魚田まさや

劇作家。戯曲を書き、妙な短い話も書きます。 スキやフォロー、感想をいただけるととても励…

魚田まさや

劇作家。戯曲を書き、妙な短い話も書きます。 スキやフォロー、感想をいただけるととても励みになります!

マガジン

  • 演劇・活動情報

    公開情報や発表した作品、演劇についての投稿はこちらです。

  • 空をとぶ硬骨魚

    あちこちに行った旅行記をまとめています。【連載中】インド旅行記

  • 日記

    日々の中で考えたことを記録していきます。

  • 硬骨魚類のための寓話

    教訓があるようでない短編を連載しています。フォローいただけると励みになります!

  • 「すみだ川ラジオ倶楽部」副読本

    • 7本

    2022年の「隅田川 森羅万象 墨に夢」参加企画として公開した新作ラジオ演劇「すみだ川ラジオ倶楽部 川を流れる七不思議編」。 その作品背景やプロセスを公開する、作品の副読本かつ活動記録のマガジンです。

最近の記事

イエデイヌ企画座談会記事/人形劇祭に参加して

批評家の山崎健太さんとの対談記事に引き続き、イエデイヌ企画「エリカによろしく」座談会記事が公開されました。 私、演出の福井歩さんに加え、イエデイヌ企画に繋がりのあるメンバーによるトークの模様です。本作について、前回の対談とはまた異なる視点から掘り下げられています。 以下のリンクから読むことができます。是非ご覧ください。 第一回下北沢国際人形劇祭に参加しました。 一観客として存分に楽しみましたが、メインプログラム7演目のうち3演目についてはデイリージャーナル編集部員として観劇

    • インド旅行記「4:井戸の底には時間が沈んでる」

      ↓前回までの記事はこちら↓ 時間になっても車が迎えに来ない。 まあそのうち来るだろうと思ってでかいトカゲを眺めるなどしていると、道が塞がっててそっちに行けないぞという旨連絡がある。 宿を出て小道を進むと、昨日までどこにもなかった大量のレンガが山積みになって道を塞いでおり、あまりの訳のわからなさに笑った。ドライバーは車から出て木陰で涼しくしていた。 「象が出てくるよ」と言う。 すぐに、脇道から巨象がぬっと現れる。褪せた極彩色のペイントを施され、上に人を乗せた疲れた象である。

      • 活動情報「下北沢国際人形劇祭デイリージャーナル」

        きたる2/21(水)-27(火)の期間、下北沢ザ・スズナリを中心に開催される「下北沢国際人形劇祭 SIPF」。 世界中から集まった最先端の人形劇ばかりが上演される楽しい演劇祭です。 その祭の模様を日々記す発行物・デイリージャーナルに、劇評を掲載いたします。(全日程のうち3日間) 人形劇というと、Eテレこども番組的なテクスチャーを想像しますが、おそらくそれとは全く異なる作品群が世界中からやってくることでしょう。 以前掲載されたイエデイヌのインタビューでも話題として一瞬触れて

        • インド旅行記「3:図形問題を解き続けた子供の見る夢」

          ↑前回までの記事はこちら。↑ まだ体に東京の時間が残っていて、夜明け前に起きた。 歯を磨く。 水道水はほんのり金属臭く、日本から持ってきた歯磨き粉の慣れ親しんだ甘味と混ざって、友達と知らない人と一緒にご飯食べている時に似た緊張感があった。 金属の螺旋階段を登って宿の屋上にのぼる。 太陽はまだまだ山々の下だが世はすでにうっすらと明るい。全体が紫がかっている。 ところどころ岩肌の露出した山々の稜線は荒々しい。妙に遠近感の掴めない感じも含めてPCのデフォルト背景みたいだと思った

        イエデイヌ企画座談会記事/人形劇祭に参加して

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        記事

          日記「初夢」

          昨年は作品を発表することもでき、大変ありがたく充実した一年でした。 本年も何卒よろしくお願いいたします。 以下初夢の記録 何年も会ってないし会っていた時も別に親しくはなかった知り合いと二人で、小さなちゃぶ台を囲んで藍色のプラスチックカードに向かって、作業をしている。 黙って作業をしているが、視界の右側にスレッドが立っている。youtuberのライブ配信でコメントが流れるやつのレイアウトで、もっとまばらで事務的なものだ。 スレッドに意識を集中すると現実世界のほうがくすみ、

          日記「初夢」

          インド旅行記「2:ルピーでつながる層世界」

          ↑前回までの記事はこちら。↑ ムンバイからジャイプルへ向かうために友人宅で一眠りした後、チャットラパティー・シヴァージー空港に戻ってきた。 チャットラパティー・シヴァージーというのはマハーラシュトラ州の英雄の名前で、他にもチャットラパティ・シヴァージー・ターミナス駅や、チャットラパティ・シヴァージー・マハーラージ博物館など、でかくて立派なものには彼の名前がついている。 長い。 大仰な名前をつけるノリが愉快な一方で、チャットラパティー・シヴァージーは、イギリス統治前のイン

          インド旅行記「2:ルピーでつながる層世界」

          インド旅行記「1:ムンバイ」

          ↑記事一覧はこちら 飛行機はベトナムからムンバイを目指して飛んだ。 成田からハノイの便には様々な人が乗っていて雑然として賑やかだったが、私の周りはほとんどインド人のようだった。 インド人と言っても外見的特徴も文化も様々だ。言語に至っては公式に確認されているもので200種類以上あるという。 機内アナウンスはヒンドゥー語と英語、そしてムンバイが含まれるマハーラーシュトラ州で使われる言葉のマラーティー語と思われる3種のことばが流れていた。 昼下がりに出発だったが、方向的に地球

          インド旅行記「1:ムンバイ」

          インド旅行記「0:井戸を見に行く」

          ↑記事一覧はこちら↑ インドには900年かけて掘られた井戸があるらしい。 そのことを知ってインドに行った。 旅行は好きだけどこれまで海外旅行はしたことがなく、行きたいな行きたいなと思いつつ決心がつかないでいた。 それで実際、何度かの機会を逃し続けていたが、その度にパリの、イニシュマーン島の、プラハの、ジョグジャカルタの空想の領土だけが心の中に未消化で溜まっていくようだった。 今回は友人がインド・ムンバイに仕事で駐留していて、そこに泊まれるので行ってみないか、というお誘

          インド旅行記「0:井戸を見に行く」

          『エリカによろしく』レビュー/しらす

          アート系webマガジン「artscape」にて批評家の山﨑健太さんが、先月上演されましたイエデイヌ企画「エリカによろしく」のレビューを投稿してくださいました。 作品が人の手で上演されるだけでも大変ありがたい機会ですが、観てくださった方の目と手によってこうして形が残ることは本当に幸せです。 上演内容はもちろん、戯曲のストーリーラインにもとても丁寧に触れていただいています。 足を運んでいただいた方も、気になっていたという方も、ぜひ読んでみてください。 以下日記 食事中、パッ

          『エリカによろしく』レビュー/しらす

          日記「三井のすずちゃん」

          最近は主に三井のすずちゃんについて考えている。 最初は友達があんなに三井不動産の話ばっかしてたらやだなーと思っていた。 しかしそれが逆に、何であんなに三井不動産の話ばっかしてるのに友達がいるんだ…?という疑問に変わった。 その時からずっと三井のすずちゃんについて考えている。 街を歩いていても、カフェでお茶をしていても、三井不動産に関する何かが目に入ればすぐにそれと三井不動産との関係の話を始め、さらに話を広げて会社のビジョンについて解説を始める。 最新作ではついに、友人の結婚

          日記「三井のすずちゃん」

          日記「見晴台」

          小高く開けていて眺めのよい地は見晴台や展望台と名付けられることがある。施設とも地形とも言い難い不思議な場所だ。 「台」という言葉も奇妙で、人工的に台が作られている場合もあるけどベースは山や丘といった自然物で、境目が曖昧である。 人工の台が作られているのは大抵の場合展望台と名付けられた場所で、地面もコンクリート敷でペッパーくんを無骨にしたような望遠鏡まで据え付けてある。見晴台はより弱々しく、山道の途中のなんとなく開けた場所だったり、ベンチが置いてあるだけだったり、景色もなんと

          日記「見晴台」

          活動情報「エリカによろしく」

          きたる11月、学生時代の友人・福井歩さんの主催するイエデイヌ企画さんに新作戯曲を上演していただくことになりました。 旅行と古い家とを題材にした2人芝居です。 チケットの発売も始まっております。お誘い合わせの上、ぜひお越しください。 イエデイヌ企画2023年公演「エリカによろしく」 【公演詳細】 https://iedeinu-kikaku.mystrikingly.com/next 料金: 一般 3,000円 学生 2,500円 (当日料金は各+500円) 日時: 2

          活動情報「エリカによろしく」

          硬骨魚類のための寓話「ある種族について」

          その種族は小さなコロニーを作って住んでいる。場所はあなたの夢枕だ。 彼らの糧は漂着物だ。陽が昇ると彼らは海岸へ繰り出し、日本のkumadeに似た独特の器具で、器用にどんな物もからめとってみせる。 あなたはいつか訓練を重ねて慎重に、あるいは全くの偶然にそのコロニーに辿りつく。 その頃、あなたは熱意ある文化人類学者なので、この種族についても熱心に調査を始める。 あなたは古くからの友人のように歓迎され、蓄積された知恵や未来への展望は快く共有される。それらは全て驚くほど美しく洗練さ

          硬骨魚類のための寓話「ある種族について」

          日記「変わり目」

          「変わり目」が好きだ。 ガスで温められた水道水が体温を通り過ぎて温水になっていく瞬間や、車で旅行に行くときに、馴染みのある風景から馴染みのない風景に切り替わる瞬間。捌かれていく魚が生物の死体から食材に変わる瞬間。 変わり目は変わり目を見出す態度でいないと観察できないという点もいいし、逆に言えば気の持ちようで無限に楽しめるというところもお得でいい。 なので最近はそういう意気込みで散歩に出かける。季節の変わり目はいつも散歩が楽しい。 9月上旬がまあまあ忙しく今年はどうかと思って

          日記「変わり目」

          硬骨魚類のための寓話「門(終身刑)」

          イギリス人が支配したインドに国王を迎え入れる時、国王が降り立つ港に、最もイギリス的な門が建った。 国王はその門をくぐり、王の魂はインドに受精した。 その後、イギリス人はこの門をくぐって本来の領土へ帰っていった。 しかし国王の魂は撤退叶わず、チケット売り場で下手な琵琶でも弾いている。

          硬骨魚類のための寓話「門(終身刑)」

          硬骨魚類のための寓話「カフカ式バター製造機」

          儀式は厳粛に間違いなく行われていた。 しかし、長が槍で供物を貫く最も大切な場面に差し掛かった時。薮からヒョウが一頭現れ、供物を丸呑みし、しかもそれを喉に詰まらせてばったりと死んでしまった。 この奇怪な事件のために長は追放の身となり、住民たちは一年にもわたって怯えて過ごした。 そして翌年。 新たな長が槍を持って供物を貫こうとした時、再びヒョウが現れ、またしても供物を丸呑みにしてばったり死んだ。 その翌年も、また翌年も、長が槍を持って祭壇に現れると必ずヒョウが現れ、供物を丸呑み

          硬骨魚類のための寓話「カフカ式バター製造機」