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私が・・・・・だった頃

30年前に自分の図案展用に私が手描きした帯の図案(32cm×70cm)を紹介します。

今、これを描けと言われても無理です。(笑)

まず、金線は樹脂を細く筒描きして乾いてから金箔を貼っています。

色の点描は、一粒一粒を樹脂で筒描きして盛り上がった点が乾かぬうちに細かなカラーラメ粉を上から撒き、乾くのを待ち、それを色毎に繰り返します。

このラメ粉は最近ではネイルアートに使われていますね。

結果的に点描の一粒毎の色が乱反射して光り、複雑な効果をもたらします。

当時、他の図案家が誰もやらないことにチャレンジすることが生き甲斐だったのですが、一言で言えば「変態」ですよね(笑)

おかげさまでこのタイプの図案は完売したのですが、「実際に帯として織られて製品になったのか?」

気になるところですよね。

残念ながら、この表現通りの帯を織ることは不可能でした。

これはある意味、当時の帯のメーカーへの挑戦状でした。

当時、誰もまだやったことのないことにワクワクしながらチャレンジしている自分を思い出します。

この個展で描いたこのような図案はその後二度と描きませんでした。

理由は、目的を達したこと、さらに描く作業にあまりにも時間を取られるからです。

そして私の興味はすでにそこになく、ワクワクは「次の新しいこと」にあったからです。

そんなワクワクを続けていたら、気がつけば画業50年。

それもこれも、変態の私に付き合ってくださり、応援してくれた皆様のおかげです。

図案家 成願義夫

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