見出し画像

人生を変えた一冊ってありますか?

人生を変えた一冊

改めて思うと、今まで読んできた本全部が、わたしの人生をその都度少しずつ変えていったように思います。

頭の中で、これまで読んだ本の一部一部がネットワークを組んで今のわたしが出来上がっているみたいな

だから一冊を選ぶって
そもそも無理があるかなとは思うんですが

でも、わたしの中で
ページを開くたびに
そのネットワークがぐるぐると回りだし
「わたし」が活性化し始める。
そんな特別な本があるんです。

『救世主入門』湯浅則夫著
今回はこの本についてお話したいと思います。

ずーっと昔
学生時代にキャンパスの中にある本屋さんで何気なく手に取った本がありました。
茶色い無地の表装に『救世主入門』と題名だけがあって

最初は危ない本なのかな……
と思ったんですが

開いてみると
オーストラリアの自然の風景が映った白黒の写真と
詩のようなエッセイのような文章がある
ちょっと不思議な感じの本でした。

レジのおばちゃんに本を手渡すと、
「あ~これ、写真学科の湯浅君が自費出版した本よ」
となんだか嬉しそうに教えてくれたのを今でも覚えてます。


実はこの本、もう売っていません。
何十年も前に自費出版されたものなので
恐らく古本屋さんにもないかも……
でも、だからこそ知ってもらいたくて
みなさんとシェアしたくて
今回は、本の中の文章を何編か引用させて頂きました。

意識とはウニのようなものである
あなたはそのとげの一本である
全ての人はその中心でつながっている
しかしあなたの感覚器はトゲの先にあり
隣のトゲとは中心でつながっているなど
思いもしない
そこで中心の存在を知ることができればあなたは裏側のトゲのことを知ることもできるし今以上の力を持つことも
できるようになる
進化とはそのようなものである

大きな木を見たときふと思うことがあるんです。
南側の良く日に当たる枝の先にある葉っぱと
北側の日の当たらない下の方にある枝の葉っぱと
もしも葉っぱに意識があるとしたら
環境や状況がまったく違うそれぞれの境遇をどう思うだろう。
自分たちが一本の木の一部で、本当は同じ存在だと気づいているだろうか。

気づいたから状況が変わる、わけでもないんですが、
でもそこに気づくには視点を変えなければいけません。

今まで自分の周囲だけを見て、自分と人との違いを見出していたのが、
すーっと視界を浮上させて、
上空から、一本の木として生きている自分を見つける。
それが意識の進化、ということなんだろうと思います。
意識の進化とは、きっと日々のなにげない一瞬の気づきから起きたりするのかもしれません。

自分にとって
純粋なものとは何かを考えなさい
鳥が飛ぶような
魚が泳ぐような
そんなものを探しなさい
そして追求しなさい
そうすることであなたは目の前の大きな流れに気づき
本当の自分が何であるかを
思い出すだろう

自分が本当に望んでいるものは何なのか
これを見つけるのが、実はとても難しかったりします。
人生にはいろんな付加価値があって、
本当は何が一番大事なのか
わからなくなってしまうことがあります。

年を重ねれば重ねるほど大事なものも増えていくし、
自分の限界も見えてくる
でもだからこそわかることもある

自分が望んでいるものと
自分がこの世界でできること
そのすり合わせができてゆくんじゃないでしょうか。

若いうちにそれができる人はとても幸せかもしれません。
でも、人生を歩んできたからこそ気づけることはとても多い
『自分にとって純粋なもの』
それもきっとその中の一つのような気がします。

この本を手にしてから結構な年月が流れましたが
今でも何かあるたびに開いてしまいます。
ずっと身近にいる友人のような
迷ったときに導いてくれる師匠のような
そんな大切な存在です。

最後にこの本の中で、わたしが一番好きな文章を紹介します。
何かを感じていただけたら嬉しいのですが。
よろしかったら感想をお聞かせください。


『深い海の底で一塊の泡ができた
ずっと昔
まだ海も浅かった頃に
とじこめられた空気の層
そこから
ひとかたまりの泡ができた
泡はどんどん上がっていった
形を変え
水圧の変化で大きさも変えながら
どんどん上がっていった
水の色や
泳いでいる魚の形も変わっていく
泡は自分が泡というもので
他の何でもないと信じていた
そしてついに泡は水面に達した
泡は恐れた
今まで見たことのない世界に
一瞬の間
泡は泡として次の世界を見た
泡は消えた
消えて大気と混ざった
世界は何も変わらなかった
静かに波がゆれていた』

この記事が参加している募集

人生を変えた一冊

わたしの本棚

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?