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彼女のこと。

最近、温かくなりましたね。

冬はいつ終わったんだ、と思ってしまいます。
急に気温が上がって、気持ちも浮かれて、
先日、人生初ブリーチをしてきました。

全部する勇気がなかったので、
メッシュで入れてもらったんですが、
初めて見る自分の頭に、今は違和感がいっぱいです。

もともと「死ぬまでに一度はやってみたいこと」の中に、金髪にする、
というのがあったんで、これを皮切りに、目標達成してみるか……なんて思ってます。

以前何かの本を読んだとき、
『人は生まれたときからみんな死のキャリアだ』という言葉があって、
確かにそうだな、と思ったことがあります。

自分の余命がわからなくても、いずれはみんな死を迎える、それは避けられないことで、
みんな自分の中に死を抱えて生きているわけです。

なんだか急に重たい話になってきましたが……
でも、「死」を考えることは「生きる」と向き合うことなんじゃないかと思うんです。

子どもの頃はいつか自分が死ぬなんて、まるで実感が湧きませんでした。

わたしが人生で最初に死をとてもリアルに感じたのは、
中学一年生で、幼馴染でもあった友人を亡くした時です。

しょっちゅう一緒に遊んでいたのに、
小学5年生の時、急に入院することになって、数か月会えなくなりました、

退院したときは嬉しくて「一緒に遊ぼう」って、直ぐに電話したんです。
でも彼女の返事は、期待していたのとは全く違っていました、
「遊べない……」と、ちょっと戸惑ったような声で一言だけ。

それからは入退院を繰り返し、
6年生になってからもずっと学校へは出てこれなくて、

でも3学期のある日、突然先生が、
「明日から○○さんが登校してきます」
って言ったんです。
これからは毎日学校にくるって、

わたしは、やっとまた一緒に遊べる!と思ったんですよ。
退院して学校に通う、イコール病気が治ったんだ、そう思いました。

でも違ったんです。
治ったから退院したんじゃなくて、
もう治らないから退院した。
……ということをしばらくたって理解しました。

久しぶりに学校にきた彼女は、以前の彼女とは全く違ったように見えました。

頭を手術して、薬の影響もあってか髪がなく、タオルのような帽子をすっぽりかぶっていて、
ほとんど目が見えず、目の前に行って話しかけてもわたしの顔がしばらくわからないようでした。

昔のように外で遊ぶことも、
わいわいと話すこともできず、
目のこともあり、おそらく、授業も分からなかったかもしれません。
でも彼女は学校に通い続けました。

後で聞いたのですが、末期の小児がんだったそうです。
体も辛かったんじゃないかと思います。

そんな状態で学校に通い続けた彼女は本当に凄い。
そして、同じように凄い、と感じたのは、
クラスの同級生たちです。

誰かに頼まれたわけでもないのに、
必ず誰かが彼女の傍にいました。

休み時間とか、移動の時間はもちろん、
階段を上り下りするときには、手を取る人、背中を支える人、肩を持つ人……
何人かが取り囲んで、彼女がつまずかないように、足を滑らせないように、細心の注意を払っているようでした。

子どもって凄いな、と思います。
誰に何を言われなくても、自らの意志で、本能的にそういう行動をとることができる、
子どもだからものがわからない、とか大人よりも未熟、というのは、こと「心」に関しては違うのだと感じます。

結局6年生の最後の方にはまた入院することになり、学校へも来れなくなって。

中学に入ってしばらくしてから、彼女が亡くなったことを担任の先生から知らされました。
クラス全員でお通夜に行き、
1人ずつお焼香をしてご両親に頭を下げていくときに、
彼女のお父さんが、私たち一人一人の手を握って、泣きながら「ありがとう」といってくれたんです。
その姿が、今でも忘れられません。

きっと私たちを見るだけでも辛かっただろうに……

彼女のことはずーっと心の奥にありました。

意識してではありませんが、その時感じたことや自分の思いを、誰にも話さないまま過ごしてきました。
もう何十年もたっているのに、まるで昨日のことのようで、
未だに、どこか気持ちの整理がついていない自分がいます。

子どもの頃は自分も含め、友達や親しい人は永遠に死なないんじゃないか、とどこかで思っていたし、
「死」というものを薄ら寒い、恐ろしいものだと感じていました。

今でも、その感覚がまったくないわけではないけれど、
『人は生まれたときから死のキャリア』なら、それを胸に落とし込んで生きていくのもいいんじゃないか、と感じています。

死んだらすべてが終わるわけじゃない。
昔、何かの番組で
「物理には質量保存の法則があるので、死んだら消えてなくなるというのは違う」
と言っている人がいて、すごく納得してしまったんですが、

物理にはもう一つ「エネルギー保存の法則」というのもあります。
無重力の中で振り子が永遠に動きを止めないように、
宇宙に生まれたエネルギーは永遠に失われない、

質量、つまり物質もエネルギーです、
そして肉体を持つ生命だって。

二つの物理法則を踏まえるなら、
今私たちが考える「死」を超えたところに、何か別の次元を垣間見ることができるんじゃないか。
そんなふうにも感じます。

人生初ブリーチの話から、
自分でも予想外の展開になってしまいましたが、

今回も最後までお付き合いくださり、どうもありがとうございました。

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