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生んでくれてありがとう

久しぶりに日本に留学中の友人の息子君とお昼を食べた。
同じく留学生の友人と、真冬の東北を回った話。
でも、メインはわんこそばwwwwww
普通のざるそばだと8枚分か9枚分食ったよ、と言う。
さすがに朝ご飯抜きでのぞみました、という元気な大学生。

ゲラゲラ笑いながらいろいろな話をしていたら、ふっと
この間あんまり暇だったから、友達誘って、
生まれた町にいってみたんだ
と言い出した。

そうなの?

うん。

どうだった?

何にもないところだった。
ほんとに、何にもない、田舎だった。
病院にも行ってきたよ。まだあった。
でも、入って何を聞くわけにもいかないからさ。
そのまま帰ってきた。

都会ならまだしも、
人目の厳しい地方の町で、
妊娠し、出産した高校生のことを考えた。
大変だっただろう。
どんな9ヶ月を彼女が過ごしたか。
息子君の言葉を聞きながら、
学校、親、先生、友人
いろいろな人の目の中で過ごした9ヶ月を
想像した。
それが、自分の子だったら、
あるいは自分の子の彼女だったら
と思うと、それがどんなに大変だったかは
想像に難くない。

でも、そのあなたのお陰で、今彼はこうして元気に暮らしている。

彼が日本で一人で迎える誕生日には、ママである私の友人が
ケーキを焼いたと言っていた。

え? アメリカから送ったの?

というと、

そうそう。送りやすいようにカップケーキにした。
バースデーカップケーキ。あとね、風船も送ったよ。
ハッピーバースデーの風船

息子君の反応を想像しながら、あれやこれや詰め込んでいる
いたずら好きの彼女の姿を
思い浮かべて、思わずこっちが笑ってしまった。

届いたって?

うん。連絡きた。
自分の誕生パーティーなんかやんないよ!
なんだよ、こんなもん送ってきて!
っていってた
とママは大笑い。
想定内だよね、その反応。
てか、それ言わせるために風船送ったでしょ、
とこちらもゲラゲラ。

でもね、結局、みんなに今日誕生日で・・・っていって
ケーキ渡したみたいなのよ
そしたら、みんなが各国語でハッピーバースデー歌ってくれたよって
写真が送られてきたの♥️

いい経験してるね、東京で
ほんと、ありがたい

一体……彼がどれほどの幸せと笑顔を友人夫婦に運んできたか。
のぞんだ選択だったかどうかすら私には知る余地もないけれど
でも、友人と息子君の漫才みたいなやりとりを聞いていると
心から思う。
本当に大変な状況を乗り越えて
生んでくれてありがとう。
本当に、彼を生んでくれてありがとう。
どこに伝えることもできないから、ここで、お礼を言います。
どうもありがとう。





得意技は家事の手抜きと手抜きのためのへりくつ。重曹や酢を使った掃除やエコな生活術のブログやコラムを書いたり、翻訳をしたりの日々です。近刊は長年愛用している椿油の本「椿油のすごい力」(PHP)、「家事のしすぎが日本を滅ぼす」(光文社新書)