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選手のお父さんに泣かされた話 〜ある大学生バレーボーラーの海外挑戦記inヨーロッパ〜

2022年7月、クロアチアでバレーボールの大会が開かれました。
これは私のアメリカ人の友人が毎年開催している大会で、世界中からU23、U18の選手が集まります。
大会についてはこちら
https://note.com/sakimari8/n/n924a6874ceab

私がこの大会から依頼されている任務は、日本人の参加者を集めて現地に連れて行き、言葉の部分のコミュニケーションを助けてあげることです。

7月は大学生はテストの期間であったりして毎年日本からの参加者を集めるのに苦労するんです。。。。
今年、参加を決意してくれた日本人選手は1名だけでした。
現在大学4年生の山形の女の子、通称オダスです。

しかも、今年は私はバスケットボールの仕事と時期が被ってしまい、どうしても私が現地に行くことができませんでした。

私が行けないとなると、さすがに本人も参加を取りやめるかな‥と思いながら本人にそのことを告げたら、まさかの返答でした。

「不安ですが、まりえさんが来れなくても一人で行きます!!!」

ええっ!!!!!!やめとけよ!!!! って心の中で思いました 笑

だって、何かあった時にどうするの?コロナにかかるかもしれない、怪我をしたらどうすんの?そもそも英語力は大丈夫か!?!?なんてぐるぐる考えてしまいました。

しかし、「一人でも行くと言い切ったオダスの思いをサポートして、形にするのが私の仕事だろ!」と自分で自分に腹をくくらせ、ドッキドキのオダスの10日間の海外挑戦プロジェクトが始まりました。

オダスは海外の空港での乗り換えも初めて。英語も決して流暢というわけではありません。

現地で迎えに来るスタッフにオダスの到着便の情報も伝えて、こちらから事前に準備できることは色々としておきました。

オダスは山形から福島経由で成田へ行き、イスタンブール(トルコ)で乗り換えてスロベニアへ行きます。
スロベニアの空港には大会スタッフが迎えに来てくれるのでちゃんと出会うことさえ出来れば合宿所まで連れていってくれます。

出発前にオダスがとにかく不安がっていたのがイスタンブールでの乗り換えでした。
そりゃそうですよね。初めて一人で海外行くのに、乗り換えがあるのは不安要素ですよね。私にもそんなフレッシュな頃があったような無かったような気がする。

「今頃イスタンブールで乗り換えてるかな?‥」とソワソワして連絡を待っていたらこんなラインがオダスから届きました。

「イスタンブール到着して、次の飛行機の搭乗口に着きました!実際やってみたら案外簡単でした!」

イスタンブール空港 提供byオダス

あーーー、良かった。良かったなという安心と共に、気付かされました。
初めてのことに挑戦する時って不安ですよね。
でも、実際にやってみたら簡単にできちゃったりすることもある。
あれ、意外と簡単にできちゃった♪って思うことで、また次のステップに進めたりして、、、。挑戦してみるって大事。

さて、乗り換えもクリアし、スロベニアに到着したオダスは無事に送迎スタッフにも会えたようで合宿所へ到着し、チームに合流!
アメリカ全土から集まった即席チームにオダスも参加。

オダスのチームメイト

ここからはオダスはコミュ力を思う存分発揮してくれたようで、毎日楽しそうな写真が届きました。

空き時間に観光に行ったり

観光の1コマ 提供 byオダス


練習でもなんとか英語で会話して、どんなトスが欲しいのかチームメイトに伝えたり

練習の1コマ 提供byオダス


オダスと私のやり取り

うんうん。英語分かると感動するよね!!!

最初の5日間はスロベニアで毎日練習&観光。
そしてクロアチアへ移動します。
クロアチアからが本番!トーナメントが始まるのです。

そしてクロアチアでの最初のハイライトが開会式!!!!!
クロアチアのプーラという港町が全面協力してくれて、観光地ど真ん中でド派手な開会式をします。

イタリアチーム
多国籍ミックスチーム
スウェーデンチーム
オダスとオダスのチームメイト

この開会式の魅力は、文章や写真じゃ伝わらないんです。
バレーボールが大好きな選手・スタッフが世界中から集まって、本当に一つになれる場所なんです。
私も2019年に参加しましたが、感動して心が震えました。あの時の高揚感は一生忘れない気がします。

そしていよいよ開幕。

オダスのチームとアメリカ東海岸チーム
U18試合の様子
U23試合の様子

大会の様子は長いので省略しますが、ヨーロッパ各地、アメリカ各地からチーム単位、選手個人単位で例年レベルの高い選手たちが集まります。
試合の様子は世界中に配信されています。

毎日のオダスからの報告ラインを楽しみにしていると、突然こんなメールが届きました。

“お世話になります。
オダの父です。
この度は 娘がお世話になりありがとうございます 楽しんでいるようで何よりです
今後の人生の糧にしてもらいたいと願うばかりです。
人生最大チャレンジ成果に期待しています。”


え、お父様からわざわざメール!
最初はびっくりしました。

たったあれだけの短いメールでした。
でも、なんだかこの短い文章から伝わってくるお父さんの愛情がとても暖かくて、私はこのメールを読んだ時、とても心が熱くなって号泣してしまいました。
赤の他人の私でも、オダスを送り出すのは不安で仕方無かったです。お父さんからすると、大事な娘を一人で行かせるのはもっともっと不安だったはず。

このメールを受け取って、改めて感じました。
私が今関わっているのは、ただのバレーボールの大会じゃないって。
バレーボールというのはあくまでもただの手段で、私が今関わっているのは誰かの人生の一部なんだなって思いました。
誰かの人生にこうして関われることがとても幸せに感じて、その日は泣きながら寝ました。


そして、なんとなんと!オダスのチームは試合を勝ち進み、強豪が集まる中で3位に!

右側がオダスのチーム

でもね、私が嬉しかったのは3位になったことじゃないんです。
もちろんオダスのチームが3位になったのは嬉しいですが、そんなことよりも、試合の後にオダスから届いたメッセージでした。

「まりえさんに言われたように、新しく知った英語メモしてました!やり始めたら楽しくて、みんなも色々教えてくれました!」

実際のオダスのノート


実際のオダスのノート

また泣いた 笑

やってみた方が良いよ!って提案したことを、こうやって素直に実践してくれる事が嬉しくて、そしてそれを楽しかったと言ってくれて。。。

最初はオダスを一人で送り出すのが不安で、日本からの参加を中止にしようか悩んだ今回の大会。
でも、本当に送り出して良かった。
むしろオダスの場合は一人で行ったおかげで、本人のコミュ力を思いっきり発揮したようなので良かったかもしれない。
もしも中止にしていたら、オダスの人生のとても大切な1ページを作ってあげられなかったかもしれない。
そう思うと、中止にしようとしていた過去の自分に説教したい気分です。


私は、バレーボールも英語も、あくまでも何かをするためのツールだと思います。
オダスの持っているパワーはすごいし、オダスと同じように世界中からこの大会に参加を決めて集まってくるみんなのパワーはすごいです。

本当にやってみたいことって、失敗するのが怖かったり、不安な気持ちが大きくなったり、色々あると思います。
でも、きっと人は本来それぞれちゃんと、自分の夢を叶える力をちゃんと持っているはずだと私は思っています。
だから、心の琴線に触れたものは思い切って挑戦してみた方が良い。

何かに一生懸命取り組む人はやっぱり素敵で、楽しそうで、真っ直ぐ頑張っているエネルギーが出ていて、一緒にいるだけで前向きな気分になれる。

オダスのチームメイトとコーチ

この仕事をしていたおかげで出会ったオダス。
自分が挑戦したいことから目を背けなかったオダス。
不安に負けなかったオダス。

そんな、オダスの人生がこれからどう展開していくのか、これからもずっとずっと見ていきたいし、オダスの将来が楽しみでしょうがない。(親でもないのに笑)

2023年7月、私も必ず参加します!
オダスのように、思い切って挑戦してくれる人、待ってます。

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