初心者におすすめの哲学書5選!
「哲学」って最近盛り上がりを見せていませんか?
個々人が自分自身をしっかり立てていく現代という時代にあって、
何らかの精神的支柱が求められる時、
その柱の基盤となるもの、
それがまさに哲学なのだと私は思います。
とはいえ、哲学は、
自己啓発の類やスピリチュアル系の類とは全然違う営みであり、
ましてや自分で独自に考え出した、
モットーなどでもありません。
それは一度でも哲学書を読んだことがある方には、
明々白々なことでしょう。
しかし!読む読んだ以前に、
「哲学書って難しそう、取っ付きづらそう」って思いますよね。
もしくは一度手に取ったけれども、読むのをやめてしまった、
という方もいらっしゃるかと。
今回はそんな方々に向けて、
「これなら読める!」という初学者のための哲学書を、
5冊ご紹介いたします!
① 『メノン』 (プラトン)
1冊目は、有名な哲学者プラトンの初期の著作、
『メノン』です。
何をするにも、「徳」というものが重要視されていた古代ギリシャ。
若きギリシャ人メノンは、
当時すでに名を馳せていたソクラテスに対し
「徳は教えられるものでしょうか?」と尋ねます。
そんなメノンに、
「徳とは何か?」と問い返すソクラテス。
こうして2人の間で「徳」を定義する試みの問答が始まるのでした。
この哲学書をおすすめするポイントは3つ。
『メノン』だけではなく、
プラトンの著作のほとんどは対話形式で議論されますが、
これが初学者にはありがたい!
実は、劇作家を目指していたこともある
プラトンの表現力が活かされており、
抽象的な議論にもかかわらず、楽しんで読むことができます!
さらに、ソクラテスの相手をするメノンは、
哲学対話に慣れていない初心者であるため、
議論がそれほど複雑にはならず、
読み手に優しい内容になっています。
教科書だけでしか聞いたことのない
ソクラテスの問答法というのがどのようなものであったのか、
これだけで体感することができます。
机に向かってではなく、
電車の中や待ち時間に、気軽に哲学書を読みたい!
という方には、ぜひともおすすめの一冊です。
② 『パイドン』 (プラトン)
2冊目は、『パイドン』。
著者は同じくプラトンです。
「魂について」という副題が示す通り、
死後、人間の魂はどうなるのか?
肉体から切り離され、それ自身で存在するのか?
永遠に不滅なのか?
といったことが議論されます。
対話が行われている時ところは、
ソクラテスの最期の日であり、獄中。
死刑を宣告されたソクラテスのもと、
弟子たちが集まって最後の問答が交わされます。
嘆きうろたえる弟子たちに対し、
魂の存在を哲学し、
威厳をもって穏やかに毒杯をあおぐソクラテス。
問答法の発見者にして、偉大な哲学者
ソクラテスの死が描かれたプラトンの代表作のひとつです。
この哲学書のおすすめポイントは3つ。
対話形式は『メノン』と同じですが、
プラトンの文才がより発揮された傑作で、
思わず鳥肌がたつような面白さをそなえています。
議論についても、より深く抽象的な内容になっていますが、
それでも予備知識なしに、十分読めると思います。
③ 『方法序説』 (デカルト)
3冊目はデカルトの『方法序説』です。
私たちが当たり前に見ているこの世界は、
本当に存在しているのだろうか。
すべては夢なのだと、
誰が否定することができるだろうか。
本当に真実だと言えるための条件は何なのか。
デカルトはすべてを疑い、ある結論に辿り着きます。
「われ思う、ゆえにわれあり」
誰もが聞いたことのある文言は、
この哲学書で語られました。
この哲学書のおすすめポイントは3つ。
『方法序説』の特徴は、何といっても短いこと。
飽きっぽい方でも読み通せます。
そして比喩をまじえた議論の展開は、
頭の中でイメージしやすく、
決して置いてけぼりにならないはず。
近代哲学の幕を開いた画期的な著作。
特に数学が好きな方におすすめです!
④ 『社会契約論』 (ルソー)
4冊目は、ジュネーヴの哲学者ルソーの『社会契約論』になります。
ルソーは言います。
「人は自由なものとして生まれたのに、
いたるところで鎖につながれている」
そのような状況をできるかぎり克服し、
主権者である人民が、自己の生命と財産、
自由を維持できる社会はどのようなものか。
そのような社会を考察したのがこの著作です。
かの有名なフランス革命の折、
民衆たちはこの書物を読んで、革命に奮起しました。
まさに歴史を変えた出来事の精神的支柱となった哲学書なのです。
この哲学書のおすすめポイントは3つ。
ルソーは、歴史をさかのぼり、
原初の時代から社会の成立原理を問うことで、
人民主権社会の正当性を歴史的に根拠づけようとします。
その内容は古びておらず、
表向きは民主主義だとうたわれる現代社会の哲学的根拠を、
今一度問い直すきっかけになると思います。
ジャンルとしては政治哲学なので、
具体的で実践的な議論に興味がある方におすすめです!
⑤ 『自由論』 (ミル)
5冊目は、イギリスの哲学者ミルの『自由論』です。
個人の自由への干渉はどこまで許されるのか。
反対意見はなぜ尊重されなければならないのか。
なぜ「変わった人間」になるのが望ましいのか。
市民社会における自由について考察し、
その重要さを説いたイギリス経験論の政治哲学です。
ここで語られる自由とは、
社会に対する個人の自由のこと。
ミルは、文明が発展するためにはこの自由を正当化し、
個性と多様性、そして天才を大切にするべきだと語ります。
一方で、個人の自由が横行しすぎてしまえば、
社会は成り立たなくなってしまうことも懸念されます。
それでは、社会による個人の自由への干渉は、
どこまで許容されるべきなのでしょうか。
この哲学書のおすすめポイントは3つ。
ミルは、「変わった人であれ、個性的であれ」
と再三言っています。
常識という名で迫ってくる社会に対して、
そしてお互いを監視し合うような社会に対して、
私たち個々人がどのように立ち振る舞うべきなのか。
その答え、自由の原理は、この本の中にあります。
まとめ
いかがでしたでしょうか。
今回は初心者に向けた哲学書ということで、
なるべく短めで、手に取りやすく、
読みやすいものを選んでみました。
最近では、さまざまな哲学入門書が出版され、
哲学書に触れずとも内容を把握できるという風潮になりました。
しかし、哲学はやはり哲学書を読んでこそ。
決して入門書や解説書では味わえない世界が、
深みと魅力をともなって開かれています。
これら偉大な哲学者たちの思索の結晶が、
より充実した生のきっかけになることを願っています!
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