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【新米パパママにおすすめ】公認心理師が教える /幼児健診の歩き方/1歳半健診編 #4「言葉」

「幼児健診の歩き方」へようこそ!
ナビゲーターののびしろ丸です。
1歳半健診編の4回目、いよいよ後編です。
今回のテーマは、「言葉」です。

はじめに


言葉についての相談は、1歳半健診でも多くみられ、親御さんの関心が高い領域です。

ママ、パパ、じーじ、ねんね、
アンパン(マン)、ワンワン、バイバイ、
あっち、きた、ニャーニャー、カンカン、
はい、どうぞ、しまじろう、くさい、
おちゃ、もうちょっと、おいしい、
パン、ブーブー、チュンチュン、ちゃぷちゃぷ、バ(ナナ)…。

…まだまだありますが、
これらはすべて、今月(令和4年12月現在)の1歳半健診に来たお子さんの問診票の質問項目、

Q.最近はどんなことばを言いますか。

の回答からランダムに抜き出したものです。

子どもが初めて歩いた日のことを覚えていらっしゃる親御さんは多いと思います。
それに比べて、言葉については、いつから話した、とはっきり言える方は意外に多くはないものです。

その理由として、子どもが初めて言葉らしきものを喋ったものの、それを言葉とみなしていいかわからない、ということがあるのではないでしょうか。
親御さんから、そのようなご質問をお受けすることは少なくありません。

実は、前述の子どもの言葉の中には、「言葉」としてカウントされないものが混じっています。

それは、一体何でしょうか?

次の章で詳しく話をしていきたいと思います。

今回は、
発達相談のなかで多く受ける言葉の質問TOP3

①まだ話さない。何歳までに言葉が出てくればいいの?
②言葉が少ない。どのくらい単語を話せば、年齢相応なの?。
③発音が不明瞭。トレーニングするならいつ?


上記3項目についても答えします。

言葉の前兆


個人差はありますが、指差しに前後して、「マンマ」や「パパパー」や「ンマンマ」といった「喃語(なんご)」が現れます。
喃語は、発語の前にみられる、音遊びの未完成な言葉の状態です。

喃語の段階では、子どもの中でまだ言葉と物・人・場面との関連づけはあいまいです。
ご飯を指して「マンマ」と言ったかと思うと、ママに「マンマ」と呼びかけたりするのはこのためです。

言葉の形もまだはっきりとはしていないため、同じご飯を指していても,「マンマ」と言ったり、「マンマンマー」と言ったりします。

言葉としての体裁はまだ整っていないものの、1歳半健診においては、喃語の出現は、おおむね、言葉が遠からず出てくると予想される前兆、という見方がされます。

1歳児の「言葉」とは


そもそも、1歳半健診で問われる「言葉」とは何でしょうか?
ことばが、「言葉」とみなされるための要件は、次の2つです。

1つは、「有意味語」であること。
無意味な音の連なりではなく、特定の人やモノやモノゴトを表す、意味を持つ言葉であることです。

次に2つ目です。
その前にまず、前回の記事の「指差し」を振り返ってみたいと思います。

(↓まだの方はこちらをどうぞ)

https://note.com/saku884/n/n11b739787b4e

このなかで、指差しがコミュニケーションツールであることをお話ししました。

コミュニケーションツールとして指差しを使う行為は、何かを伝える(要求する、応答するなど)人への働きかけです。
つまり、そこには必ず人が介在します。
言葉についても同じように考えます。
1歳半健診において、「言葉」とは、人に向かって何かを伝えるコミュニケーションとして機能しているもの、なのです。

ことばが「言葉」になるために


今月の1歳半健診に来た子どもたちの言葉をもう一度みてみましょう。
そこあることばが、「言葉」とみなされるかどうかは、どのような使い方をしているかによります。

「ママ」を例にとって考えていきましょう。
「ママ」という言葉が、子どもが母親を示して使っていれば、「ママ」という有意味語を獲得していることがわかります。
誰でも「ママ」、またほかのモノについても「ママ」と言うようであれば、まだ獲得の途中です。

もう一つ、大事なポイントがあります。
それは、呼びかけとして使っているかということです。

「ママ」とは言うものの、母親のいない場面で、あるいは母親に視線を向けずに発しているとしたら、それは音の連なりであって、コミュニケーションとは言えません。

また、絵カードなどを使って、大人がお母さん的な絵柄を指して「これ誰?」と尋ねた場合、子どもが「ママ」と応答し、絵柄とマッチしていたとします。
ところが、日常のなかで、母親に手助けを求めるような場面であっても、呼びかけとして発することがないのであれば、コミュニケーションとしてまだ使えていないということになります。

「ママ」としか聞こえてこないような声を発していても、その時の状況や使い方次第では1歳児としての「言葉」を獲得しているとはみなされない場合があるのです。

1歳児で獲得してほしい言葉


先ほど、呼びかけとして使っていることが大事、という話をしました。
1歳児のうちに出てきてほしい言葉とは、ずばり「人への呼びかけ」です。

ママ、パパ、じいじといった特定の人を示す言葉を日常的に呼びかけとして使っていること。
それは、身近で信頼できる大人を頼る、甘えるといった適切なコミュニケーションの表出や、愛着の形成
を推し測る目安の一つになります。

「はい」「どうぞ」「バイバイ」も同様に、状況にマッチしていて、人とのやりとりのなかでみられる、人とつながる言葉であれば、コミュケーションとして使えているとみなすことができます。

「カンカン」「ちゃぷちゃぷ」といった擬音は、明確には有意味語とは言えないかもしれません。
しかし、人とつながる言葉という観点で見ると、
たとえば、カンカンという音のする「踏切」を示して、視線を伴って身近な大人に伝えようと発したものであれば、コミュニケーションとして使っていると言えるでしょう。

質問①の回答


何歳までにという決まりはありません
言葉の獲得は、個人差が大きく、1歳半の時点で、まだ発語がないお子さんもいれば、2語文、3語文を使って話すお子さんもいます。
早い、遅いはあまり問題にはなりません。
発語がまだでも、3つの指差しが出揃っていれば、言葉の土台はできているので、いずれ出てくると思われます。

質問②の回答


言葉の数よりも内容(使い方)が大事です。
言える言葉が1~3語程度であっても、「人への呼びかけ」(ママ、パパ、きょうだいの名前)が出ていて、コミュニケーションとして使えていれば、それほど心配しなくてもよいでしょう。
1歳半健診の目安は、単語、有意味語の表出です。
着目すべきは、「人への呼びかけ」「人とつながる言葉」です。

質問③の回答


発音についても、個人差があります。
言語音声を作り出すはたらき(構音活動)は、1歳半の時点ではまだ発達途上です。
4歳後半にはおおむね、完成すると言われています。
言葉のトレーニングは、程度やお子さんの状態にもよりますが、必要と思われる場合は、年少児期以降にご案内をしています。



以上、幼児健診御歩き方 1歳半健診編#4「言葉」についてお送りしました。
今シリーズでは、幼児健診サイドからみた、発達の見方のコツをお伝えしています。
今後ですが、子どもの持っている力を引き出す関わり方について、別シリーズで展開していきたいと考えています。
発達がまるごとわかる内容を心がけてお届けしていきます。

ここまでお読みいただいてありがとうございます。

参考になったと思われた方、スキ、フォローをぜひお願いします☺️


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