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05 Moon river (Breakfast at Tiffany's)


Verce(はじめに)

ジャズスタンダードナンバー歌詞和訳の五曲目は
Moon river
作詞ジョニー・マーサー作曲ヘンリー・マンシーニ
言わずと知れた名曲ですよね。選んだ理由は詩が短くて訳しやすい!からではなく・・・王道中の王道でいきましょうってことで・・
映画『ティファニーで朝食を』で多くの人々の記憶に刻まれている曲だと思います。私はカポーティ大好き人間で、もちろん『ティファニーで朝食を』の原作が大好きなのは言うまでもないのですが、ここで避けては通れない一つの問題、カポーティも憤慨したらしい、オードリー・ヘップバーンの配役について、どうなのよ?
という件ですが、
勿論、オードリー・ヘップバーンが素晴らしい女優なのは言うまでもなく、重々承知の上で。。。
個人的には、原作のホリーに思い入れがある故に自分の中で出来上がったホリーのイメージは、ちょっとオードリー・ヘップバーンとは違っているかも。。。というのが正直なところです。
しかしながら、
改めてオードリー・ヘップバーンの歌うムーン・リバーを聴いていると、やはり彼女しかありえないなぁ、という気もしなくもないです。(歯切れ悪いなぁ!)
前置きが長くなりましたが、本題に入りましょう。
の、前に読みながら聴いてほしいBGMは、迷いなく、ブラッド・メルドーのテイクです。


Moon River 歌詞和訳

(sakana-jazz拙訳です。ご容赦ください)
**************
Moon river

Moon river, wider than a mile
I'm crossing you in style some day
Old dream maker, you heart breaker
Wherever you're going 
I'm going your way 
 
Two drifters, off to see the world
There's such a lot of world to see 
We're after the same rainbow's end 
Waiting round the bend 
My huckleberry friend
Moon river and me 
 
ムーンリバー、なんと果てしなく広大な
私はいつか、立派に渡ってみせるから
古き夢を与えるあなたは、心も傷つける人だった
あなたが何処へ旅立とうとも
私もあなたの道を行くよ
 
世界を見るため漂う二つの影
世界には見たいもので溢れている
私たちは同じ虹の果てにいるだろう
曲がり角で待ってるからね
 
私の大切な友達
ムーリバーと私
 
**************

シンプルな歌詞なのですが、和訳するにしても、解釈するにしても、非常に、微妙なニュアンスが難しいです・・・。
歌詞だけで読み取ろうとすると、あなたとわたしって、どんな間柄なのかなぁと考えてしまいますが、ティファニーの原作を思い出して主人公とホリーの何とも言えない複雑な間柄を踏まえると、何とも言えない絶妙なニュアンスの具合をうまく表現しているとも考えられます。
とは言っても、曲自体が独立独歩しているほど有名なので決して原作ありきって感じでもない純粋な歌詞の深さに魅せられます。
そして訳している時に一番困ったのは最後の『ハックルベリーフレンド』
わたしのハックルベリーフレンドって直訳している人もいるみたいですが、正直意味がわからないですよね。
この「ハックルベリーフレンド」はマーク・トウェインのハックルベリーフィンの冒険から引用されているみたいで、大人の社会の中で知恵と勇気を絞って生きる主人公のニュアンスから由来されているみたいです。確かにハックルベリーフレンドのイメージは奔放なホリーのイメージと重なる気がします。私の勇敢な友達と訳してもありかなと思いましたが、曲自体を広義的に解釈したい意味で、私は大切な友達と訳してみました。

Moon river の個人的な感想

ティファニーを中心にそこそこ前述しましたので、別の観点から曲について考えてみようかと思います。
ジャズのスタンダードナンバーとしてはあまりに王道過ぎて、曲に対する固定概念が定着してしまっているかもしれません。アーティストによって如何様にも変容するのがジャズ・スタンダードナンバーの面白さの一つですが、その点では、ムーン・リバーは良くも悪くもしっとり演奏するスローバラードみたいな感じでイメージが定着していますよね。その点を面白く思えるか思えないかは曲を選ぶアーティスト次第ですが、やはり相対的に女性ヴォーカルで歌われるケースが多い気がします。
曲自体はかなりシンプルで私もサックスを習った時にまず最初に練習して演奏できるくらいですが、だからこそ、アーティストさんが演奏するには純粋な力量が試される非常に難しい曲なんだろうなぁ・・とわからないながらに思います。
これ以上切り落とすところも付け足すところもない完璧な存在。音楽に限らず芸術全般でそんな存在ってありますよね。

Moon river 個人的オススメ曲

やはり、ドカーン!と完膚なきまでに歌うフランク・シナトラも良いですが(もうこのブログではシナトラ噛ませ犬的位置付けになってしまって申し訳ないのですが・・・)
個人的には手嶌葵さんのテイクが一番好きです。様々な大御所のジャズシンガーを差し置いて、一番聴いてるテイクです。
沁みますよね・・・

あとはアンドレア・モティスさんのテイクも好きです。

他にも女性ヴォーカリストで沢山紹介したい方はいるのですが、ジョン・バティステさんのどこか切なくも透き通った演奏も良いです。

でもやっぱり最後はオードリー・ヘップバーンで締めたいと思います。

今回も結局長くなってしまいましたが、最後まで読んでいただきありがとうございました。
それでは、また。
ゴールデンウィーク中に次の更新が出来れば良いのですが。。。

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