見出し画像

青ざめるあなたへ

今日は、ちょっと未来の自分に向けて、いま考えていることを書いてみたいと思うのです。

「誰に向けて書くか」という話は、たとえば「ターゲットを想定する」というような言い方で、物を書くうえでの基本のように語られることもあるけれども、そういう職業ハウツー的な話だけではなくて、たとえば研究者が、かつての恩師を思いながら「先生ならどう言うだろうか」と背中に視線を感じながら物を書くように、たとえば絵本作家が、扉部分で「娘たちへ」とその愛を表明してから物語を始めるように、特定の誰かの目線を意識したものであってもいいはずの話であって。

僕はといえば、「後輩たちへ」宛てて書いたものもあったし、佐々木中さんの本を読んだ時には「いつかの誰かの「友」となれることを祈りながら」なんてことも書いたけれども、普段は、あまり多くない友人たちの顔を思い浮かべながら書いていることが割と多くて、その意味ではnoteは「考えごとの近況報告」のようなものだと思っていたりして、顔を合わせた時にはあまり話すヒマのないことや口には出しにくいことが、いくらか伝わるといいな、などと思っていたりして。

ただ当の友人たちにはそんなこと言ったことはないし、そもそも読んでくれてるのかも知らないのだけれど。

「未来の自分へ」なんて行いは、そんなサービスも世の中にはあるとはいえ、こんなブログのスタイルで行われるそれはきっと中二病的な、それ自体が「健康な大人の状態ではない」という近況報告であって、承認欲求の発露以外の何物でもないような気はしていて。

けれどそれでも自分のなかの中二の小僧がそれで満足するのなら、そんなみっともなさも「おお、よしよし」と機嫌をとってあげるのが「未中年」を生き抜く術なのだというのがジェーン・スー女史の謂いでもあって、いま背中の方から冷静にツッコミを入れている大人の自分の目線と、そしていつかもっと冷静に読み返して青ざめる自分の目線を意識しながら、その、青ざめるあなたへ。


-----

お元気でしょうか。

と、「お久しぶりです」と言わんばかりに書き出してみましたが、きっとこれを書いてからそんなに時間は経っていないでしょうね。

年単位なんてありえない、たぶん年末とかには「この1年をふり返る」ふうに読み返すでしょうし、たぶん1ヶ月が過ぎたころにも「あれから1ヶ月か…」とか言って読むのでしょうし、たぶん「前回どんな感じで書いたんだっけな」とか言って来週くらいには読んでいるでしょう。
そういう人だ、あなたは。

まあでも来週も1か月後も年末にも来年にも5年後にも読めるようにしておく(noteのサービスの存続ということは措いといて)ということには意味があると思うので、その時々のそれぞれのあなたに向けて、今このときのあなたの近況をお知らせします。

今週、離婚しました。

このできごとを書くために1000字を使って勿体ぶりました。
そういう人だ、あなたは。

ちょうど、6年間でした。

別れることが決まってしまうと、よかったことばかり思い出すような、そんなJーPOP的なこともあるんだろうかと考えたりもしましたが、ありませんでした。

思い返すと自分の状態が「よかった」ことがなかった。

これは相手のせいということでは全然なくて、自分の人生における時期的な問題、そもそもの相性の問題、仕事の問題、原因はいろいろで、それでいうと相手だってそうであったかもしれなくて、だから平野啓一郎さんの分人主義的にいっても、お互いにこれでよかったと思うのであって。

手続の当日は、向こうが用意してくれてるはずの書類が足りなくて、でもどうしても当日中にもろもろ完了させなくてはいけなくて、しかたなく僕が仕事を休んで別の役所へ書類を取りに行くという、どこかこの6年を象徴するような状況で、ぐったりしていましたよ。

昼は休んだとはいえ夜は仕事で、いくらか感傷的になったのは当日の朝くらい、あとはポジにもネガにも振れず、安定して疲れています。
そうそう、このごろ疲れてますね。

すでに別居していたのだし、払うものは払っていたのだし、実態として何が変わるわけでもないので、掴みかねているというところでしょうか。

変わるわけでもないといえば、苗字をそのままにしたことについては、実家の両親のやんわりとした反対を、やんわりとしたまんま時間切れで手続きしてしまったことについては少しだけ気になっていて。

結論は譲らないまでもせめて好意的に納得してもらえるふうに運びたかったところが、時間も足りず中途半端になってしまって、「親なんて嘘でも喜ばしといたほうがいい」と何カ月か前に思ったことが実践できない、あいかわらずのひねくれ息子で。
そちらは少しは成長しましたか。

払うものについても変わりなく、相場と比較すると大きめの額なのでこれに関しては仲間たちが心配してくれていて、仲間とよんで差し支えないと思えるそんな存在があることがとても幸運でありがたいので、なんとかやっていけると今は思っています。
くれぐれも仲間に不義理など働かぬよう、そちらでも気をつけてください。

「求められる場所で誠実に働き、足るを知りて貪らず、滅びるときには潔く滅びるべし」

というのがこのごろの正直な心境です。
いささか破滅趣味が臭いますが、残念ながらそういう人だ、あなたは。

願わくは1年後あたりのあなたが、冷静にこれを読んでこのエモさに青ざめるくらい健康で穏やかに生きていてくれたら、これを書いた甲斐もあったものだと思うことにします。

もし万が一、これを笑えるような状況でなかったら、お返事でもください。
からくりテレビのあのお年寄りのビデオレターみたいに、誰かが笑ってくれるかもしれません。

では、今夜は台風接近中ですが予定もあるので、ここまでにします。

もうこんなもの書くことがないようそちらからも祈ってください。

こちらからも、どうか穏やかに過ごしていることを、祈ります。

さかな

#日日のこと #雑感 #未来の自分

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?