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第2章 「勝ちに行く」ための勉強プラン


2-1 勉強プランは方針がキモ

2-1-1 赤本の最新版を買う

勉強プランも、試験当日からの逆算の発想で。

まず、いわゆる赤本で全体を把握です(日本語教育能力検定試験 完全攻略ガイド ヒューマンアカデミー著 翔泳社発行)。
これは最新版の入手をおすすめします(中古でもOK)。日本語の構造や文法等が大きく変わることはありませんが、『検定試験の問題に登場する制度やデータ』には変化があるからです。

私が赤本を手にしたのは3月の下旬です。本を開いて「ひえ〜!」でした。同時に、手を広げすぎずに、必要なことを焦点化して勉強する重要性に気づいた瞬間でもありました。

2-1-2 ゴールデンウィークまでは赤本のみ

そんな私には赤本に圧倒されずに、全体を冷静に捉えることが必要でした

次の3種で捉えました。
①机に向かって勉強すること
②机に向かわなくてもできること
③全体的な知識がわかってからのほうが勉強が進みそうなこと

それらを組み合わせ、勉強時間内に気分転換要素を入れながら、検定用の勉強を快適に進めるようにつとめました

①机に向かって勉強すること

大半がこれですが、特に、耳慣れない専門用語がたくさん出てくる分野や、図を書いて頭を整理しながら覚えるほうが良い事柄については、机に向かってノートを広げ、実際に書き、手を動かしながら勉強しました。文字を書くだけではなく、図、絵、色分け、表など、あらゆる工夫を行いました。音読もしました。

たとえば「統語構造」。構造なので、図に書いて構造化しながらのほうが頭に入れやすかったです。メタファー、メトミニー、シネクドキのあの辺りなど、どれがどれだか…となりやすいことも、図で違いを理解したり、色分けや記号化の区別の工夫をしたりしました。

② 机に向かわなくてもできること

外国人労働者に関する各種制度のことや、外国ルーツの子どもに関する事柄などは、机での勉強のほかに、隙間時間も使ってネット上の記事や報道などからも最新の知見や情報をインプットしました。

傾聴スキルや心理関連の基礎知識でも、隙間時間も活用しました。机に向かう能動的な勉強に疲れたら、大学等が行う公開講座や動画などで受動的でもOKな勉強に切り替えました各種教授法関連の内容や、多文化共生の社会作りなど、良質な内容を無料で学ぶことができました。

また、使用する参考書や書籍によっては、音声コンテンツの付録があります。指定URLからスマホに音声データをダウンロードできます。用語とその説明文を朗読してくれるものもありました。自分でそうした音源を作って聴くのもいいと思います。ウォーキング時や家事タイムにそうしたものを聞きました。

ボランティアへの参加も良かったです(後述し

③ 全体的な知識がわかってからのほうが勉強が進みそうなこと

これはズバリ文法と聴解です。
赤本は動詞の活用から始まっているのですが、ここを見て「これをまず覚えなくては!」と考えてしまうと、他の勉強が進みません。聴解も同様です。
難解そうなことや時間がかかりそうなことに最初からあまりにも時間を割いてしまうと、全体に負の影響が生じてしまいます

勉強の開始は早いうちからがいいと考えましたが、そこの理解に一生懸命になりすぎるあまりに他が遅れてしまうのは避けたい、と思いました。

そのために、「文法や聴解は、今はピンとこなくても仕方がない。日本語教育に関して知らないことだらけなのだから。コツコツ行こう」と、わからないという感情を当たり前のものとして受け止めます
不要な挫折感や困難感を抱かずに勉強を進めることを大事にしました。

2-2   勉強プランの立てかた

これについてはさまざまな良いやり方があると思います。
方法は多様なのでしょうが、共通して使えるのは、第1章で早起きの習慣化につなげたあの思考です。
やるべき事柄と時間、そのふたつを明確にし、計画を立てました

私は知識ゼロだったので、そういった人の一例としてご覧になってください。

まずは赤本だけを読了し、赤本内の練習問題に取り組むことから始めました。日本語教育(言語指導)に関する知識も経験もゼロなので、過去問に最初からトライする意味がなかったためです。土台の知識や経験をお持ちのかたは、まず過去問に挑戦して今の実力を知ることから始めるのも良いだろうと思います。

赤本は7部構成で、記述式と聴解を除くと5部です。その5部をゴールデンウイーク期間いっぱいまでに終えるよう計画しました

具体的には、
月曜にその週の計画作り。
火〜木曜に内容学習。
金曜日は練習問題。
土曜日は練習問題の復習。
土曜日の午後、または日曜日に 練習問題2度目、としました。

さらに、やるべき事柄と時間、そのふたつを明確にして勉強します。

① ページや学習項目を1日分ずつ、具体的に割り振ります。
②それをカレンダーや学習計画ノートに書き込みします
学習したら線を引くなどしてつぶし、やったぞ!の達成感を得ます

月曜日に①と②を行います。
月曜の作業がうまくいくと、火〜木の勉強も順調に進みました。

計画は、立てたらそれを目に見える形にすることが重要だと思います。見える形にすると見るだけであれを消化したいという欲求が生まれ、その欲求で頑張ることができれば「つぶす」ことができるからです。(1項目を1枚の付箋に書き、消化できた付箋は剥がして捨てる方法もスッキリします!)

書く際には、内容を具体化します。「P.211の1〜P.230の上部のポイントまで」というように。見るだけで1秒も考えることなく勉強をスタートできるように。
開始時に迷ったり考えする要素を無くし、作業として開始できる状態にしておくと波に乗ることができます。

なお、人によると思うのですが、私は計画は手書きでした。スマホやパソコンでのカレンダー等は使いませんでした
理由は、スマホやパソコンは立ち上げるだけで通知や他の何かが目に入ってすぐに気が逸れてしまうからです。

勉強の計画や準備でするべきことは「勉強を始めよう」と思ったら即開始できる状態作り。そう考えていました。

2-3 有益情報を得ながら学ぶ

2-3-1  地域でのボランティア


地域でのボランティア活動、おすすめです!
ボランティアは4月の新年度で新たなメンバー募集が始まることが多いので、4月は応募にぴったりな時期です。都道府県の国際交流担当部署に問い合わせると親切に教えてもらえるかと思います。

ボランティア活動では、日本語が全く話せない外国人からかなり流暢に日本語を話す人、国籍も色々で、多様な人と出会えます。検定の勉強では「初級学習者」「中級学習者」などの言葉が頻繁に登場するので、そういった問題で具体的な人物像を思い浮かべられると考えるのが楽になります。
地域の日本語教室の運営の実態を知ることもできます。外国人にちょっとした説明をしたくなったときに自分が何につまづくのかへの気づきも得られました。

さらに、ボランティアに参加すると地域の日本語教育推進のコアな専門家や検定の先輩と知り合い、つながることができます。地域での活動や仕事を共にできる人とも出会えるかもしれません。

2-3-2   図書館の蔵書で学ぶ

近場の図書館で日本語や多文化共生に関してどのような書籍があるのかを見ておくといいかもしれません。専門書は高額なものもありますから、購入リクエストもおすすめです。

また、国際交流系の団体などの蔵書を借りられることもあります。一般図書館に入りにくい本や、日本語教育関連の問題集や参考書があるかもしれません。

2-3-2   メールマガジンを取り寄せる


「日本語教育」「メルマガ」と2語で検索をかけると、主だったメルマガ発信者がわかります。メルマガには本当に助けていただきました。赤本内で紹介される主要機関やWEBサイトのいくつかにもメルマガがあります。

メルマガでは「出願書類の取り寄せが開始になりました」とか、「○○庁から××に関する調査報告が出ました」などがわかりました。公開講座情報などもメルマガでよく得ていました。所属のない立場には本当にありがたかったです。

SNSでも情報収集はできるのですが、勉強に集中したいときにはメルマガでの情報収集も良いかと思います。

2-4 記述式問題対策

2-4-1   記述式はとにかく書く


実際に書く。原稿用紙に書く。想像以上に重要でした。

人は誰もがそうだと思うのですが、頭でなんとなく「これはこうだな」と思っているときって、思うことが既にできているのだから書くこともなんとかなるだろうと鷹揚な心持ちになりがちです。

でもやっぱり、書く力は書くという行為なしでは得られません。繰り返しが必要なので短期間では限界があります。思うことを文字と文にして、さらにそれを論理的な構成で、定められた文字数で文章化するには、経験とスキルが必要です。

また、単純な理由として、手書きをしないと漢字が書けなくなります。必須なのに案外書けない漢字とかありませんか。「語彙」とか(笑)。
試験日に、漢字が思い出せないなどという小さなことに慌てたくはなかったので、私はとにかく手書きで勉強し、記述式でも早めからの対策を取りました。

2-4-2   3ステップで力をつける

記述式への取り組みをスタートしたのは、赤本を読了してからです。
次のステップを踏みました。

①まず自力で書いてみる
  →自分に何が必要かを知る
②どのように書くべきかの情報収集をする+模範的な回答文章を丸写しする
模範的回答の構造や表現を意識して書く練習をする
  →自力で書けるようになる

①を5月の連休明け〜7月で、週に2度のペースで行いました。
②を8月
③を8月下旬から。
9月の20日以降はほぼ毎日書きました。

特に模範回答文章の丸写しの効果は、行き詰まったときには絶大でした。
まず、原稿用紙にそのまま転記のように写して書きます。次に、書いたら一読します。最後に、ここでこの接続語でこのように展開させているのだななどを分析・理解しながら読み、自分の文章に生かすようにしました。

2-4-3 おすすめの問題集

私のお気に入りは、この問題集です。

増補版 日本語教育能力検定試験 合格するための問題集(アルク)

古い問題集なので、中古でも入手できます。
この問題集を記述式対策用に買ってもいいくらいに良かったです。(古いがゆえに、制度やデータに関する情報は注意がいります) 書き込みのできる原稿用紙もついています。

同じくアルクから出ている小さな黄色の記述式対策本も参考にはしたのですが、私はこちらが断然好きでした。

語彙や表現は誰にでも自分なりの傾向があります。丸写しで「こう書けばいいのか!」と発見があり、少ない頭脳負担で効果の高い勉強ができました

2-5 モットーは「疲労を招かず元気で学ぶ」

当日ベストな自分で臨むには、「何がどうであればベスト・セルフだと言えるのか」を知っておく必要があります。
準備期間中に不調だらけだと自分の中での基準値が下がり、当日のベストがまがいものになってしまいます。逆に準備期間中を元気で過ごせば、当日のベストの基準値を上げることができます

勉強では決して無理はしませんでした。勉強スケジュールが遅れたら、無理をするのではなく、勉強計画の改善で対処しました。

疲労を招かず元気で学ぶ。準備期間のモットーでした。
日々それを心がけると、ベストな自分とはこういう状態なのかも?と徐々にわかってきます。わかってくるとその自分に持っていけるようになり、その生活が楽しくなり、健康管理も勉強も嫌にならずに続けることができました。


*読んでくださりありがとうございます。
 私も、勉強期間中に多くのかたの発信情報に助けていただきました。恩送りとしてこの内容がどなたかにお役に立てると嬉しいです。
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