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契約の成立要件等 宅建士試験40点を目指す講義NO.1

今回は、大多数の方が自分でも行っている、とても身近な契約について学習していきます。

1.契約とは

契約とは、簡単に言うと、約束のことを指します。

例えば、私がタックンに対し、自分の建物を5000万円で売るという約束をしたとします。これは、売買契約です(民法第555条)。

民法522条第1項によると、「契約は、契約の内容を示してその締結を申し入れる意思表示に対して相手方が承諾をしたときに成立する。」と規定されています。

ですから、私がタックンに対し、「この土地を5000万円で買ってくれないか」と申し入れます。それに対し、タックンが、「え、こんな一等地の土地を5000万円で良いの?買う、買う、買います。」と言って承諾すると、契約は成立するわけです。

そして、民法第522条第2項では、「契約の成立には、法令に特別の定めがある場合を除き、書面の作成その他の方式を具備することを要しない。」と規定しています。

したがって、基本的には、契約は、申込みと承諾の一致だけで成立します。これを諾成契約と呼んでいます。承「諾」だけで「成」立するから、諾成契約です。
一般の相談者からよく聞かれる質問で、「契約は書面がないと駄目なんですか」というものがありますが、私の解答としては、いつも、「契約の成立には、書面の作成は不要です。口頭だけで成立しますよ。」と答えています。

2.契約の分類

(1)諾成契約と要物契約

基本的には、契約は、申込みと承諾の一致だけで成立します。
しかし、例外的に、申込みと承諾の一致だけでは契約が成立しない場合もあります。契約の成立に物の引渡しが必要な契約があって、これを要物契約と呼んでいます。物の引き渡しが必要だから要物契約です。
この要物契約については、2017年、平成29年6月2日に公布された民法改正(2020年、令和2年4月施行)の前は、消費貸借、使用貸借、寄託の各契約が要物契約として規定されていました。

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