野球において頻発するものだ。それにどう対応するかということも確かに大切だが、そもそもイレギュラーを発生させなければいい話である。このような思考こそが、守備の名手たる所以なのだろう。

鳥谷選手は今季限りで阪神を去る。しかし、彼がチームで長きにわたって磨き続けてきたものは、きっと後輩たちに受け継がれている。

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2019年9月30日(月)

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