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【読書/映画感想文】恐ろしすぎる“普通”の女子の群れ『暗黒女子』(秋吉理香子)

おすすめポイント

  • 女子の群れについて深く考えさせられる

  • 何気ない毎日に飽き飽きしている女性にぴったりのミステリー

レビュー

    観やすさ ★★★☆☆
      怖さ ★★★★☆
   おもしろさ ★★★☆☆
   わくわく感 ★★☆☆☆
何度も観直したい ★☆☆☆☆

感想&あらすじ

セレブ女子高生が通う、聖母マリア女子高等学院。ある日、学院の経営者の娘で、全校生徒の憧れの的だった白石いつみがなぞの死を遂げる。校舎の屋上から落下したのだが、自殺か他殺か、それとも事故なのかもわからない。やがて、いつみが主宰していた文学サークルの誰かが彼女を殺したという噂が学院中に広がっていく。いつみの親友だった澄川小百合は、サークルの会長を引き継ぎ、部員が自作の物語を朗読する定例会を開催する。今回のテーマは「いつみの死」。それぞれを“犯人”と告発する作品が発表されていく。物語は5つ、動機と結末も5つ―。果たして真実はあるのか?

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あぁ女子っぽい。

ありえないような事件が起こりますが、不覚にもありふれた女子の日常って感じです。

サークル内の女の子たちは心の底から大好き同士! っていう感じではありませんが、周りから見ると親友たちのような女子の群れです。

嫉妬や憎しみ、嫌悪感はあっても周りから見ると仲良し。

そんな

すぐになくなってしましそうな儚い女子たちの関係

が私は嫌いではありません。

そしてそれが普通だとも思っています。

映画だと見どころはやはり、全員の朗読シーン

サークルの女子たちそれぞれが、白石いつみの死の真相を書いて、朗読します。

不思議なのは夏目漱石の「こころ」のように、それぞれの視点から見ると全く違うストーリーになっているところ。

誰の話が本当なのかも分かりませんし、皆の話が正しいような気もしてきます。

知的な彼女たちは、それぞれの思いを抱えながらも、表面上では「美しく」「おしとやかに」「気品のある」お嬢様を演じています。

裏の顔があるにしても、私はそんな彼女たちの美しさに惹かれました。

白石いつみを主人公にさせない、白石いつみの言いなりにはならない。

自分を守るためなら何でもできる。

そんな彼女たちのエゴイズムは白石いつみのエゴイズムに負けていません。

もう1つの見どころは最後のシーン

白石いつみを殺した親友・澄川小百合は自分こそが次の主人公だと言い、脇役たちとともに楽しそうに登校してきます。

人が死んでいるというのに、まるで何事もなかったように。

そのシーンが怖くもあり、ありふれているようにも思えました。

私たちも、心の中では何を思っていようと闇を抱えていようと、普通に笑えるし、普通に振る舞えますよね。

少し変わっていますが、それが女子の群れかもしれません。

女子の群れについて、深く考えさせられる作品です。

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