突然だが、私は元々甲状腺の持病がある。
薬を飲み、定期的に血液検査をし、甲状腺ホルモンが正常値かどうかを診てもらっている。
そんな私は今年の四月頃まで、目の痒みや喉の痛みに悩まされていた。

「これはついに花粉症デビューが来たか」
そう思っていた。
今年の花粉の飛散量は十年に一度レベルだと連日耳にしていたので、覚悟していた。
そんな時にタイミング良く、いつもの血液検査が重なった。
「ついでにアレルギーの検査もしておきましょうか」
主治医の提案に、もちろん私は是を即答した。
どうせ甲状腺ホルモンの検査の為に血液を採取されるのだ、少しばかり取る量が増えたところで問題はない。

検査結果が出るまで時間がかかる。
私は花粉症の症状が酷い訳ではないので、次回の診察で結果を聞く事にした。
のんびりと過ごしている内に花粉の飛散もピークを越え、私の症状も落ち着きを見せていた。
「これはやっぱ花粉症だったな」
そう思いながら診察日を迎えた朝の事だった。

「は？喉死んでるんやが？」
喉が痛く、咳で目が覚めた。
まだ花粉が飛んでいるのかと思いながらもとりあえず病院へ。
しかし検査結果は、スギ・ヒノキ・稲・ハウスダスト・その他、全て問題なしだった。
ここで私は思い至る。
「今日、黄砂飛んでね？」

黄砂によるアレルギー反応で、喉が炎症を起こしていた。
アレルギー反応を抑える薬を処方してもらい事なきを得たが、今後どう黄砂に付き合っていくべきか悩ましい。
花粉症でない事は喜ばしいし、原因が黄砂である事がはっきりした事も有難い。
だが、黄砂となると出来る事は対処療法しかない。
少しずつ花粉を体内に取り入れる減感作療法をするつもりでいた分、出鼻を挫かれた気分だ。

ようやく脱マスクになったと思ったが、まだまだマスクとの付き合いも続きそうだ。