楽しく豊かな人生を送るはずだった
私には小さいころから夢があった。たくさんお金を稼いで素敵な家を建て、両親を住まわせてあげたいという夢である。
部屋は一つ一つが広く、私の部屋にはびっしりと本棚があり、その一つ一つの棚に本が隙間なく詰められて、ところどころに小さな絵画やポスターが飾ってあって、家具もどれもが高級で美しく、重くて立派なもので、私は全てに美が行き届いた家に住むのである。
両親は田舎の人なので室内の美に大して関心はないが、そこは私が美しく整えてあげましょう。彼らは苦労して生きて来た人。是非とも助けて一緒に過ごしてあげたい。
そんな思いで夢見ていた。
夢は未だ叶っていない。家は祖父母の代からのものだし、私は薄給だ。自室の範囲で好きなように装飾しているが、満足の域にたどり着くにはまだまだだ。壁に飾った絵も、プリントや複製ばかり。本は部屋におさまりきれず、押し入れの底が抜けるのが恐ろしくて、時折まとめてブックオフオンラインに送るしかない。
上から目線で両親を住まわせたい、助けたいと言ったが、住まわせてもらっているのは私である。この間も部屋の電灯が壊れてしまったので、高齢の両親に手伝ってもらってシーリングライトを取りつけた。本当に情けない限りである。
私が何かすごいことができるかというとそうでもない。特殊なスキルは多少あるが、今どきそんなに珍しいものでもない。
文章が書ける。私は文章を多少ながら書ける。エッセイは苦手だが、小説は書ける。小説でならいくつかのコンテスト(公募)で選考に残ったことがある。残念ながら最後に選ばれることはなかったが。
Illustratorを使える。私はAdobeの画像作成ソフトのIllustratorが多少得意だ。ちょっとしたデザインみたいなのは簡単にできる。
InDesignが使える。InDesignとは、文章を本にするための組版ソフトである。これは毎回使おうとするたびにやり方を忘れているレベルだが、本を作るには充分な技術は身についてきた気がする。
簡単なイラストが描ける。私は人間や背景は描けないが、動物や植物は少し得意だ。
こんな風に、できることはいくつかある。でも今の時代そんな人は結構いて、私はこのスキルで同人誌を作るくらいがせいぜいである。小説同人誌がどのような感じかご存知だろうか。あくまで趣味であり、人によっては広報になるといった程度だろうか。私は赤字しか出しておらず、結構な額の趣味代を叩き出している。
お金を稼ぐというのは本当に大変である。スキルがあってもそれを活かせる土台がなければ何もお金にならない。一次産業の人には本当に頭が下がる。米や牛乳はどうあっても必要なもので、彼らは私よりも頼るものがずっと少ない状態でお金を生み出すことができるのだ。一次産業の人たちがいなければ、今の私のようにnoteでぐじぐじ言っていることなどできない。もちろん一次産業の人も、テクノロジーや他の産業に頼っていることもわかってはいるが。
私にできるのは本当に上記のものといくつかだけで、全てがプロの域に至っていないことを思えば本当に残念で虚しいことだ。
せめてこの中で文章だけでも上々の出来にしたい。私はエッセイを書くのがとても苦手で、何度チャレンジしても駄目だったが、頑張ってみたい。
そういう思いでnoteを始めてみたのである。今のところなかなか楽しい。
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