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メンヘラ、人間関係に操作的になってくる

都心に作業場を借りて数ヶ月。
友人を借りて仕事場に招いて作業会をしたり、宅飲みをする機会が増えた。
早苗さんには誘って!と言われていたものの、どうも抵抗感が拭えない。ここしばらくメンヘラ化した様子はないし、複数の友人がいる機会に遊んでも問題のある行動はなかったのだが、過去ブチギレられた体験からどうも遠巻きモードではあった。

「家が近い」
「料理してあげる!」
「料理持ってきてあげる!」

友人を介して早苗さんと遊ぶ機会があると、いろんなことを言われるのだが、なかなか素直に彼女を誘う気になれずにいた。

だが、断り続けるのも悪いなと思ってしまった。
別の友人と趣味関連の集まりで遊ぶ機会があったのだが、その店に早苗さんも昔は通っていたという。
「私も行きたいからその集まりに誘って!」
何度も頼まれて、断り続けることが出来ず、幹事に頼んで早苗さんも呼ぶこととなった。
ただし、一次会はいつものメンバーで集まるので、二次会から。
二次会は私の作業場で行われた。

LINEで早苗さんを誘うとすぐ行く!と大はしゃぎである。

誘ってあげるとおお喜びするメンヘラ

仕事場にやってきた彼女は大量の手土産を持参してやってきた。
都心のお店のお菓子と彼女が好きだというタピオカのドリンク。彼女は多いだろうからと二本だけ買ってきて、作業場のキッチンでおたまを使って4名分にわけてくれた。
非常に家庭的な様子であったが、これも後々埋め込まれた地雷となってくる。

会話には参加しているようで参加していない。
なれないメンバーに緊張しているのか、早苗さんは相槌マシンのような感じでインパクトはない。
しかし、同時に特に目立って問題のある行動はしばらくなかった。

早苗さんが苦手なのは、私の考えすぎかもしれない。
そんな馬鹿なことを思うようになっていた。
誘って誘ってと仲良くしたそうだし。

その日をきっかけに、彼女を仕事場に招く機会が増えた。彼女は私と漫画や昔見ていたテレビ番組の話でもありあがり、気が合うと思ったが、後日考えてみれば全部調子を合わせていただけであった。
翌々考えてみればAさんから紹介されて3年目か4年目だったろうか。
それだけ仲良くならなかった人が、「作業場(家)が近い」という理由ができた途端いきりなり趣味が合うようになるわけないのである。
私は当時それに気が付かずにいた。

夏の怪談話やスピリチュアルな話などあまり普通しない話で盛り上がったこともあり、急速に早苗さんと会う頻度が増えて仲良くなっていった。

その頃妙なことがいくつかあった。

人からもらったお土産を食べて手紙を開封するメンヘラ


Aさんの飲み会で会ったU子さん。
Aさんではなく、早苗さんのご友人だそうだ。
私とは仕事での挨拶程度の仲だったのだが、穏やかで感じの良さそうな人だった。

ある飲み会でU子さんとご一緒したのだが、その時彼女は、私に手土産を渡そうとしていたのに、持ってくるのを失念したらしい。
U子さんは、会う頻度の多い早苗さんに、その紙袋と手紙を預けて私にわたすよう言付けたそうだが、私にその存在を知らされ、お土産を渡されたのが数カ月後だった。

私がU子さんの手土産をもらったまま、お礼を言わず無視している形となっていた。

それが判明したのは、U子さんが手土産を用意して早苗さんに預けた数カ月後である。
同業者数名で私の仕事場に集まっていた時だった。
おずおずと早苗さんが言い始めた。
「実はU子さんから手土産を預かっているけど、渡すことを忘れていた。今度持ってきて渡すね」と告げられた。
私は忘れていたんだね、と何も咎めることなく了承。
次に早苗さんと会った時に渡されたのは、大手のデパートなどにはいっている高級な紅茶ショップの紙袋に入った、お茶とクッキー。そして、封筒に入って封をされた手紙の一式だった。
「え!?お土産ってこんな立派なものだったの?預かりっぱなしにして教えてくれなかったの?せめて預かってるって言ってよ!」
私は慌てた。
早苗さんは言った。
「仕事場に呼んでくれないからだよ」
ほくそ笑むように笑っていた。
「もう……」
私は忘れていたというのでそれ以上は言わなかったが、ジワっと嫌な気持ちになった。
「お菓子は賞味期限切れそうだたったから食べておいたよ。別のクッキー入れておいたから」

え?渡し忘れていただけじゃなくて、私に何も言わず、まず中身開封して食べたの?着服したの???

早苗さんの違和感が積み重なっていった瞬間だったが、忘れていたなら怒っても仕方ない。
ぐっと飲み込み、その場ではそれ以上は言わなかった。
そして、一人になった後U子さんから貰った手紙の封筒を開けようとすると違和感。
手紙に開封した形跡がある。
え?早苗さん、他の人の手紙勝手に読んだの?

封筒を止めたシールが一度剥がされて貼り直した形跡があり、よれていた。しかし、証拠はないのでそれ以上早苗さんを追求することはしなかった。
気のせいだと思った。
他人のことを悪く取るのはやめようと思っていた。

しかし、
「数カ月間お手紙入りのお土産の存在を隠していた」
「開封して中身を食べたり、手紙を読んだ様子がある」
「仕事場に呼んでくれないから渡さなかった、と、なにか条件をつけて渡してきた」

そういった部分がどうにもひっかかった。
他の人との付き合いで感じない違和感だからである。

U子さんにはメールで平謝りをしたが、それっきり疎遠になってしまった。
早苗さんは、自分のいない場所で友人と他の人が仲良くする事を許さないタイプのメンヘラだった。
全部周囲の行動を監視していないと気がすまない、自称「ガチもんのストーカー」だったのである。

友人のゴシップを吹き込んでくるメンヘラ

ネットでオフ会を募集した時の事。
早苗さんの別の友人V子さんが、SNSで自分もその遊びに行きたいと挙手してきた。
早苗さんを通じて数度会ったきりの人だったが、私は快くOKし、早苗さんにも許可を取った。

早苗さんにもそのオフに来ないか誘ったが、早苗さん自身はこないという。
早苗さんは別のことが気になる様子だった。
「どっちから誘ったの?」
「オフ会の募集にV子さんが応募してきたんだよ……私から誘ったわけじゃないよ」
V子さんが自分から遊びたいと挙手したのか何度も確認された。
私から早苗さんの友人に近づいているのかどうかのチェックである。
後々わかることだが、早苗さんは「自分のいないところで会うな」「自分の友だちと仲良くするな」というタイプの人で、他人が会う会わない、連絡をするしないを異様に気にする。
人間関係に操作的で、全部を把握しないと怒り出すタイプなのだ。
後日、早苗さんのその習性に悩まされるようになるのである。
その時、早苗さんは私にV子さんのゴシップを吹き込んできた。

V子さんが過去、早苗さんの交際相手の男性を寝取ったという辛い過去であった。
そのことをきっかけに早苗さんとV子さんが知り合い、V子さんが早苗さんに土下座して謝って、早苗さんはそれを受け容れて許して友人になったというなかなか壮絶な話だった。
今2人はその男性とは切れているという。
15年も前の若い頃の話だという。
早苗さんは「V子さんにその話をしてみなよ」とけしかけてきた。
私はそういうぐらいなのだから、二人の間ではもう過去の話なのかと受け取ってしまった。

V子さんと遊んだ当日。
複数名のメンバーで待ち合わせをしていたが、一番最初に到着したのはV子さんである。
友人の友人と2人きり。ちょっときまずい。ソワソワする。
なにか会話のきっかけはないかと、早苗さんから聞いていた話を持ち出した。
「そういえば、2人が知り合ったきっかけの話を聞いたんだけど……」

「その話、したの!?」

ブチ切れだすV子さん。
「あっえっ……ご、ごめん……」
「あいつがしたの!?その話されるの嫌なの!!あいつがその話したんだ!?」
豹変して私を問い詰めるV子さん。取り乱した様子だった。
「早苗さんからその話そしてみたらって言われて……ほんとごめん」
「私その話されるの嫌なの!あいつがそう言ったの?あいつが?」
「2人ともてっきり過去の事なのかと……」
「私はその話しされるの嫌なの!あいつが言ったんだ?その話しろっていったのね!?あいつそういうところがあるんだよ!そういうところがあるの!!あいつにもうそういう話をしないでって言っておいて!」
平謝りをする私。
取り乱して気まずそうなV子さん。最悪のオフ会スタートであった。

その後、なんとか別のメンバーとも合流して楽しくあそんだが、私は早苗さんに吹き込まれた話で取り乱したV子さんと話してどっと疲れてしまった。
後日早苗さんにその話をして、たしなめた。
「V子さん、その話されるの嫌がってたよ」
「その話ししたんだ!したんだ!」
床を転げ回って笑う早苗さん。

怖い。

「嫌がってたんだwwww怒ってたんだ」

早苗さんは、ずっと床を転げ回って笑っていた。
早苗さんはメンヘラたる所以なのだが、反応がおかしい。
人が嫌がっていると笑うような面があるのだ。
私は早苗さんがまだ過去のわだかまりを許していないな、とV子さんへの恨みの念が消えていない事をジワジワと感じた。
私はたしなめたが、無駄だったので、長い付き合いの二人の関係にこれ以上口を挟むのは野暮かもしれないと口を閉じた。

私が他人に無関心すぎたのかもしれない。
「2人の間のことは2人にしかわからない」
そういう考えだった。

早苗さんは楽しそうに話していた。
「実はV子さんのこと許したフリして許していなかった。付き合いの15年のうち最初5年か6年は、許したフリをしていた。許したフリをして近づいて、仲良いふりをして、こいつの人間関係全部に入り込んで、全部把握して、ある日全部暴露して、あいつこんな事したんですって暴露してやりたいと思っていた。
それで、仕返しをするつもりだった。
仕返しにV子さんの人間関係をめちゃくちゃにしてやるつもりで許したフリをしていた。
結局付き合いが続いてやらなかったけど、その件を許せたのは数年前だ」

早苗さんはそう話していた。
早苗さんの男を寝取られた恨みは相当深そうだった。
「それを2年前くらいにV子さんに話したら、怖い。って二回言われたんだよね」
そう言って笑っていた。
私も怖かった。
だが、それを聞いた時お酒もはいっていたので、冗談だと思ってスルーしてしまった。

やはり、V子さんともそれ以降疎遠になる。
早苗さんが仲良くすると怒りそうだな、と、私は早苗さんの友人を避けるようになっていた。
気が付くと、早苗さんを紹介してくれたAさんとも疎遠になっていた。

メンヘラと一緒にいると人間関係が分断される

作業場を借りてしばらくして。

気が付くとAさんと疎遠になっていた。

早苗さんが「Aとは付き合いが長い私が連絡しておくね!」とAさんと連絡をさせてくれなくなったのだ。

長い付き合いのAさんと早苗さん。

きっとAさんが私を避けているのだろう、早苗さんになにか言っているのだろうと私は思い、萎縮してAさんを避けるようになってしまった。
Aさんは普通にSNSで声をかけてくれて、早苗さんと一緒に御飯にも行くのだが、早苗さんにAさんを誘おうと言うと「Aは今忙しい」と誘わせてくれない。
奇妙な状態になっていた。

後々、勝手に早苗さんが強く依存している長い付き合いのAさんに対して、勝手にマネージャーのような対応をして、人払いをしていることが判明する。

早苗さん曰く、「Aさんとは他の人と私のいないところで話をしてほしくない」そうだ。

ここに書いたのは、
すべて断片的に起きたことで、基本的に早苗さんのお付き合いのある人の事である。
すでにある付き合いに対して、後から他の人(私)が入ってきてほしくない気持ちもわかる。

だが、早苗さんはやがて私が先に知り合い、紹介した友人と私の間にも割り込んできて、人間関係を分断させ始めるのだ。

後日ひどい目にあってわかる。
早苗さんが仕返しに他人の人間関係をめちゃくちゃにしたいという願望を持ったメンヘラなのは冗談ではなかったのだ。

早苗さんは人間関係を操作するタイプのメンヘラで、サイコな面を持っていた。

続く

サクラナミキレン

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